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【小さく始めるAWS】
Amazon Connectを無理なく
導入するには?

クラウドコンピューティングはこの数年間で急速に普及し、企業にとって重要なインフラストラクチャとなりました。その代表的なサービスが、Amazon Web Services(AWS)です。AWSを使うことで、スケーラブルで弾力性のあるアプリケーションを構築することが可能になります。しかし、AWSには非常に多くのサービスが用意されており、その機能や使い勝手も様々です。これだけの多くの選択肢があると、AWSの初心者や経験が浅い方にとっては圧倒されることがあるでしょう。そこでオススメなのが「小さく始める」です。スモールスタートとも言われますが、初期投資やリスクを最小限に抑えつつ、AWSの習得やシステム構築を段階的に進めることができます。
AWSを小さく始めることをテーマに、今回はAmazon Connectを無理なく導入する方法を解説したいと思います。

1. Amazon Connectとは何か?

AWSが提供するコンテンツでAmazon Connectを学ぶ

Amazon Connect は、インターネットを介して利用できるコールセンター向けのサービスです。このサービスを利用することで電話やチャットでの顧客対応を効率化し、業務を改善できます。また、音声認識やチャットボット機能を提供するサービスを組み合わせる使うことで、より高度な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を提供できるようになります。Amazon Connectの詳細については、new windowAWS 公式サイトを参照してください。
Amazon Connectには、以下のような特徴があります。

  • 低い導入コスト: 従来のコールセンターシステムと比べて導入コストが低く、利用料金もコール数や時間に応じて変動するため、無駄が少なくなります。
  • システムのスケーラビリティ: 業務が拡大してもスムーズに対応できるため、ビジネスの成長に合わせて容易に拡張できます。
  • 他のAWSサービスとの連携: 簡単に他のAWSサービスと連携できるため、高度な機能追加や独自のアプリケーション開発が容易です。

前述のAWS公式サイトでは、Amazon Connectに関するさまざまな情報が提供されていますが、new windowAWSの公式ブログ(英語サイト)では、顧客事例やハンズオンワークショップ、各種サービスの更新情報などが掲載されています。また、new windowAmazon Connect再入門シリーズは初心者でもスムーズにAmazon Connectの導入や運用について理解を深めることができます。Amazon Connectを初めて使う場合は、new windowハンズオンワークショップでひと通りの操作方法を学びましょう。

2. Amazon Connect導入が自分のニーズに合うのか?

現状を整理し、具体的な仮説を立てる

はじめにコールセンター業務の現状と課題を整理しましょう。どのような業務改善が求められており、どの部分にAmazon Connectを適応すべきかを検討してください。このプロセスを通じて効果的な改善のゴールを設定し、その実現に向けたロードマップを定義します。この改善がどのように顧客対応を向上させるか(どのような成果を生み出すのか)について具体的な仮説を立てましょう。

例えば、顧客からの問い合わせの対応時間を短縮したいというゴールがある場合、課題としては、現行のシステムでは効率的な問い合わせ対応ができていないことが挙げられます。Amazon Connect の導入により、new window音声認識やチャットボット機能を利用して、効率的な対応が可能になります。

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図1(課題認識と仮説の設定)

また既に何らかのコールセンターソリューションを活用したコールセンターシステムを利用している場合は Amazon Connectとの比較を行う必要があります。まずは以下の点に着目して検討してみましょう。

  • 機能のカバー範囲:どのような業務を効率化できるのか、どの機能が Amazon Connectによってカバーできるかを把握します。
  • 導入コストと維持コスト:従来のコールセンターシステムと比較して、Amazon Connectのコストがどの程度になるか試算しましょう。
  • 連携可能なサービスやシステム:Amazon ConnectがAWSの他のサービスや社内システム、SaleforceなどのSaaSとどのように連携できるか、連携の効果を評価します。

