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工場データを価値に変えるAI-Ready化されたスマートファクトリーの実現
ROIC向上を実現する、“AI-Ready”というスマートファクトリーの成長戦略【2026.03.17】
カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造スマートファクトリー(IoT基盤/AI)
製造業をめぐる経営環境が激しく変化する中、各社においては変化に機敏に対応して最適な生産体制を構築し、ROICの向上などに見る創出価値の最大化を追求し続ける必要があるといえます。
こうした生産体制を実現するスマートファクトリーを、AIの活用によって加速させることが可能です。
そんなAI-Ready化されたスマートファクトリーの実現について、NEC スマートインダストリー統括部の北野芳直と塚田和也がお話しします。
NEC スマートインダストリー統括部 シニアビジネスプランナー 北野 芳直
1991年日本電気株式会社に入社。社内向け生産技術の開発に従事後、2014年から、自働化や生産プロセス開発技術をベースに製造現場のデジタル革新を進める。2017年から現部署にて NEC Industrial IoT Platformを軸にお客様のスマートファクトリー化を支援。
NEC スマートインダストリー統括部 塚田 和也
2022年日本電気株式会社に入社。中小企業診断士。製造業向け製品・サービスの開発とコンサルティングに従事。IE(Industrial Engineering)と企業経営に基づいて、IoT・AI、最適化他、NECの先進テクノロジーを用いたお客様のスマートファクトリー化を支援。
[目次]
“AI-Ready”とは
内閣府は、「人間中心のAI社会原則検討会議」において、“AI-Readyな社会”という概念を打ち出しました。“AI-Ready(AIレディ)”とは、企業や組織がAIを効果的に導入・活用し、最大の実績を出すためにデータ整備、組織体制、人材のAIリテラシーなどが整っている状態を指します。
NECではこれまで、製造業向けのデータ基盤「NEC Industrial IoT Platform」や伴走支援型のコンサルティングサービス「ものづくりDX改善アプローチ」などのご提供を通じて、製造業のお客様にROIC(投下資本利益率)の向上といった創出価値の最大化を実現させるスマートファクトリー化のご支援をしてきました。
さらに、昨今の技術トレンドを加味した「“AI-Ready”なスマートファクトリー」を通じて、製造業のお客様のROIC最大化に繋がるデータドリブン経営、工場マネジメントの在り方についてご提案しています。

AIの進化と製造業における活用
AIは、現実世界を理解する「Cognitive(認知) AI」から、自らの見解を述べる「Generative(生成)AI」に進化し、爆発的に使われるようになりました。そして今では自律的に業務を推進する「Agentic AI」の業務適用が広がり始めています。そこから先は、実世界と相互連携する「Physical AI(フィジカルAI)/Embodied AI(エンボディドAI)」に進化することが想定されます。
企業にとっては、このように進化するAIをいかに製造プロセスや業務に取り入れ、ビジネス成果につなげるかで競争力が左右され始めています。
今後、製造業においては「AI-Ready化されたスマートファクトリー」という生産体制を目指すことが一つのテーマになるでしょう。AIを最大限活用するためには、ビジネス成果をユースケースとして具体化すると共に、IoTや業務システムなどのデータを標準化/体系化して統合。そこで、データから価値を生み出し、ユースケースに適用することが必要です。
5つのチェーン
NECでは、製造業におけるあらゆるシーンでAI活用を想定しています。
製造業におけるものづくり全体の流れ「サプライチェーン」や開発プロセス「エンジニアリングチェーン」、製造プロセス「プロダクションチェーン」、販売後の保守・サービス「サービスチェーン」、環境面に対処する「サステナブルチェーン」の5つのチェーンがデータとAIを通じて有機的に繋がることで、迅速な経営判断や意思決定を実現、環境変化に機敏に対応できる体制づくりが求められると考えています。

スマートファクトリーにおけるデータ基盤の必要性
NECがご提供している、AI-Ready化されたスマートファクトリー実現のためのソリューション群は、下図のとおりです。

