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共創によって生まれる新しい価値
互いの強みを引き出す情報共有の
あり方とは


現在、ビジネスにおける重要な取り組みの1つに「共創」があります。多くの企業が自社にはない強みを持つパートナーと連携して、新しい価値の創出にチャレンジしています。そのために欠かせないのが情報共有です。組織を越えて、いかにスムーズかつ安全に情報を共有するか。新たな情報共有基盤の構築を進めるNECと、コンテンツを一元管理するプラットフォームを提供することで情報共有を支えているBoxのキーパーソンに話を聞きました。
組織を越えた共創を阻害しているのは
― 企業間の共創の輪が広がっています。中には、メーカーと通信事業者、金融機関とIT企業など、異業種間の取り組みもあります。その理由や背景をどのように見ていますか。

シニアエキスパート
栄長 豪
栄長 お客さまのニーズや価値観が多様化し、商品ライフサイクルはますます短期化しています。そうした中、仮説を立ていかに短期間で検証を行いブラッシュアップした上で、新たな商品やサービスを提供できるかがビジネスの生命線になりつつあります。このような困難な課題に企業が単独で対応するのは、非常に負担が大きい。そこで企業同士が連携し、互いの強みを持ち寄り、スピーディかつ効率的に価値創造を図ろうと考えているのでしょう。
永井 企業同士だけでなく、大学や研究機関、自治体を含めた産学官連携を模索する動きも増えています。
藤井 NECもスマートシティや地域創生をテーマに自治体や民間企業との共創に取り組んでいます。例えば、高精度なNECの顔認証技術を、空港での案内、ホテルの出迎え/入出、商業施設のキャッシュレス決済に活用し、地域経済の発展を目指した共創を行っています。
栄長 ほかにも フライト利用旅客の荷物検査やラウンジ、搭乗ゲートなどを顔認証による本人確認だけで通過できるような体験ができる共創にも取り組んでいます。
― 共創がさまざまな価値を生み出しているのですね。ただ、中には取り組みがうまくいかないケースもあるようです。どのような理由が考えられますか。
辻村氏 まず社外との共創以前に、社内で課題を抱えていることが多い。組織がサイロ化していて、部門やチームの壁を越えられないのです。社内がそうなら、当然、社外とのコラボレーションでも同じ課題に直面します。
また、組織は変わっているのに、働く環境が従来のままという場合もあります。現在、ビジネスの現場では個人がプロジェクト単位で動くケースが増えているのに、情報共有のあり方は、縦割り組織時代のままという状態です。
栄長 同感です。NECも以前はオンプレミスのファイルサーバによる情報共有が主流でした。部門内の情報共有に問題はなかったのですが、部門を越えると、アクセス権限の付与や上長の承認などが必要になる。その手間が面倒で、メールにファイル添付してやりとりするケースが横行していました。情報の受け渡しに時間がかかるし、セキュリティリスクとも背中合わせという状態だったのです。

シニア コミュニティ マーケティング マネジャー
辻村 孝嗣氏
ワークプレイス変革を加速して安全性と柔軟性を両立
― では、共創を支える情報共有基盤はどうあるべきと考えますか。
栄長 セキュリティを担保しつつ、社内/社外を意識せず、柔軟に情報をやりとりできる基盤が必要です。NECがクラウド・コンテンツ・マネジメントプラットフォーム「Box」を全社導入したのもそのためです。デジタル経営基盤の中核を担う「ワークプレイス変革」を支えるシステムとしてBoxを活用し、迅速な情報共有やテレワークの推進、従業員の意識改革や働き方改革に取り組んでいます。最終的にグローバル170カ国で事業を展開するNECグループ全社員10万人が利用する計画です。
― Boxは、セキュリティと柔軟な情報のやりとりをどのように両立するのでしょうか。

