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こんにちは。NECで主に官公庁・自治体のお客様向けのご支援をしている堀田です。
ここでは、クラウド化の手法や考慮点について、わかりやすく解説していきたいと思います。
堀田 佳宏(ほった よしひろ)
NEC
パブリックビジネスユニット
官公ソリューション事業部門
官公インテグレーション統括部
上席プロフェッショナル
2024 Japan AWS Ambassadors
2024 Japan AWS Top Engineers(Services)

これまでの情報システム
クラウドが登場する前は情報システムを動かすには、自ら高性能なコンピューター(サーバー)を用意することが一般的でした。高価かつ精密機器であり、重要情報を処理していますので、サーバー室やデータセンターなど堅牢な施設に設置して管理するオンプレミスと呼ばれる方式で運用していました。
クラウドの登場
現在、AmazonやMicrosoftといった企業による「パブリッククラウド」サービスが登場しています。ポイントは、クラウドサービス事業者がサーバーを用意し管理してくれることです。利用者は、インターネットと操作するパソコンがあれば、提供される管理画面を通じて数分でサーバーを利用できるようになります。これは回転寿司やファミリーレストランのタッチパネル注文のような感覚です。
これにより、利用者が自らサーバーを用意する必要がなくなり、さらに全てをパブリッククラウドに移行してしまえば手元にサーバーはなくなりますので、サーバー室やデータセンターも不要となります。このようなパブリッククラウドのサーバーサービスを利用して情報システムをクラウドへ移行することをクラウドリフトと呼びます。
クラウドサービスの活用
パブリッククラウドサービスでは、サーバーサービスだけでなく、様々な「マネージドサービス」も提供されます。これまでは、まずはサーバーを用意して、データベースソフトやデータ保管ソフトなどをインストールしてそれぞれの用途のサーバーを構築していました。マネージドサービスでは、それらをサービスとして提供しています。クラウドストレージのBox、動画共有サービスのYouTube、メールサービスのGmailのようなイメージです。
また、サーバーを利用する際は、WindowsなどのOSやセキュリティ対策など様々な考慮が必要でした。マネージドサービスでは管理すべきサーバーもOSもないため、それらの考慮が不要となるメリットがあります。
パフォーマンスについてもメリットがあります。従来のオンプレミス方式やクラウドリフト方式では、サーバーの性能や台数によって情報システムのパフォーマンスの変動を調整します。しかし、マネージドサービスの多くは、状況に応じてパフォーマンスが自動調整されます。これにより、システムの柔軟性向上が見込めます。また、1つの情報システムを複数の団体で共同利用する場合でも、それぞれの利用団体でパフォーマンスが自動調整されますので、マルチテナントが実現しやすくなります。
その他にもマネージドサービスの活用には様々なメリットがあり、今後の情報システムの高度化・多様化には欠かせないものとなっています。このようなマネージドサービスを活用した情報システムの移行をクラウドシフトと呼びます。クラウドシフトによる情報システムの構築について、デジタル庁では「モダン化」(モダナイゼーション)と称して、積極的に推進しようとしています。
クラウド移行方式の選択
クラウドを利用すればメリットのみが得られるわけではありません。特にセキュリティは重要な考慮事項となります。従来は、情報システムのセキュリティ対策に加えて、堅牢なサーバー室やデータセンターなど物理的な設備で情報システムを保護していました。
パブリッククラウドでは、クラウドを正しく設定し制御することでセキュリティを担保します。逆に、セキュリティ設定を誤ると第三者からデータが閲覧されてしまうなどのリスクがあります。クラウドは簡単に始められるように作られている反面、適切なスキルを有する技術者が細部を確認し、一貫性のある対策をしなければセキュリティリスクのあるものとなってしまいます。
本コラムでは、簡単ですがクラウド化の手法や考慮点についてご説明しました。
現在、クラウドリフトによるサーバーの移行、クラウドシフトによるサービスの活用による情報システムのモダン化、それらを組み合わせた移行など、様々な刷新方法の選択肢があります。情報システムの特性を踏まえ、最適な移行方式の選択が今後の情報システム刷新には求められています。
クラウドリフト | クラウドシフト | |
---|---|---|
ポイント | クラウド上でサーバーサービスを起動しアプリケーションを移行する | クラウドのマネージドサービスを活用しアプリケーションを移行する |
アプリケーションの移行難易度 | 低: アプリケーションの変更は最小限 |
高: アプリケーションの再設計・再開発が必要 |
パフォーマンスと拡張性 | 限定的: クラウド上に用意するサーバーの性能や台数によるパフォーマンスと拡張性の制御による限定的なクラウドメリットの享受となる |
高: クラウドマネージドサービスによるパフォーマンスの自動拡張/縮小が最大限活用できる |
クラウド利用コスト | 固定的: 利用状況に関わらず固定的なクラウド利用コストとなる場合が多い |
合理的: いわゆる「使った分だけ」の支払いになる場合が多く、利用状況に応じた合理的な利用コストとなる場合が多い |
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[クラウド関連コラム]クラウド検討の過渡期におけるお困りごとを解決
https://jpn.nec.com/government/solution04/col.7/index.html
(NEC 官公ソリューション事業部門)
「徹底解説!病院の情報システムの刷新に関する政府施策のポイント」 目次
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[クラウド関連コラム]クラウド化の手法や考慮点
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