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プロセス製造業のDX/GXとは~NECが描く10年後のものづくりと道標~
AVEVA Day Japan 2024レポート【2024.12.18】
カテゴリ:SCM/MES/FSM生産技術・製造
2024年11月21日、グランドニッコー東京台場にて「AVEVA Day Japan 2024」が開催され、
NECはブース展示および専門トラックにて講演を行いました。
[目次]
過去最大の来場者数を記録した「AVEVA Day Japan 2024」
AVEVA社はイギリスに本社を構え、日本をはじめ世界約40か国にお客様を擁する産業用ソフトウェアのリーディングカンパニーです。NECは2022年よりAVEVA Japan社とMES領域おいて協業を開始し、日本のプロセス製造業のお客様にご提案しています。
「AVEVA Day Japan」は、AVEVA Japan社とパートナー企業によるプライベートイベントとして毎年開催されており、今年は過去最大の来場者数を記録し大盛況となりました。
プログラムとしては、AVEVAバイスプレジデント・日本統括の小暮正樹氏などによる基調講演に続き、4つの専門トラック(“Design for future” “Operate for future” “Energy transition” “Future digitalization for maritime”)にて計30以上の講演が行われました。
NECは、“Operate for future”トラックにて製造システム統括部の櫻井崇士が登壇。
「プロセス製造業のDX/GXとは~NECが描く10年後のものづくりと道標~」と題し、プロセス製造業を取り巻く現在の状況や課題、および解決に向けたNECからの提案について講演しました。
また、ロビーでは協賛企業の展示ブースが設けられ、多くの方がブースの前で足を止めて熱心に説明を聞く様子がうかがえました。NECのブースでは、AVEVA MESのデモも交えながら櫻井の講演と連動した内容の展示を行いました。
次項では櫻井の講演内容についてご紹介します。
NEC講演:「プロセス製造業のDX/GXとは ~NECが描く10年後のものづくりと道標~」
【講演者のご紹介】
NEC 製造システム統括部 ディレクター 櫻井崇士
製造業のお客様に対して、パッケージを中核とした基幹業務・生産業務システム構築・導入コンサル・SEを経験した後、現在はプロジェクトマネージャ・事業企画・AI適用業務に従事している。
1. プロセス製造業を取り巻く環境と方向性
ここ数年のプロセス製造業のお客様との会話から、主たる環境変化や課題は次の4領域に整理できると考えています。
- ①EU主導によるGXの取り組みが急拡大し、国などが規制化や支援を後押し
- ②諸外国の自国優先の政策・法規制によるサプライチェーン再構築
- ③生成AIやIoTの急発達と国内のDX投資遅れ
- ④少子高齢化による労働力、人材の不足
こうした環境変化によって、操業継続リスクが高まっていると言えます。
まず、環境面ではカーボンニュートラルの取組みが挙げられます。日本においては、CO2排出量の34%程度を占める製造業などの産業部門への削減期待が高まっています。
また、EUにおけるCO2排出量削減への規制が強まり、欧州の企業による「製品CFP(カーボンフットプリント)」の開示要求が日本企業に対しても始まっています。
日本では、経済産業省が主導して、脱炭素などの社会課題を解決しながらイノベーションを起こすための「Ouranos Ecosystem」という国際的なデータ共有やシステム連携基盤の構築に取り組むといった動きが見られます。
次に、デジタル化についてです。ドイツの薬品メーカーは、生産体制の拡充に際し、既存工場の設備や生産管理を標準化・デジタル化して新工場に移転することにより、通常の半分以下の日数で稼働させることができました。
また、ドイツのBASF社は自社グループの枠を超え、業界でのプロセス標準化に向けて取り組んでいます。
また、「Lighthouse」という、世界経済フォーラムがDXやGXにおいて先進的で第4次産業革命をリードする工場を指定する取り組みがあります。現在、世界で172工場が選定されていますが、日本からは3工場のみにとどまっています。「Lighthouse」に選定された海外のプロセス製造業では、国や業界団体の後押しで急速にDXが進んでいます。
