Japan
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社長メッセージ

新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された皆さまの早期回復と、そのご家族にお見舞い申し上げます。また、世界中の最前線で献身的に治療活動をされている医療機関ならびに医療従事者の皆さまに対して、心から感謝と敬意を表し、一日も早い感染の収束を心よりお祈り申し上げます。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、生活様式・政治・経済などの仕組みそのものを変え、これまでの社会の在り方を大きく変えました。世界中のほぼすべての人が、同時に、この大きな困難に直面し、同じ体験を通じて、自らの問題としてこのパンデミックをとらえる、このような大きな出来事はグローバル化が進む近年においては初めてのことと言えるでしょう。この非常に大きな変化と向き合い、これを乗り越え、さらなるサステナブルな社会の実現に向けて、社会価値創造型企業としてのNECの真価が問われていると強く感じています。NECは今、120年間積み上げてきた強みをさらに磨き上げるため、大きな変化と進化に挑んでいます。
社会価値創造型企業NECのこれまでと現在
これまでのNECの歩みを振り返れば、創業時に掲げた「ベタープロダクツ・ベターサービス」の精神、1977年に提唱した「C&C(コンピュータと通信の融合:the integration of computers and communications)」、2013年に打ち出した「Orchestrating a brighter world」と、それぞれの時代ごとに自らの在り方を示し、一貫してより大きな価値を社会に提供することを目指してきました。しかし、創業からの100年間は自ら社会の変化の先頭に立つことで、NECが成長できてきたのに対して、直近の20年間においては、激化する競争の中でNEC自身も大きな変化を迫られる状況となり、その存在が大きく揺れ動いた時代であったととらえています。
このように日々刻々と社会が変化する中、創立120周年の節目である2020年4月に私たちNECの存在意義をNEC Wayとして再定義しました。NEC Wayは、企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」で構成しています。
再定義する際に重要視したのは「NECグループは何のために存在しているか」を明確に示すことであり、企業として大切な概念を「Purpose(存在意義)」と「Principles(行動原理)」の2つに集約しました。

* 詳しくは下記URLをご覧ください。
https://jpn.nec.com/profile/corp/necway.html
「Purpose」の中核は、「安全・安心・公平・効率」と「人間性を発揮できる持続可能な社会」です。NECグループの存在意義は、SDGsの目標で示されているようなグローバルでの社会課題を解決することであり、人々の安全や安心だけでなく、公平性や効率性をも提供することにあります。私たちNECグループは、いつの時代のどのような状況であっても、地球環境と共存し、人々が持つ潜在的な能力を最大限に発揮して、人と人とが相互に深く理解し合えるサステナブルな社会を創っていきます。
そして、組織として行動するうえで必ず守るべき原則を、「Principles」として3つの行動原則を定義しています。
創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」のもと、社会との信頼関係を構築する基盤である「インテグリティ(高い倫理観と誠実さ)と人権の尊重」、そしてステークホルダーの皆さまとの対話・共創(Orchestrating)により技術革新にとどまらない「イノベーション」を追求することで、社会課題を解決し価値を生み出していきます。また、当社は2005年に社会と企業のサステナブルな成長を目指す世界的な取り組み(イニシアチブ)である「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野における10原則をふまえた企業活動を推進しています。
これらが再定義したNEC Wayに込めた思いであり、NEC Wayを実践することでSDGsの達成にも貢献できると考えています。

2020中期経営計画の達成に向けて
将来に向けた大きな変革の第一歩として策定した2020中期経営計画では、「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」の3つのテーマを設定し、2018年度がギアチェンジ、当年度の2019年度をターンアラウンド、そして最終年度となる2020年度をオフェンスの年と位置づけ、NECグループを成長軌道に乗せる計画です。設定した3つのテーマについて、当年度までの進捗をご説明します。
2020中期経営計画目標値

収益構造の改革
まず、「収益構造の改革」の進捗についてです。
SGA削減では、変革のための投資を継続できる強い収益体質を築き上げるため、2018年度に特別転進支援施策と生産拠点の再編を実施しました。
事業構造の改革では、課題であったワイヤレスソリューション事業の黒字化を当年度に実現し、電極事業については2018年度中に売却を完了しています。また、エネルギー事業については、従来、収益改善に繋がるパートナリングを目指してきましたが、そこに至るまでに時間を要する状況であることに加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も重なり、これ以上の先送りは困難と判断しました。今回、NEC Energy Solutions社における新規受注を停止し、契約済プロジェクトの完工や保守などの保証義務の履行のみ継続することを決定しています。

