「NEC デジタル・ガバメント Day 2022 -行政DXの社会実装に向けて-」
イベントレポート

開催日:2022年11月30日(水)
主催:NEC
文責:NEC

質疑応答

質問①
行政DXを進めようと思っても役所が古い体質で中々変わっていきません。ブレイクスルーするためのアドバイスをいただきたいです。

成田氏 まず、役所が古い体質で中々変わらないのは、変わらないと思います。法的セクターや役所はある意味で保守的で、変わらなくても競争で淘汰されるわけではないので、変わりにくいという体質自体は変わりようがないのだと思います。

唯一希望があるとすると、時々、謎のおかしなリーダーが現れる局面を活かすことだと思います。例えば知事、首長、部局長、あるいは改革派の大臣のようなレベルで、何か大きな炎上リスクを背負ってでもこれをやらなくてはいけない、例えばDXやデータ活用を推し進めなくてはいけないというような、謎の野心と謎のビジョンに駆り立てられたリーダーが生まれる局面というのが時々あると思います。

その時に、そのリーダーを一気に担ぎ上げて、改革チームをドカッと作るという準備を絶えずしておくという事が大事ではないかなと思います。なので、現場レベルでいうと、そういった政治側、あるいは行政側からの突然変異的なリーダーが生まれることを期待しながら、それが生まれてきたときに一気に物事を進める準備をしておくという事がいいと思っています。

質問②
これからの公務員に求められる能力、スキルは何だと思いますか?成田さんの観点で公務員に求められる資質があれば教えていただきたいです。

成田氏 2つあります。1個は一般の民間企業でも働けるような、一般的でジェネラルな能力をどう身に着けるかという問題。もう1個は、研究機関とか専門種としても通用するような専門能力をどう身に着けるかという問題です。

公務員の方の難しいところは、その公的機関とか役所という特殊な業界で働かれているので、油断しているとその特殊な業界の慣習に従って業務を進めるための特殊な能力とかスキルばっかり身につけてしまうという傾向があると思います。実際、霞が関の役人の方でも、東大とかを出て役所に入ったりすると、徹夜で政治家のための答弁文書を作るような、他の場所へ行ったらほぼ何の役にも立たないようなすごく特殊なスキルを24時間体制で磨くというのをやらざるを得なくなる。その中で気づくと他の場所では通用しなくなっているという状況があると思います。

そう考えると外に出ても通用するような能力があり、かつ公務員としての法的セクターの内側のこともわかっている、どう行政を動かすこともわかっているというような方が増えるとすごく強いんじゃないかなと思います。同じようなことが専門性についても言えます。

公務員はローテーション制があり、同じことを長くやって専門性を突き詰めることが難しい側面もあると思います。しかし、例えば研究機関で研究者とも渡り合えるような分析能力とか議論能力みたいなものがある方とか、場合によってはIT企業とかテック企業に行っても戦えるような技術力とか、あるいはコーディング能力がある、少なくとも議論が出来たる方など、専門性がある公務員の方がいると非常に強いと思います。

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