軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応

[2018年8月版]第5回「消費税の軽減税率制度に関するQ&Aについて」(1)

第5回「消費税の軽減税率制度に関するQ&Aについて」(1)(2018年8月1日公開)

淺海克人
(ウティルコンサルティング コンサルタント)

【プロフィール】公認会計士・税理士
NECにて主に民需系の情報システムの販売・構築に携わった後、公認会計士試験に合格、監査法人に入所。監査法人にて会計監査、内部統制監査、IT監査などに従事。現在、ウティルコンサルティングを立ち上げ活動中。

前回までで、「軽減税率制度を含めた消費税制度改正の概要とシステムへの影響」について概観し、軽減税率制度の「対象品目及び税率の観点」・区分記載請求書等の「区分経理に対応するための措置等」・「税額計算の特例」について検討した。

今回の第五回目は、「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」、「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の内容について検討する(区分記載請求書等保存方式、税額計算等に関する記載については割愛する)。

以下の検討は私見であり、具体的な消費税の計算等にあたっては、顧問税理士等とご相談頂きたい。

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aの構成

消費税の軽減税率制度に関するQ&Aは「制度概要編」と「個別事例編」から構成され、「制度概要編」の23の問、「個別事例編」の90の問に対して回答する形で軽減税率制度を解説した資料である。

資料名の通り「制度概要編」は、制度概要と制度上キーになる用語の定義(飲食料品の定義、一体資産の定義 等)が記載されており、「個別事例編」は「生きた畜産物の販売」・「苗木、種子の販売」・「賞味期限切れの食品の廃棄」・「お酒の販売」・「ノンアルコールビール、甘酒の販売」等が軽減税率対象に該当するか否か等を、個別具体的に記載している。

軽減税率制度の業務への適用を検討する場合、主に「個別事例編」を参照し検討することになると思われるが、適宜、軽減税率制度の原点に遡り軽減税率制度の業務への適用を検討する必要もあると思われる(用語の定義の確認 等)。

尚、当該Q&Aは随時、追加や掲載内容の改訂が行われている。)

*平成28年(2016年)4月に公表され、平成28年(2016年)11月、平成30年(2018年)1月と改訂されている。

図1:消費税の軽減税率制度に関するQ&A「制度概要編」、「個別事例編」

図1:消費税の軽減税率制度に関するQ&A「制度概要編」、「個別事例編」