成長の実現
次は、「成長の実現」についてです。海外では、買収した英国のNorthgate Public Services社(以下、NPS社)と、デンマークのKMD Holding社(以下、KMD社)のPMI(Post Merger Integration)は順調に進捗しており、シナジーの創出や、NPS社、KMD社を通じたさらなるM&Aによって提供価値を拡大していきます。
国内では、5Gの商用サービス実現に向けて取り組むとともに、日本電信電話(株)と「革新的光・無線技術を活用したICT製品の共同研究開発およびグローバル展開を目的とした資本業務提携」について、また楽天モバイル(株)とは「コンテナ技術を導入したStand Alone方式の5Gコアネットワークの共同開発」について合意するなど、自社のみだけではなく共創を通じた事業拡大にも取り組んでいます。

実行力の改革
最後に、「実行力の改革」についてです。実行力の改革は、事業開発力の強化とNECのカルチャーの変革という2つの軸で取り組みを進めています。
事業開発力の強化では、従来の課題であった自前主義からの脱却を進め、既存の枠組みを超えた新たな価値を創造することで、最新技術のマネタイズを加速させています。加えて、当社は新たに創薬関連事業への参入を決定しており、最新技術を活用した医療システム事業とともに、ヘルスケア領域での価値創造を推進しています。
カルチャー変革については、2020中期経営計画において、従業員の力を最大限に引き出し、やり抜く組織を実現するために「経営の結果を厳しく問う」「イノベーティブな行動や挑戦を促す」「市場の変化・複雑化にスピーディーに対応する」ことを掲げました。「経営の結果を厳しく問う」ために、執行役員の評価制度を刷新するとともに、責任と権限をあらためて明確化し、1年任期の委任契約とすることで結果責任を厳格化しています。「イノベーティブな行動や挑戦を促す」ためには、実行した人が報われ賞賛される評価・報酬制度の導入を進めており、「市場の変化・複雑化にスピーディーに対応する」ためには、多様なタレントの幹部・社員への積極的な採用・登用を進めています。

