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NEC社屋で並んで立つNEC船津、宮辻、清水の様子NEC社屋で並んで立つNEC船津、宮辻、清水の様子

AIネイティブに向けて進化する製造業変革コンセプト“MX”とは

5つのバリューチェーンをAIでつなぎ、不確実な時代の変化を競争力へ【2026.08.19】

カテゴリ:製造変革データドリブン経営AX/AI

2026年7月21日(火)、NEC本社にて、マスメディア記者やアナリストの方々をお招きし、NECが新たに打ち出した“マニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)”のコンセプトについてご説明する勉強会を開催いたしました。
不確実性が常態化する現代のものづくりにおいて、AIで製造業をどう変えていくのか?登壇した事業推進リーダー3名に、勉強会終了後、記者が直接インタビューを行い、MXの狙いや背景、現場にもたらすインパクトについて詳しく話を聞きました。

【プレスリリース】
new windowNEC、AIネイティブに向けて進化する製造業変革コンセプト「マニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)」を発表|日本電気株式会社のプレスリリース

NEC 製造ソリューション事業部門 上席プロフェッショナル 船津 修平
NEC入社以来、組立系機械製造業を中心に担当し、PLM・SCM・ERP領域の営業としてお客様の変革を支援。現在はマニュファクチャリングトランスフォーメーション(MX)事業をリードし、多くのお客さまの変革と自社実践で得た知見も活かしながらAI時代のものづくり変革に取り組んでいる。

NEC コンサルティングサービス事業部門 マネジメントコンサルティング統括部 ディレクター 宮辻 博文
営業を経て、2007年より基幹業務や管理会計領域の業務革新コンサルティングに従事。2015年にNECIndustrialIoT事業を立ち上げ・推進。以降、スマートファクトリー化に向けた構想策定、AIやデータ利活用の業務モデル設計などを幅広い業界で支援。製造業におけるDX・新事業創発領域を専門とする。

NEC 製造ソリューション事業部門 製造システム統括部 シニアプロフェッショナル 清水 治彦
製造業を中心に、防衛・通信など多様な業界でSCM/FSM領域の業務改革・ERP導入を提案・支援。
現在はAI活用によるマニュファクチャリングトランスフォーメーションの構想・提案に加え、一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)でのLeanPLM構想検討にも参画。

【目次】

1.「ダイナミックマニュファクチャリング」から「AIネイティブなMX」へ

―今回の勉強会の趣旨や背景について教えていただけますか?

インタビュー中のNEC船津の様子
NEC 製造ソリューション事業部門 上席プロフェッショナル 船津修平

船津:NECは、2025年度に製造業のあるべきDXの姿を「ダイナミックマニュファクチャリング」と名付けてご提示しました。これは、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、プロダクションチェーン、サービスチェーン、サステナブルチェーンという、ものづくりにおける5つのチェーンが、データ活用を通じて有機的につながることで、迅速な経営判断を可能にし、変化に動的に対応できる姿を示したものです。

その上で、2026年度はさらにAIを組み込んだ形で進化させ、「製造業の競争力の源泉となる5つのバリューチェーンをAIネイティブに変革すること」を「MX」というコンセプトとして発表しています。

本日時点の「MX」は完成したソリューションやサービスではなく、NECが目指すAIネイティブな製造業変革の方向性と現在地を示すものです。今後、お客さまとの実践を通じて具体的なソリューションやサービスとしてご提供していく、その出発点としてご説明いたしました。

―不確実性が高まる中、なぜ今MXが必要なのでしょうか?

インタビュー中のNEC宮辻の様子
NEC コンサルティングサービス事業部門 マネジメントコンサルティング統括部 ディレクター 宮辻博文

宮辻:まず、市場環境についてですが、現在の製造業を取り巻く環境は、不確実性が常態化し、将来を予測することが難しい時代になっています。市場ニーズや社会情勢は急速に変化し、その変化に迅速に対応できる企業だけが競争力を維持できる時代です。企業には、顧客ニーズに合った製品を短期間で提供するとともに、多品種少量生産や事業ポートフォリオの見直しなど、柔軟な経営が求められています。
一方で、深刻な労働力不足も進行しており、これらの課題を解決するためにはデジタル技術の活用が不可欠です。

また、NEC自身「AINativeCompany」の実現に向け、AIを前提に業務プロセスや組織、働き方そのものを変革するAX(AIトランスフォーメーション)を推進しています。私たちは、AIを単なる業務効率化のツールではなく、人がより創造的で戦略的な意思決定に集中するための基盤と捉えています。その実践を通じて、既存業務にAIを適用するだけでなく、AIを前提に企業や業務プロセスそのものを再設計することが重要だと考えています。
私たちが目指すのは、AIと人が協調する業務プロセスの先にある「AIネイティブな製造業」です。製造業特化のAIエージェントが設計・調達・生産・物流・保守といったバリューチェーンを自律的につなぎ、最適な判断と実行を継続する。人は未来を構想し、新たな価値を創造する役割へシフトすることで、変化への対応力そのものを競争力へと転換していきます。

AIネイティブで進化する製造業変革(マニュファクチャリングトランスフォーメーション:MX)」の説明図

このAIネイティブなMX実現のためには、AIだけでなく、高品質な業務データや知識データを整備した「AI-ReadyData」が重要です。これらを基盤として、5つのチェーンをAIが連携させながら動かすことで、製造業全体の生産性と競争力を高めることができます。
また、多様なデータを分析して将来を予測し、問題が起きる前に先手を打つことも可能になります。さらに、その経験をAIが学習し続けることで、AI自身も進化し続ける好循環が生まれると考えています。

2.NECがAIネイティブなMXを推進できる理由

―NECがMXを推進する上で、強みとなる点はどこにあるのでしょうか?

