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多くの来場者でにぎわう「AVEVA DAY JAPAN 2025」展示会場の様子多くの来場者でにぎわう「AVEVA DAY JAPAN 2025」展示会場の様子

NEC「AVEVA DAY JAPAN 2025」出展レポート

~MESを中心とした製造データ活用の経営貢献~【2025.10.15】

カテゴリ:SCM/MES/FSM生産技術・製造DX・業務改革推進

2025年9月4日(木)、ホテル「グランドニッコー東京 台場」にて、「AVEVA DAY JAPAN 2025」が開催され、基調講演および4テーマ・計24のセッションと、13社がブースを出展。NEC展示ブースにも多くのお客様が展示をご覧になり、説明をお聞きいただきました。

[目次]

今年も多くの来場者で賑わった「AVEVA DAY JAPAN2025」

AVEVA社はイギリスに本社を構え、日本をはじめ世界約40か国にお客様を擁する産業用ソフトウェアのリーディングカンパニーです。NECは2022年よりAVEVA Japan社とMES領域おいて協業を開始し、主に日本のプロセス製造業のお客様に対して同社ソリューションをご提案しています。
NECは「MESを中心とした製造データ活用の経営貢献」というテーマでブース出展を行い、ソリューションについてプレゼンテーションを行いました。ここでは、その内容についてご紹介していきます。

多くの来場者で賑わう「AVEVA DAY JAPAN2025」の会場とNEC展示ブースの様子
多くの来場者で賑わう「AVEVA DAY JAPAN2025」の会場とNEC展示ブースの様子

NECが提供するプロセス製造業向け製造実行システム「AVEVA MES」

NECでは、プロセス製造業向けの製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)をご提供しています。

MESは、生産指示を出し、原材料をどれだけ投入して、どれだけ出来高が得られたか、不良品はどれだけ発生したかといった製造プロセスの状況をリアルタイムで把握し、生産効率の最大化を目指すための情報一元管理が可能なソリューションです。
このMESに蓄積されるデータの活用が求められる背景として、プロセス製造業をめぐる現在の事業環境が挙げられます。

特にグローバル展開や多角化している企業においては、地政学リスクや自然災害、ニーズの多様化、テクノロジーの進化といった事業環境の複雑性や変化スピードが増しており、ますます事業変革を早めていくことが求められます。

製造業に求められるケイパビリティ

製造業に求められるケイパビリティとしては、こういった市場変動において、予測が難しいリスクに対してマネジメントしていく対応力が求められていると考えており、「最適地生産」「戦略的ポートフォリオ転換」「有事の対応スピード強化」「グローバル工場運営」の4つの経営課題が重要になると考えています。

「製造業に求められるケイパビリティ想定」に関する説明スライド

1つめは「最適地生産」。例えば複数の製品を扱い、複数の拠点を持つ企業が、需要の変動や取引先の変更などによって生産量を増やす場合、新しい工場を作った方がよいのか、既存の工場にラインを増設した方がよいのか、あるいは既存の生産設備の稼働率を上げる対応がよいのかの判断が必要になります。

「Case.1 最適地生産」に関する説明スライド

判断材料の1つとなる内部データとして、既存工場の生産能力、各工場の採算性といった情報が重要になると考えており、MESのデータが活用できます。

2つめの「戦略的ポートフォリオ転換」では、製品ラインナップにおいて、新製品を作った方がよいのか、減らした方がよいのか、各製品の供給量やビジネスエリアの拡大を検討した方がよいのか、といった判断が求められます。

「Case.2 戦略的ポートフォリオ転換」に関する説明スライド

ニーズの多様化やトレンドの変化に対してこのような判断を的確にするためには、製品ごとの採算性や、工場ごとの採算性を正確に把握できる仕組みが重要になってくると考えています。

3つめの「有事の対応スピード強化」においては、自然災害や工場で事故が発生して稼働できなくなってしまうといったことが起きた場合、生産できなくなった分をどこでまかなえばよいのか、物流調整を含め素早い判断が必要になります。

