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多様な人材が集結したワンチームで
AIの社会実装を加速する
「BluStellar」が企業と社会の課題を解決
2024年8月、NECはAIテクノロジーサービス事業部門を立ち上げた。多様かつ深い知見と経験を持つエキスパートが集結し、AI(人工知能)の実装と活用に必要な一連のプロセスをサポートする強力な体制が整備された。そのチームを率いるのが、NECで長くAI研究に携わり事業経験も豊富な山田昭雄氏である。「BluStellar(ブルーステラ)」の大きな柱であるAI事業の強みと特長、どのような価値創造を目指すのかを山田氏に聞いた。
AIテクノロジーサービス事業部門を新設
先端AI/生成AIの事業化が加速する
「私たちが目指すのは、“AI Everywhere(どこでもAI)”の世界です」と話すのは、NECの山田昭雄氏である。山田氏は工学博士号を取得後、1993年にNECに入社。以来、長く研究畑を歩んできた。
「映像データ圧縮などメディア系技術の研究開発に携わりましたが、1990年代の終わりごろAIに転身しました。根っからの研究者なので、こっちのほうが面白そうだと思うとやってみたくなる。当初は隣接領域である画像認識で、ここからAIの世界に飛び込みました」と山田氏は振り返る。
NECは2024年8月、AIテクノロジーサービス事業部門を新設した。山田氏はそのリーダーとして、BluStellarの柱の一つであるAI事業(BluStellar AI)を統括している。
「この分野では、技術やマーケットの動きは非常に速い。従来は研究→開発→事業展開というシーケンシャルなプロセスで技術を提供してきましたが、これでは時代のスピードに合いません。そこで、研究員やエンジニア、事業開発者などを集めた新しい組織を立ち上げました。様々な機能を集約し、チームが一体となってサービスを提供します。従来に比べると、スピードは一桁向上しました」と山田氏は言う。
実際、先端的なAI/生成AI技術を搭載した新製品・サービスのリリースが相次いでいる。2024年3月には、医療文書作成を支援する生成AIを組み込んだ電子カルテシステム「MegaOak/iS(メガオーク アイエス)」を発表した。医師が指示書などの文書作成にかける時間は意外に長い。生成AIのサポートがあれば、患者と向き合う時間は増えるはずだ。

Corporate SVP
兼 AIテクノロジーサービス事業部門長
兼 AI Research Officer 博士(工学)
山田 昭雄 氏
ものづくりへの生成AI適用の例もある。設計開発の現場で広く用いられているNECのPLMソフトウエア「Obbligato(オブリガート)」シリーズの1つとして、2025年4月には生成AIとの連携機能を有する「Obbligato R3.6」の提供がスタートする予定だ。社内に蓄積された設計ノウハウを自然言語で検索する機能などは、設計者の生産性向上に役立つだろう。
郵便自動仕分けシステムから指紋認証、
顔認証、そして「cotomi」へ
過去数十年を振り返ると、AIに対する社会の関心には何度かの波があった。注目度が一気に高まった時期もあれば、低下した時期もある。現在に至るAIへの期待の高まりは、2010年代前半に始まったと見る向きが多いようだ。2022年11月のChatGPTの公開がその動きを加速させた。
前述のように、山田氏は1990年代からAIの研究を続けてきた。NECのAI事業の源流は、さらに数十年を遡ると山田氏は語る。
「源流は1960年代、世界に先駆けて開発した郵便自動仕分けシステムです。最初は郵便番号の読み取りからスタートし、その後、住所などの文字も読み取れるようになりました。その次の画期は、1980年代に世界で初めて実用化された指紋認証。当社のシステムはある国の政府機関に採用されました。その技術は、当社が世界をリードする顔認証技術に引き継がれています」
時代の節目、技術革新の節目ごとに進化してきたNECのAI事業。さらに、2023年に提供を開始したNEC開発の生成AI「cotomi(コトミ)(注1)」が、今大きな注目を集めている。
- (注1)「cotomi(コトミ)」はNECが開発した生成AIの名称です。ことばにより未来を示し、 「こと」が「みのる」ようにという想いを込めており、生成AIを軸にお客様と伴走するパートナーでありたいとNECは考えています。
「cotomiで目指したのは日本語を突き詰めること。実際、日本語処理の精度は世界トップクラスです。また、高速性も大きな強み。質問から回答まで何秒かかるかは、生成AIにおける重要なポイントです。加えて、システム実装における高い柔軟性と自由度がある。例えば、NECが構築済みの透明性の高いベースモデルに、お客様が使いたいデータを追加してお客様に合わせたシステムを構築することができます。また、クラウド上に置いて活用することも、オフィスに設置した小型サーバーに搭載することもでき、お客様のセキュリティポリシーに合わせてシステムを提供できます」(山田氏)
すでに様々な分野で活用されているcotomiは、今も進化を続けている。生成AI市場の拡大に伴い、GPU(画像処理半導体)の需要も急激に増大しており、データセンターにおける消費電力の増加が課題となっている。これらの課題に対しNECは、cotomiの性能強化と並行して、使用時のGPUの演算効率を高める技術を開発し、環境に配慮した生成AI活用環境を提供する。
また、ダイナミックな成長を続けるBluStellarのAI事業を支えているのが、NECの多様な人材である。先に山田氏が触れたように、AIテクノロジーサービス事業部門には幅広い専門性を持つエキスパートが集結している。
「AIの研究開発や事業化の長い歴史は、それに取り組んできた経験を持つ人材の豊富さを意味します。コンサルティングから入って実装、運用保守に至る一連のプロセスを、その分野のエキスパートがチームとしてサポートすることができる。知見や経験の深さと専門性の幅、その両方を高いレベルで備えたチームです」と山田氏。NECのAI研究拠点は日本を含む世界6カ所にある。それぞれの拠点では、世界的に知られる人物が研究をリードしている。