宮辻:NECがAIネイティブなMXを推進できる強みは、大きく三つあります。

一つ目は、製造業を知り尽くした実践知です。
製造業に必要なAIエージェントは、単に生成AIを適用するだけで実現できるものではありません。例えば調達業務でも、直接材は業種や企業ごとに業務プロセスや判断基準が異なるため、現場を深く理解していなければ実用的なエージェントは作れません。NECは長年にわたり製造業のお客様の業務改革やシステム構築をご支援し、自らも製造業としてものづくりに携わっています。こうしたクライアントゼロの実践知とドメインナレッジをAIエージェントに組み込めることが、NECの強みです。

二つ目は、汎用AIだけでは実現が難しい、高度なスキルを持ったAIです。
NECは生成AIに加え、認識・予測・最適化・調整交渉などの技術を組み合わせたAIエージェントを提供します。AIは単なる分析にとどまらず、需給変動への対応や関係者との調整・交渉まで自律的に実行します。これにより、人は情報収集や定型業務から解放され、より戦略的な意思決定に集中できるようになります。

三つ目は、製造業に求められる安全・安心です。
製品設計情報や製造技術、ノウハウといったデータは、製造業にとって競争力の源泉であり、経済安全保障の観点からも重要な資産です。こうした機微なデータを守りながらAXを進めるには、セキュアなデータ基盤と、適切なAIガバナンスが欠かせません。NECは、AIガバナンス、セキュリティ、データ基盤を一体で提供することで、AIの活用から適切な制御まで支援できることが強みです。

製造業の実践知、クライアントゼロで培った経験、高度なAI技術、そして安全・安心な基盤。これらを組み合わせることで、NECは5つのバリューチェーンをAIでつなぎ、対応の速さで勝ち、先読みで備え、学びで強くなる製造業変革MXを推進していきます。

3.AIエージェントがチェーンをつないで自律的に業務を遂行

―AIネイティブなMXによって現場の業務はどう変わっていくのでしょうか?

インタビュー中のNEC清水の様子
NEC 製造ソリューション事業部門 製造システム統括部 シニアプロフェッショナル 清水治彦

清水:例えば、一台の自動車には約3万点もの部品が使用されています。そしてそのすべてが各国の厳しい法規制や品質基準や環境基準を満たしています。この複雑なものづくりを支えてきたのは、人による調整や部門間連携です。しかし、地政学リスクや災害、需給変動、脱炭素、労働力不足など、不確実性が常態となった現在では、人手で対応することは不可能です。

そこで私たちは、製造業に特化したAIエージェントが5つのチェーンをシームレスにつなぎ、自律的に業務を遂行する世界を目指しています。今回は、製造業の変動対応に関して根幹となるエンジニアリングチェーン、サプライチェーン、プロダクションチェーンの三つのチェーンについてご紹介します。
なお、ご紹介する内容にはまだプロトタイプ段階のものも含まれています。今後テンプレート化し、お客様ごとに最適化したサービスとして、順次提供していく予定です。

エンジニアリングチェーン:AIが知見を継承し、人は競争力ある製品創出へ

製品設計は、製品原価や品質、さらには将来発生する不具合の多くが決まる重要な工程です。設計段階での判断は、調達、製造、保守・サービス、環境対応といった後工程全体に大きく影響するため、ものづくりにおける最も重要なチェーンの一つと言えます。私たちが目指すのは、AIが熟練者の知見や過去の経験を継承し、人はより高度な製品企画・設計判断に集中する世界です。

AIは、市場ニーズや過去の設計実績、各チェーンの情報を基に、品質・コスト・納期・環境(QCDE)のバランスを考慮した最適な設計案を自律的に提案します。また、部材不足や環境負荷の増加、法規制改正による影響などを事前に検知し、設計変更案まで提示することで、変化を先読みした設計を可能にします。法規制が改正されてから対応するのではなく、その兆候を捉えて事前に設計へ反映することで、品質向上と競争力向上につなげていきます。

AIにより技術伝承や属人化の解消、法規制遵守も可能に

現在、多くの製造業では、熟練技術者の引退による技術継承の課題や、世界各国で急増・複雑化する法規制への対応が大きな負担となっています。対象物質や規制内容は頻繁に更新されるため、設計者は膨大な部品情報や設計情報と複雑な法規制を照合し続けなければなりません。こうした作業をAIエージェントが支援することで、技術伝承や属人化の解消、法規制遵守を前提としたQCDEの最適化、さらに開発期間の短縮を実現できると考えています。

