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NECネッツエスアイ株式会社

AI-Readyな経営データ基盤をSaaSで実現
NECグループによるSAP Cloud ERP導入事例

業種:
  • 製造・プロセス
業務:
  • 経営企画
  • 設計・開発・製造
  • 生産管理
  • 保守・サービス
  • ICT管理・運用
  • 経理・財務
製品:
  • 統合型システム
  • ソフトウェア/サービス実行基盤
ソリューション・サービス:
  • 共通業務/ERP
  • クラウド

事例の概要

課題背景

  • データドリブン経営の実現に向け業務プロセス改革とシステムプラットフォームの再構築が必要だった
  • 20年以上経過した基幹システムの属人的な保守運用とコストの拡大を解消したかった
  • 部門ごとに分断された業務・データ管理により、業務プロセスおよびデータの標準化ができていなかった

成果

データドリブン経営を支える標準化基盤を確立

「SAP Cloud ERP(SAP S/4HANA Cloud Public Edition)」導入により、業務・データ標準化を進め、データドリブン経営の基盤を整備した

運用負荷と維持コストを軽減

SaaS型ERPによってインフラ管理やセキュリティ、バックアップといった保守運用が不要となり、運用負荷と維持コストが軽減され、市場変化に対するタイムリーな法規制にも対応できるようになった

「Fit to Standard」徹底で業務・データを標準化

標準機能に業務プロセスを適合させる運用を徹底し、業務プロセスとデータの標準化を実現した

自社導入で得た知見を幅広いお客様に還元

国内事例が少ない「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」の導入・運用で得た知見を、クライアントゼロおよびBluStellarとしてお客様に還元できるようになった※

  • BluStellar(ブルーステラ) は、お客さまの変革を成功へ導く価値創造モデルです。
    NECが誇る先進テクノロジーと積み上げてきた知見をもとに、豊富なDX人材が戦略策定から実装までをEnd to Endでご支援します。

導入ソリューション

SAP S/4HANA Cloud Public Editionによるデータドリブン経営
SAP Cloud ERP(SAP S/4HANA Cloud Public Edition)とBIツールの活用により、複数の領域を横断した経営データをダッシュボードで可視化。リアルタイムなデータドリブン経営を支援する

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事例の詳細

導入前の背景や課題

NECネッツエスアイ株式会社
取締役執行役員専務 兼CDO 兼CIO
ビジネス変革統括本部長
菊池 惣

経営データをリアルタイムに把握できる基盤が必要に

NECグループのネットワークソリューションの中核を担うNECネッツエスアイ。「エンタープライズ」「キャリアネットワーク」「社会インフラ」の三分野に事業を展開し、お客様の経営課題・組織課題の解決に向けたソリューションを最適な形で構築するとともに、運用・監視、保守までをトータルに手掛けるシステムインテグレーターです。

「当社は中期経営計画の一環として、データドリブン経営を実現する業務プロセス改革とシステムプラットフォームの再構築を推進中です。従来のような過去実績の報告ではなく、リアルタイムな経営データを活用することにより、業績予測・事業投資などの経営判断を行う一方、それを『情報の民主化』として全社員で共有しながら事業展開していくことを大きな目標としています」とNECネッツエスアイ取締役執行役員専務の菊池惣は説明します。

その中核となる基幹システムは、経営データをリアルタイムで把握するとともに、全社共通の一元データとして共有できることが大きな要件となります。しかし、従来の基幹システムはNECネッツエスアイ独自の業務プロセスに合わせて構築されたスクラッチシステムで事業領域の拡大に合わせた部分最適が積み重なり、属人的なシステム運用による維持コストの拡大や、部門ごとにサイロ化されたデータによる意思決定の遅れなどが大きな課題となっていました。

NECネッツエスアイ株式会社
ビジネス変革統括本部
経営システム本部
統括マネージャー
池内 俊勝

「特に解決すべき課題となっていたのがデータの精度と粒度です。それまで社内予測で使っていたデータは各部門でチェックを経た月次データだったため、使う際には約1カ月遅れの精度になっていました。また各部門が個別にExcelで集計したデータが判断材料の1つとなるため、どの人がどの粒度まで見て判断したのかで大きなばらつきも出てしまいます。データドリブン経営に必要な正しい判断をするためには、データの一元化とリアルタイム性が重要になると考えていました」とNECネッツエスアイ ビジネス変革統括本部経営システム本部統括マネージャーの池内俊勝は説明します。