次に、こういった環境においてNECが想定する「環境経営の実現」「ROICなど資本生産性重視の経営」「ひとのスキルに依存しないものづくり」という3つの経営アジェンダについてご説明します。
2. 想定される経営アジェンダ
環境経営の実現
SCMやMESは、以前は生産や販売計画、在庫(PSI)の数量を把握するために用いられていましたが、今では財務において正しく原価を捉えるためや物流などのリスクを把握するためにも用いられています。これからは、環境リスクへの対応や地政学リスクなどを踏まえたSCMの最適化などに用いられるようになると考えています。
また、製品CFPは1個の製品や中間品にどれだけCO2が排出されているのか、設備においてどれだけ電力を使用しているのかといった情報を積み上げて算出する必要があると考えています。
こういったデータは、Ouranosなどのデータ基盤やPLM、ERP、そしてMESから収集することになります。
MESの使い方の最初のステップとしては、例えば分電盤と繋いで工場のフロア単位、ライン単位、工程単位の電力量を測定し、電力使用量の異常値があれば原因を探るといったケースがあると考えています。
ROICなど資本生産性重視の経営
以前は生産量性をいかに上げて労働力を無駄にしないかが問われていましたが、最近はROIC(投下資本利益率)という観点が重視されてきています。そのために、経営目標とSCMを同期させ、全社利益を最大化する戦略が求められます。
ROIC向上のためには、ROICツリーを展開して関連部門を横断してのKPI設定が重要です。
AVEVA MESは、MES層とSCADA層のデータ収集と管理を効率化し、OEE(設備総合効率)の見える化等によりROIC向上に貢献できるプロダクトと考えています。
ひとのスキルに依存しないものづくり
生産現場では、自律制御による生産の自動化が課題となっています。こうした中、住友ベークライト様は、人手不足と技術者の高齢化が進む中、多品種少量生産や高品質な製品の要求対応といった課題がありました。そこでNECは、AIの実装からデータ分析までをワンストップでご支援することで、生産性と品質向上に繋げ、国際競争力の強化をご支援しています。
ひとのスキルに依存しないものづくりにおいては、“人材”と“仕組み”の双方を徐々にステップアップさせながら活用領域を拡大することで価値が発揮できると考えています。
3. NECからのご提案(構想企画、AVEVA-MES)
以上の課題に対し、NECからのご提案について説明いたします。
まず、先に触れた「Lighthouse」の話のように、日本のものづくりにおいてDXがなかなか進まない現状があります。その要因として、海外の企業はシステム開発の内製化が進んでおり、SIベンダーの存在が少ないことが考えられます。日本の場合、事業会社がシステムを構築する際にSIベンダーに依頼する事が多く、このことが、日本企業にDX人財がなかなか育たない要因として挙げられるのではないかと考えています。
そこでNECでは、自社におけるDX人財育成ノウハウの外販を開始しており、AVEVA MESにおいても共育モデルと称する進め方をご提案しています。
NECはAVEVA MESの初期導入後、お客様が自走するための人財育成をご支援し、お客様が主体となって機能拡張や他ライン展開を進めることをサポートいたします。
また、ご検討の入り口のメニューとして、お客様のスマートファクトリー化を加速すべく経営アジェンダや現場の課題に対する解決の方向性と具体的な実行施策の策定をご支援する“DX構想企画”や、AVEVA MESを用いてスマートファクトリー化を実現するためのシステム要件を評価し、有用性をご判断いただく“AVEVA簡易評価”もご提供しております。
以上のご提案により、NECはお客様のものづくりにおけるDXやGXの実現を共に推進していきたいと考えています。
関連リンク
製造実行システムAVEVA™
Manufacturing Execution System
多様な設備やプロセスからのデータを収集でき、リアルタイムでの製造ライン監視やローコード開発機能など、品質の安全を確保しながら“ものづくり”の柔軟性を高めることが可能です。日本のプロセス製造業の工場のDX化を推進し、データドリブン型ものづくりの実現に貢献します。
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