中心にあるのは、あらゆるデータを標準化/体系化して蓄積するデータ基盤です。そのデータをつくり出すところは大きく二つあります。
一つ目は、図の左側にあるERPやPLM、MESといった業務を遂行するシステムです。業務オペレーションを通じてデータの入出力が行われることで、これらのシステムにデータが蓄積されていきます。
二つ目は、図の下部の設備やヒト作業、モノといった製造現場です。これらの製造現場では、非構造的なデータを含む、粒度が様々で細かなデータが収集されます。QCDの正確な把握や真因追究、改善活動に向けては欠かすことのできないデータです。
NECでは、これら二つの領域のデータをデータ基盤に蓄積・統合管理していくことが重要であると考えています。蓄積・統合されたデータは、AIによる統計分析や機械学習モデルによる予測を容易にします。また、大量のデータから導き出したロスの要因や将来の予測は、リソースを最適化するAIエンジンに取り込むことで、企業の計画業務を最適化します。こうしたデータの整備は、分析プロセスそのものを効率化し、洞察を深めることが出来ます。
なお、業務システムにあるデータを、直接AIで活用することは難しいと考えています。なぜならば、様々なシステムで管理されており、業務を遂行する上で停めてはいけないシステムの性質上、それぞれからデータを頻繁に出し入れし、加工して使うことは現実的ではないからです。また、業務システムのデータだけでは、データの粒度が粗く、改善活動に使うには不十分と考えます。そこで、データを利活用しやすいように一つの基盤に統合管理する必要があるということです。
「NEC Industrial IoT Platform」は、ものづくりのデータを統合的に管理し活用するためのデータ基盤です。標準化/体系化されたデータを生産現場だけでなく全社で活用できるようにすべく、業務システムや設備、人作業データとの連携を実現させます。これらのデータをBIやAI、最適化で活用することを通じて、QCD(「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」)・在庫をはじめ、5つのチェーンにおける改善活動、業務改革を支援します。

AI-Ready化されたスマートファクトリーで目指すKPI
こうしたスマートファクトリー化で追求できるのが、ROIC(投下資本利益率)の向上です。昨今、“ROIC経営”が注目されており、これを経営や工場マネジメントのKPIに設定する企業が増えています。ROIC経営では、下図のとおり「税引後営業利益を増やす」、「投下資本を減らす」2つの活動を推進する必要があります。

生産領域における上記の2つの活動は、主に「原価低減」と「リードタイム短縮(在庫回転率の向上)」に該当します。また、発生する業務そのものを効率化する上で「業務自動化」が必要です。

生産活動は、借り入れなどによる資金を得て原材料・部品を仕入れ、在庫を持ちながら徐々に組み立て、検査した上で出荷・納品し、入金されることで資金を回収、利益を得るというプロセスを辿ります。このプロセス全体のリードタイムを短縮することで投下資本を圧縮、資材や製品の在庫回転率を向上させることができます。また、改善活動などを通じて、原価を低減することで、製品別実効利益を増大できます。
5つのチェーンの連携が重要
こうしたものづくりを横断した活動を進める為には、プロダクションチェーンだけでなく、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンとの連携が重要になります。資材、製品在庫を最適化するには営業部門と生産管理部門の連動が必要となり、設計した製品を量産ラインに乗せるための工程設計を短縮するには開発部門と生産技術部門が連動していなければなりません。そこで、工程やプロセス、工場を横断したデータ統合や活用、経営判断や意思決定の必要があるのです。
「リードタイム短縮」「原価低減」「業務自動化」
リードタイム短縮では、工程全体のモノの動きを見える化し、滞留や問題が発生している工程を明確化。それとともに、遅延に影響する部材欠品や設備・ヒトのリソース制約を確認し対策に繋げます。

原価低減では、同じく工程全体の設備/ヒトの動きの見える化により、設備総合効率をベースに時間稼働率や性能稼働率、良品率からロスを定義。上位の俯瞰的な分析から真因にドリルダウンしいく形で改善活動に繋げます。また、データを分析や予測、最適化のエンジンに取り込むことで、分析プロセスそのものを効率化し、洞察を深めることが出来ます。

間接コストとなる業務の自動化にも積極的に向き合います。例えば、サプライチェーンをはじめ、様々な業務シーンで変化に即応できるAIエージェントの適用を目指しています。
例えば、AIエージェントである「調達交渉AIエージェントサービス」が、データ基盤に溜まったオーダー情報や入出庫データ、品目情報などをもとに、サプライヤーとの納期や数量の交渉案を作成し、実際にサプライヤーとチャット上で交渉を行います。

期日までに材料の確保が必要な場面で、一括納品は難しいという返答を受けると、AIエージェントは分納案を提案するといった対応を自動的に行います。このように、AIエージェントによって人に負荷をかけずタイムリーなサプライチェーン管理を行うことを可能にします。
NECでは、お客様のDX化のストーリー(構想)を一緒に描き、AI-Ready化されたスマートファクトリー実現に向けたデータの標準化/体系化からAI、最適化の適応まで、お客様のDXを伴走型でご支援いたします。ぜひ、貴社が抱える課題やスマートファクトリー構想についてお気軽にご相談いただければと存じます。

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昨今の経済拡大やグローバル化により、製造業におけるステークホルダー間の交渉は複雑化し、企業に大きな負担を与えています。 NEC 調達交渉AIエージェントサービスは、取引先との交渉業務にかかる膨大な時間を削減し、交渉の効率化・需給変動への迅速な対応を実現します。

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