そこで同社は2019年、データの一元化とビジネス環境変化へのタイムリーな対応、属人的なシステム運用からの脱却などを念頭に置いた次期経営プラットフォームのグランドデザインを構想しました。そのなかで「経営判断に直結するデータの起点は基幹システムである」と位置付け、段階的な刷新を進める方針を明確化。まずは営業・SI施工・保守領域に散在していたお客様データのCRM統合からスタートし、基幹・調達・人事も含めた全社データ基盤の導入、それを経営視点でプロセス統合する基幹システムモダナイズというステップで変革を進めていきました。

「今回の基幹システムモダナイズは、NECグループ自身の実践知である『クライアントゼロ』として、その成功要因や失敗要因を抽出・形式化することにも大きな意味があります。そこで先行して基幹システムの刷新に取り組んだNECやグループ企業のメンバーも巻き込みながら、導入期間や稼働後の運用対応などの知見とノウハウを集約し、お客様に還元したいと考えていました」(菊池)。

2022年、NECネッツエスアイは新たな基幹システムの移行先を、将来の業務変革とAI活用を見据えてクラウドを前提条件とし、「国内ベンダーのSaaS」「グローバルベンダーのSaaS」「グローバルベンダーのプライベートクラウドサービス」に絞り、最終的な選定作業に入りました。

NECネッツエスアイ経営プラットフォーム改革の全体像
データの一元化と環境変化へのタイムリーな対応、属人的なシステム運用からの脱却などを目的に、全社データ基盤・CRM・ERPのプラットフォームを整備。新たな事業創出とDXを支える経営プラットフォームへの刷新を図った

選択のポイント

SaaSを前提として次期基幹システムを選定へ

NECネッツエスアイが次期基幹システムに選定したのは、SAPのクラウドERPサービス「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」でした。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、AI/データ分析/アプリケーション開発/システム統合を一元的に提供する基盤「SAP BTP(SAP Business Technology Platform)」、各業界で培われたノウハウをもとに効率的な業務運営を実現するテンプレートやガイドラインの「業界ベストプラクティス」で構成されています。導入時は、これらの事前に用意されている各業種のベストプラクティスのなかから、必要な機能を組み合わせていきます。

「国内ベンダーのSaaSは、当社の事業規模が大きく、業務内容も複雑すぎるということで、先方から辞退されました。一方、SAP S/4HANA Cloud Public Editionはデータの一元化やデータに基づく経営判断、法規制や事業変化といったビジネス変化へのタイムリーな対応、運用の省力化といった要件をすべて満たせるほか、連携システムの多さなどからベストな選択だと判断しました。グローバルベンダーのプライベートクラウドについては、パブリッククラウドでの実現が不透明な場合の代替案として位置付けていましたが、パブリッククラウドでの実現に目途が立ったため、最終的に対象外としました」(池内)。

AI-Readyを中核に据えたデータ基盤を設計

SAP S/4HANA Cloud Public Editionを選択したもう1つの理由となったのが、極力カスタマイズをしない導入・運用方法が、AI活用への近道となることです。SaaSでは、Excelの乱立などで発生しやすいデータの不整合が起きにくく、AIの学習・分析に適した構造化データを効率的に蓄積できます。このAI-Readyな環境が目指すべきデータドリブン経営に大きく貢献すると考えたのです。

SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、顧客管理を含む受注前プロセスを担うSalesforceに対し、受注後の統制プロセスを担う基幹システムとして位置付けられました。データドリブン経営に必要となるKPIや管理会計、意思決定ダッシュボードなどの機能には「SAP Analytics Cloud(SAC)」、および「Tableau」を適用。調達には手配パターンが複数あり、サプライヤ連携も可能な「SAP Ariba」が選定されました。派遣を含む外部リソース管理には「SAP Fieldglass」、経費精算や請求書支払処理には「SAP Concur」をそれぞれ採用し、シームレスなデータ連携を実現しています。

さらにNECネッツエスアイには、SAP S/4HANA Cloud Public Editionだけでは賄えない事業独自領域の周辺システムやNECグループ間の連携システムが20以上ありました。そこでSAP S/4HANA Cloud Public Editionとの連携インタフェースをSAP BTPで実装し、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの特長となっているクリーンコア(標準機能の維持)を保ちつつ、周辺システムとの柔軟な連携を図りました。

「SAP BTPはインタフェースだけでなく、処理効率化の目的でデータ一括投入の画面などを作成しました。これはあくまでもテンポラリーとしての位置付けであり、SAP S/4HANA Cloud Public Editionに標準機能として実装されれば段階的に乗り換えていく予定です」(池内)。

