軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応

[2018年8月版]第6回「軽減税率(消費税増税含む)に対するシステム対応の進め方」(3)

第6回「軽減税率(消費税増税含む)に対するシステム対応の進め方」(3)(2018年8月1日公開)

淺海氏

淺海克人
(ウティルコンサルティング コンサルタント)

【プロフィール】公認会計士・税理士
NECにて主に民需系の情報システムの販売・構築に携わった後、公認会計士試験に合格、監査法人に入所。監査法人にて会計監査、内部統制監査、IT監査などに従事。現在、ウティルコンサルティングを立ち上げ活動中。

システム対応の進め方 - その1:消費税申告書の活用 -

システム対応の進め方に関しては、消費税率引き上げ及び軽減税率制度導入だからといって、特別な事情があるわけではない。要は、(1)制度変更内容の情報収集、(2)業務・システムの要件の洗い出し・課題への対応(システム化)をする事に変わりはない。

ただ、システムの消費税対応を考える場合、消費税申告書(付表を含む)の理解・活用は重要と考える。消費税申告書(付表を含む)の中には、システム要件の洗い出しのヒントが散りばめられているからである。
 
すなわち、消費税申告書(付表を含む)を見れば、システムでどういった取引単位でデータを集計すれば良いか等がわかる(消費税の国税分(6.3%、7.8%等)を単位として取引を集計しなければ消費税申告書は作成できない等)。

消費税申告書(付表を含む)や国税庁から公表される「消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」を閲覧されることをお勧めする。

システム対応の進め方 - その2:消費税の軽減税率制度の関するQ&Aの活用 -

消費税の軽減税率制度の関するQ&A、消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&Aの読み込みをお勧めする。

軽減税率制度に関し、法令・通達に記載のない業務に必要な各種事項が記載されているからである。

システム対応の進め方 - その3:システムの修正等について -

消費税率引き上げ及び軽減税率制度導入にシステムを対応する場合には、

(1)既存システムを修正して対応する、
(2)新規にシステムを導入する(パッケージソフトウエアの導入を含む)
がある。
どちらの方法がいいのかについては、一概には言えない。システムを巡る状況は各社で異なると考えるからである。

ただ、システム導入・修正を検討する際の注意点を最後に上げておきたい。

消費税率引き上げ及び軽減税率制度導入へのシステム対応は、、
(1)各種入力を複数税率で入力できるようにすること
(2)仕入税額控除の要件にあった帳票を出力できること(請求書等)
(3)消費税申告書が作成できるよう入力された取引データを集計できること
(4)仕入税額控除の要件にあった帳簿を作成できること
である。

一見すると(言葉で示すと)、簡単に対応できそうに思えるかもしれない。しかし、システム対応で経験した事を踏まえて言えば、そう単純ではないと考える。

すなわち、新規にシステムを導入(パッケージソフトウエアの導入を含む)して消費税率引き上げ及び軽減税率制度導入に対応する場合には、自社の業務とのギャップ分析等が必要であり、又、既存システムを修正して対応する場合にはシステムの修正範囲の分析等が必要である。

特に既存システムの修正の場合には、当該システムの仕様書は存在するか(仕様書が既存システムの内容を反映しているかを含む)、ソースプログラムはどのプログラム言語で記述されており、それを修正できる人材はいるか等も重要である。

最終的には、既存システムのどの部分を修正するかを個別具体的に調査し(入力画面の修正、帳票の修正、処理の修正、データベースの修正等)、仕様書修正し、ソースプログラムを修正し、テストをし、消費税率引き上げ及び軽減税率制度導入に備える必要があるからである。

こうした作業のボリュームは、思っている以上に多いと思われるので、ご注意頂きたい。

終わりに

第一回~第六回の全六回で「軽減税率と消費税増税に向けたシステム対応」について検討した。

今回検討した内容が、皆様の業務・事業に、少しでも役立てれば幸いである。

【参考資料】
◇消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編、個別事例編) 国税庁 平成30年1月改訂
◇消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 国税庁 平成30年6月
◇消費税法改正のお知らせ 国税庁 平成28年4月(平成28年11月改訂)