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軽減税率と消費税増税に向けたシステムの対応
[2018年8月版]第4回「軽減税率制度とシステム対応(その3)」(1)第4回「軽減税率制度とシステム対応(その3)」(1)(2018年8月1日公開)
淺海克人
(ウティルコンサルティング コンサルタント)
【プロフィール】公認会計士・税理士
NECにて主に民需系の情報システムの販売・構築に携わった後、公認会計士試験に合格、監査法人に入所。監査法人にて会計監査、内部統制監査、IT監査などに従事。現在、ウティルコンサルティングを立ち上げ活動中。
第一回目では「軽減税率制度を含めた消費税制度改正の概要とシステムへの影響」について概観し、第二回目では、軽減税率制度とシステム対応について、特に「対象品目及び税率の観点」から検討し、第三回目では、区分記載請求書等の「区分経理に対応するための措置等」について検討した。今回第四回目では、「区分経理に対応するための措置等」の中の「税額計算の特例」についての検討をしたい。
以下の検討は私見であり、具体的な消費税の計算等にあたっては、顧問税理士等とご相談頂きたい。
「税額計算の特例」について
前回までの回で検討したように、平成35年(2023年)10月1日から適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入が予定されているが、事業者の準備等の執行可能性に配慮し、平成31年(2019年)10月1日からの4年間については、簡素な方法の導入が予定されている。
当該簡素な方法とは、前回検討した「区分記載請求書等保存方式」及び今回検討する「税額計算の特例」をいい、税額計算の特例には、「売上税額の計算の特例」と「仕入税額の計算の特例」がある。
原則的な売上税額・仕入税額の計算は、現行と同様、適用税率ごとの取引総額に一定の数を乗じて計算する方法(割戻し計算)である。
申告書の様式を勘案すると、売上については、適用税率ごとの取引総額に110分の100、108分の100等の一定の数を乗じて課税標準額を計算し、当該課税標準額に国税分の税率(7.8%、6.3%等)を乗じて売上税額を計算する。
仕入については、適用税率ごとの取引総額に110分の7.8、108分の6.3等の一定の数を乗じて仕入税額を計算する方式が原則となる。
一方、平成31年(2019年)10月1日時点では売上や仕入を税率ごとに区分することができず、税額計算の基礎となる適用税率ごとの取引総額を集計することが困難な中小事業者が発生する可能性に配慮し用意された措置が、税額計算の特例(売上税額の計算の特例、仕入税額の計算の特例)である。
尚、当該特例は、制度改訂により、中小企業者(基準期間の課税売上が5,000万円以下の事業者)のみ適用可能となった。
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