主任 藤井 恵太
辻村氏 従来、オンプレミスにファイルサーバを置いているケースでは、出入口を守る方法が一般的でした。社内と社外を区別して、境界を防御するのですから、共創には当然、不向きです。
それに対してBoxは、情報共有エリアのオープン性を保ち、社内外のユーザと柔軟にフォルダ単位、ファイル単位でコンテンツを共有することが可能です。さらに、それぞれのコンテンツの共有者や閲覧履歴をワンクリックで確認することができます。社外に出してはいけない機密情報などはアクセス権限を付けたり、閲覧は可能にしてもダウンロードを不可設定にする、電子透かしを付けて共有するなど、セキュアな情報共有が可能です。
藤井 Boxの最大の特徴ともいえる容量無制限も、実はセキュリティのためなのです。
辻村氏 大規模なデータも容量を気にせず長期間保管できる。多くのお客さまにはその点をご評価いただいていますが、Boxのセキュリティの考え方を実践するには、あらゆるデータを集約した方が管理性を高められるし、統制を効かせやすい。容量無制限は、セキュアにコラボレーションするための重要な特徴なのです。
自社運用のノウハウをソリューションに反映
― NECは自社だけでなく、お客さまに対してもBoxを用いた提案を行っていますね。

主任 永井 眞由美
栄長 NECはグローバル情報共有基盤にBoxを採用した国内最大規模のユーザ。業務は多岐にわたり、使い方もさまざまです。その中で培った知見・ノウハウは大きな強み。それをお客さまにも提供したいと考えています。
永井 実際、営業活動を通じて接するお客さまの多くは、NECがBox導入で苦労・工夫した点に非常に関心を持たれます。それをナレッジやノウハウに変え、Boxをベースにした「コンテンツ・マネジメント・プラットフォーム」の構築・導入から運用支援、さらに効果の最大化に向けたサポートまで幅広く対応しています。
例えば、Boxは、SalesforceやSlackなどのクラウドサービスとAPIで連携して、統合的なデータ共有基盤として利用できます。用途やニーズに応じて、ツールは使い分けつつも、データはすべてBoxにあるという使い方です。昨今、さまざまなコミュニケーションツールが普及し、取引先やお客さまごとにそれらを使い分けなければならないシーンも増えていますが、情報を分散させることなく複数のツールを使い分けることができるのです。このような効果的な使い方もしっかり提案していきたいですね。
栄長 プラットフォームの全体最適の視点のもと、自社運用の知見やノウハウを活かしたソリューション開発も進めています。「こういうものがあったら便利だな」――と、自分たちが体験したことを具現化したソリューション群です。例えば、ID管理の一元化とシングルサインオンを可能にする「OneLogin」とNECの顔認証PCセキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor」を組み合わせれば、ID/パスワードを使わずに、顔認証でセキュアなBoxの利用が可能になります。
藤井 ほかにもメールの添付ファイルを自動的にBoxにアップロードし利便性とセキュリティを向上させる「Mission Critical Mail Filter」、Boxの利用ルール違反監視とアラートを自動化する「Splunk連携ソリューション」、Box上のドキュメントをセキュアにどこでも印刷できるソリューションなどもあります。オンプレミスからのデータ移行に課題を抱えているお客さまについては、「NEC Information Assessment System(NIAS)」を活用してファイルサーバを整理・検査した後で、優先度に応じた段階的なデータ移行も支援しています(図)。
辻村氏 NECは明確なビジョンを持ち、グループ全体でそれを実践し、自社の経験を糧に課題解決のソリューションを開発しています。お客さまに寄り添う姿勢は、Boxにとっても頼もしい限りです。

― 最後に今後の展望をお聞かせください。
栄長 情報共有基盤は共創だけでなく、働き方改革など、さまざまな側面で重要な基盤となります。Boxユーザとしての知見とノウハウを発揮し、連携ソリューションの拡充に努め、導入支援や保守体制もより強化していきます。
藤井 ソリューションという軸では、最先端AI技術群「NEC the WISE」との連携も強化したいですね。Boxという巨大なデータプールがあることを活かし、分析による洞察の発見などを支援していきたいと考えています。
永井 課題を抱えているお客さまは、より具体的な提案を求めています。今後は複数のソリューションを体系化した業種別ソリューションのような形で提案することも考えています。そうすれば、お客さまもBox活用のイメージをつかみやすいはずですから。
辻村氏 共創をテーマにお話してきましたが、Box自身も自分たちだけでは、お客さまの課題を解決するのは難しい。今後もNECとの共創を加速し、お客さまのビジネスの発展に貢献する価値ある提案につなげていきたいですね。