“AI Everywhere”を実現するためには、
安全・安心、公平性が欠かせない
NECはこれまで様々なソリューションを通じて、企業や政府機関などの業務への理解を深めてきた。その知見もAI事業の大きな強みだ。
「私たちのチームには、お客様のビジネスや業務に精通する人材が多くいます。だからこそ、AIを適切にチューニングして、お客様の業務フロー改革に最適なシステムとして提供することができる。豊富な業務知識に裏打ちされたソリューション提供も当社の強みと言えるでしょう」と山田氏は語る。
冒頭で紹介した医療の事例に限らず、NECのAIユースケースは増えている。アサヒ飲料において実施した実証実験では、新商品の需要予測にAIを適用した。需要予測の精緻化により、商品の欠品や余剰在庫を防ぐことで、消費者に安心して商品を届けられるプロセスを目指している。こうした生産と在庫の最適化の取り組みが広がり、社会全体で売れるだけの量を生産・輸送する状態に近づけば、物流をはじめ様々な分野の効率化が進展する。また、需要と供給のミスマッチによる食品ロスなどの課題解決も期待できるはずだ。
また、日本テレビ放送網の生放送番組では、字幕を自動生成する実証実験を実施。年齢や障がいの有無などにかかわらず、すべての視聴者に豊かな生活を届けようとする取り組みである。同社はAIによる音声認識技術を活用することで、誰も取り残さない放送に向けた一歩を踏み出すとともに、新たな番組づくりの可能性を示した。
社会やビジネスの様々なプロセスでAIの実装が進む中で、そのリスクに対する関心も高まっている。NECは以前からAI倫理、AIの信頼性確保に向けた取り組みを続けてきた。山田氏はこう説明する。
「AIに限らず、当社は以前から人権侵害のリスクがあれば受注しないというポリシーを堅持しています。また、各国政府の取り組みやお客様のニーズを集約し、リスクや対応策をリスト化。その上で、リスクを最小化する体系的なアプローチを実践しています」
今、山田氏が期待を寄せているのは「エージェンティックAI」。例えば、ユーザーが「A社への提案書を書いてくれ」と依頼すると、AIエージェントが自律的にタスクを分解し、必要な業務プロセスを設計する。A社の置かれたビジネス環境、競合他社の動き、A社への過去の提案などを参照・分析し、AIエージェントが提案書を作成してくれる。NEC社内でも実証を進めており、2025年1月に提供が開始された。
「AI Everywhereを実現する上で、高い信頼性は必須要件です。BluStellarのAI事業として、安全・安心かつ公平なAIを広く社会に提供し、生産性向上だけでなく、新たな価値づくりに貢献したいと考えています」と山田氏は言う。今、BluStellarは様々な場面で価値創出の実績を着実に積み上げている。

未来へ導く、光となる。
- ※2025年3月3日~2025年3月27日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。