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社会価値を創造する「NEC社会起業塾」 20年以上NECグループ社員に受け継がれる志
2026年4月9日

社会価値創造をPurpose(存在意義)に掲げるNECグループは、社会課題を解決する事業だけでなく「人」を育む取り組みを続けています。その一つが、若手起業家を育成・支援するNEC社会起業塾。その歴史は20年以上になります。NECグループの知見と共創の志を起業家の卵に伝えるのはもちろん、羽ばたく起業家からNECグループの社員に想いを還元する場も設けています。社員たちがこの取り組みから受け取っているものとは──。
お互いに得られる気づきがある──起業家と社員
「社会起業家の登竜門」。
今やこう呼ばれるようになったNEC社会起業塾は、2002年度に日本初の社会起業家育成プログラムとしてNPO法人ETIC.(エティック)とNECが協働で立ち上げました。今に至るまで、送り出した団体は70以上にのぼります。
公募で集まった塾生は半年以上かけて一流の起業家から学び、事業プランを磨きます。卒塾生には子育てやメンタルヘルス、環境など多彩な分野で活躍する起業家が名を連ねているほか、NECと連携するケースもあります。
NECはこの間の活動資金や場所を提供。このプログラムの中に、NECグループ社員と意見交換する「NEC社会起業家フォーラム」もあります。2026年は2月に開催され、社会起業塾の卒塾生と現役塾生の計8人が参加。参加したNECグループ社員と起業家一人ひとりが少人数でじっくり話し合う時間も設けられました。
社会起業家にとっては、幅広い目線での助言が得られる場。NECグループ社員にとっては業務へのヒントだけでなく、社会課題に向き合う上での気づきを得る場になっています。

社会起業家との接点が、NECグループ社員にどんな影響を与えているのでしょうか。キャリアも世代も異なる二人のNEC社員に話を聞きました。
NEC社会起業塾のレンズで、ビジネスを視る──重田の視点
「社会起業塾の資料にある起業家から一人を選んで、一緒に何ができるかを考えてみて」
10年ほど前、新規事業に携わり始めた重田篤史が、社会起業家と接点を持ったきっかけは、上司からの依頼でした。2001年にNECに入社し、システムエンジニア(SE)としてキャリアを重ねながらも、この時点で新規事業は手探りの状態。その後、目を留めた起業家と一緒に、NECの技術を用いた地域医療の仕組みづくりに挑戦しました。
業務の一環として始まった関わりは、やがて重田の仕事観にも変化をもたらします。社会課題を幅広くかつ具体的に知ることで「目の前の顧客への提案だけでなく、エンドユーザーに、そして社会にどんな影響を与えるのか」という視点が入るようになりました。

もう一つの学びは、「ロマンと算盤」の両立の難しさです。志や理想(=ロマン)がなければ、周囲は動かせない。でも、志だけでは事業(=算盤勘定)は成立しない。社会実装にたどり着くにはその両輪を回さなければならず、「逆説的ですが、ロマンだけでは実現できない現実に触れたのも社会起業塾でした」と重田は振り返ります。
次の世代にも伝えつつあります。重田の活動に興味を持つ職場の若手からもよく声を掛けられるといいます。「目の前の業務だけでなく社会的な意義を問い続ける姿勢を受け継いでいきたい」と重田は考えています。
「閉じない」ための選択──宮野の挑戦
「業務に集中するほど、社会と切り離されていく感覚がありました」
NECに新卒で入社して5年目の宮野高史は、かつて漠然とした不安を抱えていました。会社にもたれかかるのではなく、自分の足でしっかり立ちたい。そう考えて文系出身ながらSEという職を選びつつ、仕事に打ち込むほどに「世の中の動きに疎くなっていく」という不安。そんな時、社会起業塾の取り組みと出会いました。

宮野が、最も印象に残っているのは、大学の仲間と共に医療系の団体を立ち上げた起業家の取り組みです。「ガチガチにかしこまった気持ちがなくても、気の合う仲間同士でやりたいことをやろうという気軽な思いから社会課題解決に取り組み始める人たちがいる」ことを発見し、「様々なきっかけから社会課題へとつながる起業家を知ることができるのも面白みのひとつ」といいます。
「今の時代、コスパやタイパを意識し無駄を排除する『賢い』生き方を求める人も増えてきたように思うのですが」と前置きしつつ、「人生を効率の追求だけに閉じては面白くない。社会で起きていることに対し、自分で見て聞いて考え続けることに意味があるはず」と宮野はいいます。その姿勢が、NECという会社を成長させ、社会課題の解決につながる──そう、宮野は信じています。

重田と宮野、2人に共通するのは、自分で考え続ける姿勢です。社会起業家から刺激を受け、共に創り、共に悩む。社会課題を起点にビジネスを着想し、ロマンと算盤をどう両立するか。考え続けるうちに、社会課題は“特別なテーマ”ではなく、日々の仕事の起点の志になります。社会起業塾がもたらす、共創の志の好循環。これはNECがPurposeに掲げる社会価値創造の基盤の一つにもなっていきます。