ユースケースとして、NECのPLM「ObbligatoAI」や「NEC製品法規適合AIアシスタント」を活用するシナリオをご紹介します。例えば、若手設計者がチャット形式で設計上の注意点を質問すると、AIは蓄積された設計文書や過去の資料を参照し、回答だけでなく、根拠となる資料も合わせて提示します。また、環境規制や電波法など専門性の高い内容についても、過去の知見を基に適切な情報を提示します。さらに、製品リリース後の法規制が改正された場合には、AIが変更を検知し、影響を受ける部品や必要な設計変更を抽出します。これまで熟練技術者しか対応できなかった業務についても、AIが過去の対応実績を活用して支援することで、経験の浅い担当者でも適切な判断ができるようになります。

サプライチェーン:AIが自律実行して常に最適化、人は高度な経営判断へ

次に、サプライチェーンについてです。設計が完了しても、物流の停滞や災害、地政学リスクなどによって部品調達が滞るケースは少なくありません。こうした変動は今や例外ではなく日常的に発生しています。そのため目指すのは、変動を前提としたサプライチェーンです。AIエージェントが需給変動を自動で検知し、サプライヤーや物流会社、お客さまとの交渉まで自律的に行い、サプライチェーン全体を迅速に再構築、常に最適化する世界です。これまで数週間かかっていた納期調整や調達交渉をほぼリアルタイムで実施し、人は高度な経営判断に集中できるようになります。

現在は、多くの企業でシステムやデータ形式がバラバラでつながらず、担当者がExcelを使って情報を整理・変換しているというエクセルのバケツリレーが実情です。部品不足が発生すると、人が電話やメールによる調整が繰り返され、多くの時間を費やしています。AIはこれらのデータを統合・補完し、欠品シミュレーションや代替案の作成、さらには海外サプライヤーとの交渉や輸送手段の変更までを担います。人は複数の選択肢の中から、収益性やリスクを考慮して最終判断を行うだけでよくなります。こうしてデータ、業務プロセス、意思決定を一体化することで、変化への対応スピードを飛躍的に高め、サプライチェーンレジリエンスを向上し、収益機会を最大化することができます。

プロダクションチェーン:経営と現場一体型のものづくり

三つ目は、プロダクションチェーンについてです。製造現場では、これまでも現場の工夫によって多くの問題が解決されてきました。しかし、その知見が設計に十分にフィードバックされず、同じ課題が繰り返されることが少なくありませんでした。私たちは、AIが設備や人、品質などを常時監視し、異常検知や原因分析、改善策の立案まで自律的に支援することで、経営と現場が同じ情報を共有しながら改善を進める世界を目指しています。将来的には、製造業特化のAIエージェントが設計・製造・品質改善を横断して自律的につなぎ、現場で得られた知見を次の設計や経営の意思決定へ即座に反映することで、変動への対応を競争力へ進化し続ける持続型のものづくりを実現していきます。

チェーン横断のデジタル協創空間で変動を学びに

AIネイティブなユースケースとして、設計、生産技術、製造、品質管理など各部門のAIエージェントがデジタル空間で協調し、それぞれの立場から議論を行うシナリオをご紹介します。各AIは異なる役割や目的を持ちながら、数多くのシミュレーションを実施し、全体最適となる改善策を短時間で導き出します。これにより、人が数日かけて検討していた内容を数分で整理できるようになります。日々発生するトラブルや変動を組織全体の知識として蓄積し、経験を重ねるほど企業全体が強くなる仕組みを実現します。

4.変化を競争力に変えるものづくりを実現

現在の製造業では、日々発生する変動への対応や部門間の調整に多くの時間と労力が費やされ、本来取り組むべき戦略立案や新たな価値創出に十分な時間を確保できていません。私たちが目指すMXでは、AIが情報収集や分析、調整、最適提案、部門への展開や施策の実行などを担い、人は経営判断や戦略策定、価値創造に集中できる環境を実現します。
変化への対応の速さで勝ち、先読みし、学び続ける。その積み重ねによって変化を競争力へ変えていく。それがAIネイティブな製造業を実現する「MX」の目指す姿です。
NECは、お客さまとともにAIネイティブ時代の製造業の新たな当たり前を創っていきます。

インタビュー中のNEC清水、船津、宮辻の様子

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Obbligato AI

ObbligatoAIは、PLMに蓄積された技術情報を生成AIで横断的に活用し、設計効率化と品質向上を同時に実現します。
詳しい機能や関連情報については、詳しくはこちらより製品ページをご覧ください。
製品の特長やユースケースをまとめたリーフレットは、資料ダウンロードよりご確認ください。

PCを操作している様子

NEC製品法規適合AIアシスタント

頻繁な法規制改正や製品の複雑化に伴い、法規制対応業務はますます高度化しています。NECは生成AIを活用し、法規制対応の効率化、属人化の解消、リスク低減を支援する新サービスを開発中です。法規制対応にご関心をお持ちの方は、ぜひ資料をダウンロードいただき、本サービスの特長をご確認ください。

スーツを来た男性の掌に天秤(正義)のアイコンがホログラムで浮かんでいる様子

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