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ENEOS株式会社様
データ活用を軌道に乗せるための伴走型の支援
クライアントゼロとして積み上げたNECの経験に期待
- 業種:
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- 電力・エネルギー
- 業務:
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- その他業務
- ソリューション・サービス:
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- サービス/コンサルティングサービス
事例の詳細
データを集め、分析する仕組みを構築しただけではデータ活用は成功しない。その気付きのもと、ENEOS様は、データ活用文化の醸成と環境整備に取り組んでいます。共に取り組んでいるのがNECです。まず、社内の機運を高めるためのさまざまなコンテストの開催、コミュニティ活性化などに取り組み、関連する社内コミュニティ参加者を大幅に増加させるなど、十分な成果に結びつけました。
仕組みを構築しただけではデータから価値を引き出せない
ENEOS様は、グループの長期ビジョンにおいて、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け挑戦することを掲げています。
この達成には「確かな収益の礎の確立」、「エネルギートランジション実現への取り組み加速」、「経営基盤の強化」が不可欠であり、特に経営基盤強化のためにはデジタル技術の活用が重要施策と位置付けており、策定した「ENEOSデジタル戦略」のもとDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。
DXで目指すのは既存事業の最適化、新規のビジネスや顧客基盤の創出、そしてカーボンニュートラルの実現です。「例えば、制御システムのデータを活用してプラントの最適な稼働を目指す、全国に展開しているサービスステーションのネットワークを通じてガソリン供給以外のサービスを提供するなど、さまざまな施策を検討しています」と同社の高田 勝氏は話します。
DXのカギを握っているのがデータです。データを分析して、そこから得た洞察のもと、迅速かつ精度の高い意思決定を行うデータドリブン経営の実践などを目指し、同社は全社の多様なデータの統合や横断的な活用を可能とするデータ分析プラットフォームを構築しています。
しかし、仕組みを用意するだけではデータの価値を十分に引き出すことは難しいとも考えていました。「各部門から、どのようなデータを、どう集めれば、どんな可能性が広がるのか。その際、秘匿性の高い情報などは、どのように守るべきか。それらを定めたルールは、どのような内容を網羅しなければならず、誰が管理していくかなど、さまざまなノウハウが必要だということに気付きました」と高田氏は言います。
また同時に気付いたのがデータ活用に取り組む姿勢の重要性です。どんなに優れた仕組みを構築し、ルールや体制を整備しても、そもそも人に意思がなければ、それらは無用の長物です。「これまで個々のデータを全社的に活用する習慣や文化がなかったことから、部門によっては他部門にデータを提供することに不安を感じたり、負担が高まるのではないかとおよび腰になったりしている場合もあります。それらを払しょくし、積極的な姿勢を引き出す必要があると感じていました」(高田氏)。
NEC社内での試行錯誤で培ったノウハウに期待
これらの気付きのもと、同社が決めたのが外部の企業からの支援を受けることです。「解決しなければならない課題は無数にあり、取り組みが多岐にわたることはわかっていましたが、私たちにはどこから手を付けるべきかの判断も難しいし、各課題に対する最適な解決策も持っていない。専門家の支援が必要だと考えました」と高田氏は言います。
そこで選んだのがNECです。
現在、NECは、自身をゼロ番目のクライアント「クライアントゼロ」と位置付け、お客様に先んじてさまざまな課題解決に挑戦。その経験とノウハウをもとにお客様のDXを支援しています。同社も、実践的な支援に期待したといいます。
「現在、NECさんがデータ活用に積極的に取り組んでおり、多数の成功事例を持っていることを紹介した上で、それに至るまでには、私たちと同じような課題に直面し、失敗を繰り返しながら、一つずつ解決してきたことを話してくれました。その経験で培ったノウハウをぜひ提供してほしいと考えました」と高田氏は話します。
コンテストやコミュニティを通じて興味を喚起
NECは、データ活用を成功させる取り組みを「組織/統制」「分析/活用」「基盤」「文化」「人材育成」の5つの柱で表現しています。ENEOS様は、既に基盤を構築していたため、残る4つの柱を整理し、下記の2つの方向性から取り組みを進めています。
1つは「データドリブン文化の全社展開」です。データ活用文化の醸成、データリテラシーや分析力向上のための施策などが考えられます。もう1つの方向性は「データ分析・活用環境の整備」です。施策としては、データマネジメント専任組織による統制、社内の誰もが高度な分析を利用できるデータ分析社内サービスの構築などが挙げられます。
