軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応

[2018年9月版]第7回「補足:適格請求書等保存方式」(1)

第7回「補足:適格請求書等保存方式」(1) (2018年9月5日公開)

淺海克人
(ウティルコンサルティング コンサルタント)

【プロフィール】公認会計士・税理士
NECにて主に民需系の情報システムの販売・構築に携わった後、公認会計士試験に合格、監査法人に入所。監査法人にて会計監査、内部統制監査、IT監査などに従事。現在、ウティルコンサルティングを立ち上げ活動中。

2018年8月に、2016年1月から6月にかけて連載したWebコラム「軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応(全6回)」に加筆・修正を加えたコラムを公表した。

今回は、適格請求書等保存方式の理解をより深めるため、Webコラム「軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応(全6回)」の補足として、国税庁が2018年6月に公表した「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の内容を検討する。

本コラム作成に際し、国税庁から公表された資料(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 平成30年6月)等、執筆時点での最新情報を参考としているが、これらの公表資料の更新に伴い、本コラムの内容も変わり得ることにつき、ご容赦願いたい。

以下の検討は私見であり、具体的な消費税の計算等にあたっては、顧問税理士等とご相談頂きたい。

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの構成

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aは、68の問に対して回答する形で適格請求書等保存方式を解説した資料である。

(1)適格請求書等保存方式の概要、(2)適格請求書発行事業者の登録制度、(3)適格請求書発行事業者の義務等、(4)適格請求書等保存方式の下での仕入税額控除の要件、(5)適格請求書等保存方式の下での税額計算に内容を区分して説明を加えている。

適格請求書等保存方式に関する各論

(1)適格請求書等保存方式の概要(平成35年(2023年)10月1日~)

登録を受けた課税事業者が交付する適格請求書及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件。
適格請求書発行事業者の登録申請が必須。登録申請なくして適格請求書等の発行は不可。

1)適格請求書の記載事項

発行者の氏名又は名称及び登録番号/取引年月日/取引の内容(軽減税率対象である旨含む)/税率ごとに合計した対価の額及び適用税率/消費税額等/交付を受ける事業者の氏名又は名称

2)帳簿への記載事項

課税仕入れの相手方の氏名又は名称/課税仕入れを行った年月日/課税仕入れに係る資産又は役務の内容/課税仕入れに係る支払対価の額/軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨

3)免税業者の適格請求書の発行は不可(免税業者からの仕入税額控除は不可)

適格請求書等保存方式を導入後6年間、免税業者からの仕入について一定割合の仕入税額控除ができる特例あり(前半3年は80%控除、後半3年は50%控除)。区分記載請求書等保存方式と同様の請求書等を保存の上、帳簿記載事項として、区分記載請求書等保存方式の記載事項に加え、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要。


税額計算:現行方法(税込価格からの割戻計算)と適格請求書の税額の積上げ計算の選択制。


図1:区分経理に対応するための措置等の概観

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