このように2020中期経営計画を達成すべく3つのテーマそれぞれに取り組んできました。当年度の第4四半期には、新型コロナウイルス感染症拡大による急激な環境変化に直面しましたが、当年度の業績への影響は限定的なものに抑えることができました。その結果、通期の業績においても、すべての報告セグメントが前年度から増収となり、1997年以来23年振りに過去最高益を更新しました。この業績の結果は、単に市場環境が良好に推移しただけではなく、2020中期経営計画も含めた私たちNECのこれまでの取り組みが、お客さまの変化やニーズに合致した結果だと評価しています。
新たな社会の変化におけるNECならではの価値創出
2020中期経営計画における最終年度である2020年度は、パンデミックの影響により経済全体が失速する懸念が広がる一方で、これからの新たな社会“New Normal”へ変化するための需要も生まれてきています。私たちNECは、社会とお客さまのこれからの未来を共に考え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することで、新たな環境においても持続性を確保していくとともに、お客さまが価値を創出し続けられるような変革を実現できると考えています。
NECは、このNew Normalに向けた変化を、「人」と「社会」の2つの観点でとらえて、取り組みを推進していきます。
「人」の変化としては、感染拡大を避けるために移動や対面の必要性が見直され、働き方をはじめとするさまざまな社会活動において、これまでと異なるやり方が導入されることで、人々の暮らしや生き方に新たな安全・安心を実現する習慣や生活様式が生まれようとしています。また、「社会」の変化としては、今まで以上に安全かつ効率的で公平な社会サービスを目指し、AI(人工知能)を活用した作業の自動化や、全体最適の実現などにより、困難な状況下でも社会を動かし続けることが求められ、経済効率性だけでなく事業継続性も考慮した変化が求められます。
これら「人」と「社会」の変化に対応するため、今まで以上にデジタルの力が必要となることは確実であり、リモートやオンライン、非接触、自動化/省人化、可視化/信頼性といった要素が重要となってきます。事実、世界中の企業でリモートワークの導入が急激に進んだことや遠隔医療が承認されるなど、新型コロナウイルス感染症発生以降の数カ月の間にも劇的な変化が始まっています。
NECは自社の強みであるネットワーク、IT、AI、セキュリティの技術を掛け合わせ、「社会と暮らしのDX“NEC Safer Cities”」「企業と産業のDX“NEC Value Chain Innovation”」の提供を通じて、社会やお客さまのDXを実現できると考えています。
また、DXの実現を支えるネットワーク、つまり人やモノを起点とする膨大なデータの流通を支える基盤が非常に重要となります。通信インフラにはさらなる大容量化・高度化が期待されるとともに、基幹インフラとして安全性・信頼性の確保が今まで以上に求められています。これらを牽引する次世代通信規格5G、さらには次の「ポスト5G時代」に向けた開発もすでに進行し始めています。
加えて、中長期的な新たな事業創出として、AIを活用したがんなどの先進的免疫治療法に特化した創薬事業へ本格参入しましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、個別化がんワクチンの開発に使用しているAI予測技術を、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン設計の遺伝子解析に適用し、解析結果を公開しています。
AIを活用した個別最適化による免疫情報の分析などにより、治療の選択肢を増やすことで、がんや新型コロナウイルス感染症などに罹患してしまった場合でも、より希望を持てる社会にできるよう貢献していきます。
社会やお客さまのDX実現に向けて取り組む一方で、NECは自社でのDXによる価値創出にも取り組んでいます。具体的な取り組みを2つご紹介しますと、1つめはNEC本社ビルの入退場ゲートでの、顔認証技術と虹彩認証技術を統合したマルチモーダル生体認証の実証実験です。NECグループの従業員11万人を対象とした今回の実証実験では、マスクやサングラスなどを装着した場合でも、本人かどうかを高精度で識別できることを確認しています。荷物で両手がふさがっている場合や、パネルやカードなどを介した間接的な接触を避けて衛生的に本人確認が求められる場面など、さまざまな用途での活用を目指しています。
2つめは、NEC本社ビルにオープンしたNEC Smart Storeです。この店舗では、生体認証による入店の際の本人確認と、商品をレジに通さない自動精算を行っています。店舗の省人化により、レジ待ちによる混雑回避を可能とするだけでなく、店舗側でのレジ対応の負担や感染リスクを抑制することができます。
また、生産性の向上を目的とした働き方改革の一環としてリモートワークを推進しており、国内における非常事態宣言下には、NECグループとして約6万人規模のリモートワークを実践しました。今後もこうした新しいワークスタイルを継続し、オフィスに出社する従業員を3割程度に抑えるなど、私たちNECの事業活動もすでに変化しています。
詳しくは統合レポート2020P.17「特集:New Nomalに対応するDXの取り組み」
自社での取り組みについては、P.23「社会感度の高い人財育成」をご覧ください。
2020年度は、このように中長期的な価値創出につながるNECならではの新たな事業の基礎を作りこんでいきます。NECをさらに強い企業にするためには、将来を見据え、一歩先に立つ事業に取り組んでいくことが必要です。NECにはネットワークとITを基礎とし、AIとセキュリティの技術までをカバーする120年間蓄積した明確な強みがありますが、それぞれの強みを組み合わせることにより、社会価値創造型企業として経済価値と社会価値を最大化するNECならではの事業を創造していくことが今後の成長の鍵となります。
新しいNECへの第一歩
創業から120周年を迎えた2019年度は、NEC Wayを再定義するとともに、NECが再び成長に向けた軌道に乗ることを目指してきた年でした。折しもその終盤に世界を巻き込むパンデミックが発生し、経営環境は2020中期経営計画がスタートした3年前に想定していた状況から、大きく様変わりしていますが、NECが手掛けるDXに対する期待とその需要は、従来とは比較にならないほど大きく高まっていることは間違いありません。新たな成長に向けて、今こそNECの真価を発揮し、期待に応えていく状況であると強く感じています。NECが次の100年、さらにサステナブルに成長していくために、社会価値創造型企業としての存在価値を高め、世界に示しながら、新たな時代に向けて人と社会の変化を実現していきます。