多くの場合、既存のコールセンターソリューションをAmazon Connectだけで置き換えることはできないため、補完や拡張などを目的にAWSの他のサービスを活用することになります。具体的にどんなサービスが必要になるのかを可能な範囲で検討しておくことをオススメします。

3. Amazon Connect導入の具体的な効果を測定するには?

PoC(Proof of Concept)を実施する

PoC は、新しい技術やシステムを導入する際の大事なステップです。実際に導入する前にシステムがどのように効果を発揮するのか、また導入時に課題が生じるとしたらどのようなものなのかを事前に把握することができます。これにより、問題を早期に捉え解決を図ることで、改善をより効果的に進めることができます。

最初に設定した仮説に基づき、効果測定を行うための検証システムを構築する必要があります。あくまで仮説を検証するのが目的になるので構築するシステムは必要最低限なものに抑えることが重要です。ここぞとばかりにあれもこれも実装してしまうのはスモールスタートの流儀に反しますので注意しましょう。

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図2(仮説を検証するためのアーキテクチャ例)

次に検証に必要なシステムが構築できたら、検証のシナリオやペルソナを定義してリアルな状況でのユーザビリティ評価を実施します。実際に評価を行うことで、自分たちが期待していた効果が実現できるのか、また今後どのような改善が必要になるのかが明確になってきます。評価結果を元に、導入の是非や改善点を再考することが重要です。

4. リスクの少ない導入方法とは?

本番システムは新規に構築し、導入は段階的に行う

PoCで構築した環境とは別に新たに本番環境を構築します。PoCで構築したシステムは必要最低限な実装に留めているため、そのまま本番環境として利用するにはリスクがあります。特にセキュリティ面など本番環境として利用するには考慮すべき事項が多々あるのでPoCで利用したシステムは一旦破棄し、新たに本番環境を想定した設計を行い、新たにシステムを構築しましょう。

本番環境への移行は、一度にすべてを切り替えるのではなく、段階的に進めることがオススメです。例えば、まずは対象業務の一部をAmazon Connectに移行して効果を確認します。次により多くの業務に適用し、徐々にAmazon Connectの利用範囲を拡大していきます。この過程で従業員からのフィードバックを収集しシステムの改善や運用方法の見直しを行うことで、より効果的な導入が可能となります。また、導入後もサポート体制を維持することで従業員からの質問や問題に迅速に対応できるようにしましょう。これにより、今後のスムーズな移行に加え、効果的なシステム運用も実現できるようになります。

5. さらなるカスタマーエクスペリエンスの向上を図るには?

他のシステムやサービスと連携する

Amazon Connectは社内の CRM(顧客管理システム)やデータベースとも連携が可能です。顧客情報の一元管理や履歴の追跡、業務の効率化など様々なことを改善できるようになります。具体的な連携の方法はnew windowAmazon Connect のドキュメントを参照してください。

Amazon Connectを効果的に活用するためには、システムの改善を継続して行うことが大切です。他のサービスやシステムと連携して、より効果的な運用を目指します。最初に設定したゴールやロードマップを見直しながら改善を進めていくことが、カスタマーエクスペリエンスの向上につながります。
例えば、Amazon ConnectとAmazon Lex(チャットボットサービス)を連携させることで、自動応答が可能な顧客対応が実現できます。また、Amazon Lambda(サーバーレスコンピューティングサービス)を利用して、顧客情報の取得や任意のデータ処理が効率的に行えるようになります。

6. さいごに

カスタマーエクスペリエンスの向上は継続的な改善と模索から

カスタマーエクスペリエンスの向上に絶対的な正解はなく、常に模索することが大切です。コールセンターにも変化への柔軟性が求められ、更にはシステムや組織、プロセスにも柔軟性や強さが求められていきます。AWSで提供されている Amazon Connectは、その点で非常に適したサービスです。ぜひ無理なく導入し、カスタマーエクスペリエンスの向上に役立ててください。

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