ENEOS様は、まずデータに対する理解を深め、成功体験を積み上げ、データへの期待を高めることが先決と考えてデータドリブン文化の全社展開から取り組みを開始しました。具体的には、データを活用するさまざまなコンテストの開催と社内コミュニティ活性化を通じた文化の醸成です。
「直近のコンテストでは、予測分析の精度を競う『予測精度コンテスト』と、データ活用のアイデアのビジネス価値で勝負する『データ活用コンテスト』の2つの部門を開催しました。NECさんと共同で事務局運営を実施し、参加者が挫折することなく成功体験を得られるようにレベル別にしたり、定期的にヒントを発信したり、さまざまな工夫を凝らしました。開催後のアンケートを見ても非常に満足度が高く、多くの参加者が次も参加したいと言い、参加者は回を追うごとに増加しています」と同社の池田 聖氏は言います。
コミュニティ活性化については、NECもコミュニティに参加して、生成AIなどの最新のトレンドを取り入れたコラムを投稿したり、勉強会を開催したりしています。「こちらも注目度が高まっており、参加者が増えています」(池田氏)。
これらの成果を受けて、同社はデータ分析・活用環境の整備についても取り組みを開始。データマネジメントグループという部署を新設し、データを適切にマネジメントするための社内ルールの制定に着手。さらに同グループにて、各事業部門のニーズに応えるべく、データ分析社内サービスの提供を進めています。
「コンサルタントの支援を受けたことはありますが、NECさんの支援方法は、これまでとは全く違う。ENEOSのオフィスに来て、隣の席に座り、メンバーと一緒になって考え、行動してくれる姿は、文字通り『伴走型』。私からすると、グループのメンバーが増えたような感じです」と高田氏はNECの支援を評価します。「そばにいるので困ったらすぐに相談できる。同僚のように身近でありながら、データに関する豊富な専門性も備えている。非常に心強く感じています」と池田氏も続けます。
先ほど紹介したデータマネジメントグループの発足は、同社にデータ活用文化が芽吹いた証でもあります。「ようやく軌道に乗せた取り組みを継続し、さらに大きな機運を醸成しながら、成功体験を積み上げていきたい。コンサルタントとしてだけでなく、共にビジネスを創るパートナーとしてもNECさんに期待しています」と高田氏は述べます。
データ活用の成功のための5つの柱
NECは、データ活用の成功に向けた取り組みを「組織/統制」「分析/活用」「基盤」「文化」「人材育成」の5つの柱で表現。ENEOS様への支援も、この考え方を基に行った
現場が使いたいと感じ、自然と情報共有が進むデータ基盤
成功体験だけでなく、失敗を繰り返した経験を持っていることがNECのDXコンサルティングの強みだと考えています。
例えば、ENEOS様と同じように、NECもデータドリブン経営を目指す中で何度も部門の壁に跳ね返されたりしてきました。無数の失敗と試行錯誤の結果、なんとかそれを克服したわけですが、その経験を通じて、どこにつまずきやすいポイントがあり、どんな準備や根回しが有効かをよく知っています。本当に痛い目に遭ったことがあるからこそ、空論ではない、中身の濃い提案が行えるのです。
現在、共に立ち上げに取り組んでいるデータ分析社内サービスでは、どのようなルールで依頼を引き受けるとスムーズか、どのような依頼が予想され、それに対応するためにどのような機能を用意しておくかなどをお伝えしていますが、これらも、すべてNEC自身が社内サービスを立ち上げた際の経験がベースになっています。
また、各コンテストの開催支援も、NECの経験を基にしています。NECは、以前からデータサイエンティスト育成の一環として「NEC Analytics Challenge Cup」というデータ活用に関するコンテストを開催してきました。
データサイエンティストではない人にも参加してほしい。そのためには、どんな分析テーマを設定し、どのようなサポートを行うべきか。長年、開催する中でさまざまなことを考え、対応策を練りながら、コンテスト運営のノウハウを蓄積してきました。例えば、コンテストを個人だけではなく、組織全体のスキル向上につなげるために、開催後はアイデアやノウハウを共有し合うための発表会を開催しています。
今後も実践的、そして伴走型の支援を通じて、ENEOS様のビジネスの成長に貢献していきます。
お客様プロフィール
ENEOS株式会社
本社所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目1番2号 |
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設立 | 1888年(明治21年)5月10日 |
資本金 | 300億円(ENEOSホールディングス株式会社の100%出資) |
概要 | ENEOSは、石油、電力、石炭、ガス、化学品など多岐にわたる事業を通じ、資源調達から、精製・生産、物流・販売に至るすべてのプロセスを担い、エネルギーを供給しています。また、水素、風力、太陽光をはじめとする、環境に配慮した新エネルギーの開発・普及など、幅広く事業を展開しています。人々の生活や経済を支える「生命線」ともいえるエネルギーの安定的な供給を確保しながら、社会のニーズや課題に向き合い、新たな価値を創り出すことで、カーボンニュートラル社会の実現をめざす企業です。 |
URL | https://www.eneos.co.jp/ |
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(2024年5月15日)