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合成開口レーダ
合成開口レーダは、センサからマイクロ波を地球に向けて照射し、対象物から反射されて戻って来るマイクロ波を受信して地表の写真を撮るセンサです。マイクロ波は雲の影響が少ないので、光学センサでは困難な「悪天候時」にも観測ができるという特徴があります。また、自らマイクロ波を照射するため、「夜間」でも観測することができます。
通常のレーダ(実開口レーダ)では対象物までの距離や方向を測定することができますが、写真のような高い分解能(2つの対象物を区別できる能力)では観測することができません。一方で合成開口レーダは異なる位置で受信した多くの受信信号に対してデータ処理を施すことにより、写真のような高い分解能の画像を生成します。
通常のレーダにおける分解能は、使用するアンテナのビーム幅に相当します。2つの対象物は、同時にビームが照射されると区別することができません。数メートルの分解能を得ようとすると数キロメートルのアンテナが必要であり、現実的ではありません。そこで合成開口レーダでは、数メートルの小さなアンテナを移動させてデータ処理によりアンテナを合成することにより、数キロメートルの大きなアンテナで観測したときと同じ効果を得ます。
小さなアンテナが移動する際に各位置でマイクロ波の送信と受信を繰り返し、各位置で対象物から反射されて戻って来るマイクロ波を蓄積しておきます。その後、蓄積しておいた各位置のマイクロ波の山と山、谷と谷が一致するように補正してから足し合わせることで強く幅の狭いビームを生成し、大きなアンテナで送受信した場合と同じ効果を得ます。
上記のような処理は合成開口処理とよばれ、アンテナ進行方向の分解能を高める効果があります。一方でアンテナ進行方法に垂直な方向は、パルス圧縮処理とよばれる通常のレーダでも多く採用される方法により分解能を高めます。パルス圧縮処理は弱く長いマイクロ波を送受信し、計算により強く短いパルスを生成しますが、計算の内容は合成開口処理と同じです。
合成開口レーダではこのようにしてアンテナ進行方向とアンテナ進行方法に垂直な方向の両方で高い分解能を実現し、1枚の写真を撮影します。

データ処理により巨大なアンテナを合成する。