「Case.3 有事の対応スピード強化」に関する説明スライド

そのような事態の判断材料の1つとして、工場ごとの在庫量や、拠点ごとの生産能力や設備観点での制約事項、他拠点の生産計画と稼働率がどれぐらいなのか、といった状況を素早く把握する必要があります。

4つめの「グローバル工場運営」については、工場のベストプラクティスを他工場に展開していくという考え方です。特に日本だけでなくグローバル展開されている企業も多いと思いますが、生産性が高い拠点の操業を真似して横展開していくことが改善のスピードを上げていく上で重要と考えています。

「Case.4 グローバル工場運営」に関する説明スライド

どこの拠点が優れているのかを判断するためには、各拠点のデータを横並びで可視化する必要があります。また、生産性のボトルネックになっているのはどこのどの工程なのかも生産性改善のためには把握する必要があります。

データドリブンのマネジメントが重要な理由

以上は、MESのみで実現できることではなく、最終的には全体を見える化して経営ダッシュボードのような形に集約することが重要です。データを見える化して分析し、具体的な施策の検討がされて意思決定を行い、実行する。そのPDCAのサイクルを早く何回も回す。そういった世界観を実現するための仕組みを構築する必要があると考えます。

「データドリブン経営実現に向けたシステム化ステップ(製造領域中心)」に関する説明スライド

その仕組みのイメージを図の「Step2」に示しています。
今回ご紹介しているMESと、上位のERP(生産管理)やIoT Platformを繋ぎ、最終的にダッシュボードで見える化して、そこに様々な外部環境データも捉えるようにすれば、先述の世界観を実現できると考えています。

MESデータ整備の重要性

ただし、一足飛びに「Step2」に向かうのはハードルが高いため、「Step0」で示すようにERPやMESはそれぞれあるがデータ連携がうまくできてないといったお客様に向けてまず我々がご提供したいのは、「Step1」の仕組みです。

ERPやMES、IoT Platformをまずは繋げるということが重要になると考えています。
「Step1」の貢献価値としては、MESの情報を集めてIoT Platformで見える化する、更にERPにも連携することによってより詳細なMESのデータを活用した価値が提供できると考えています。

「Step1 貢献価値」に関する説明スライド

例えば、ERPでは、モノが100円の原価でできていて、1個売れると粗利はいくら出るかといった考え方で管理がされていますが、実際の製造現場側で見ると、100円ではできずに105円かかっていたという現状もあると思います。そこで、それぞれを繋げることで、本当にこの製品は利益が出ているのかという分析と、必要な意思決定が行なえるようになるということです。
つまり、経営課題を判断するためにMESのデータを整備することが重要になるということです。

システムイメージとしては、IoT PlatformとMESを連携させて、品質管理や、ダッシュボード化によって横並びで比較分析する機能を持たせます。上位のERPとの連携に関しては、原価管理や受発注の管理などをより精緻にすることができます。
データ活用に向けたMESについては、製造実行に閉じるのではなく、MESを中心にしながらERPやPLM、IoT Platformと連携させることがポイントです。お客様によっては、拠点ごとにMESがバラバラなゆえにデータの統一性がなく、横並びで比較評価ができない状況があります。横串で見ている部門からすると、統一して見たいというニーズがあるかと思いますので、拠点間で共通化されたMESパッケージを展開することが重要になると考えています。

「製造領域のデータ活用に向けた要は、MES」に関する説明スライド

MES 活用がもたらす未来への展望

今回の「AVEVA DAY JAPAN 2025」では、MES を中心とした製造データの活用が、いかに経営レベルの意思決定や競争力強化に貢献できるかを説明しました。変化の激しい事業環境において、データドリブンのマネジメントを実現することは、プロセス製造業にとって欠かせない基盤となりつつあります。
NEC は今後も AVEVA 社との協業を通じ、MES を核とした統合的なソリューションを提供し、お客様の持続的な成長と事業変革を力強く支援してまいります。

笑顔で談笑するNEC 山下と笹田
ぜひお気軽にお問合せください!(担当:NEC濱田)

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