Fit to Standardによる業務・データ標準化を徹底

持続的な基盤となるSAP S/4HANA Cloud Public Editionの導入では、SaaSの価値を最大化し、将来にわたって拡張可能な基盤を維持するために、カスタマイズを最小限に抑え標準機能(ベストプラクティス)に業務を合わせるアプローチ「Fit to Standard」の徹底が求められました。Fit to Standardは、ユーザーの要求と製品機能とのギャップをアドオンで解決する「Fit&Gap」とは異なり、既存の業務プロセスをシステムに合わせる必要があります。そのため当初から現場の混乱が予想されましたが、「トップダウンの強い意志で乗り切ることにしました」と、菊池は当時を振り返ります。

「全社的なデータをスピーディに共有して経営視点で分析するためには、どうしても従来の業務プロセスを変革しなければなりません。場合によっては現場の負荷が増える可能性もある。しかし当社が次のフェーズに進むためにはどうしても必要な方針であることを経営会議で確認しました。社員や現場には絶えずそのメッセージを発信しながら、標準機能を利用した業務の効率化を模索していきました」(菊池)。

Fit to Standardを進めるため、NECネッツエスアイは業務を熟知した各部門エース級のメンバーと、CIO、CFOといった経営トップも加えたプロジェクト体制を整備。現場からの要望や課題を週次で行われる会議で共有しながら、プライオリティを明確にした計画の推進を行いました。

最も苦労したのは「SAP S/4HANA Cloud Public Edition導入後のIT部門と業務部門の役割変化を受け入れてもらうことでした」と池内は振り返ります。

「導入後、業務部門は“利用者”から“プロセスオーナー”となり、標準機能に合わせた業務ルールの変更などを主導する立場となります。我々は各部門で選定されたキーマンとともに業務が標準機能で対応できるかの判断や、対応できなかったものを補助機能としてSAP BTPで連携する作業などを、現場の理解や浸透度合いを確認しながら進めていきました」(池内)。

その一方、半年に1回行われるSAP S/4HANA Cloud Public Edition特有のバージョンアップは、導入側にとって予想以上に負担が少ないことが分かりました。

「インフラやアップデートを自社で管理する必要がないSaaSですから、カスタマイズが少ないほど運用負担も軽くなります。逆にバージョンアップで新しい機能が次々と出てきますので、その適用判断や補助機能との切り替えなどを迅速に進めていくことが業務改善の恩恵を受けるためには大切です」(池内)。

2023年4月にスタートしたSAP S/4HANA Cloud Public Edition導入プロジェクトは、社員トレーニングも含めて2025年5月に完了。グローバル標準に合わせた新たな基幹システムが本番稼働を迎えました。

導入後の成果

スムーズな連携により運用負担の軽減を実現

「導入後1年経過しましたが、今も標準機能のなかでの効率化を継続して進めている状況です。まだまだ完成形とはいえませんが、ERPを中心にさまざまなデータやシステム間連携が非常にスムーズに行えるようになり、初めて迎えた年度決算は大きな問題もなく無事に完了しました。作業者の習熟および決算のスピード化に関しては今後AIを含めた対応でカバーする予定です」と菊池は語ります。

インフラ管理やセキュリティ、バックアップといった保守運用が不要となったことでIT部門の運用負荷も大幅に軽減しました。

「SAP S/4HANA Cloud Public EditionとSAP周辺ソリューションを連携して活用する取り組みは、日本国内でもまだ先進的な領域だと捉えています。そのため、システム間連携では高度な技術的確認が必要となる場面もありますが、SAP Preferred Successを通じてグローバルの技術者とも連携しながら課題解決を進められる体制が整っています。この伴走支援があることは、安定運用と継続的な改善を進めるうえで大きな安心材料になっています。」と池内は評価します。

NEC
SAP事業グループ
ディレクター
土屋 直之

クライアントゼロで得た知見をお客様価値へ還元

今回のSAP S/4HANA Cloud Public Edition導入プロジェクトには、クライアントゼロの成果をお客様にも幅広く還元するため、外販やプリセールスを担当するNECおよびグループ企業の社員も加わりました。

NEC ビジネスアプリケーションサービス統括部 SAP事業グループ ディレクターの土屋直之は、「プロジェクトの過程で交わされたメンバー一人ひとりの発言もクライアントゼロでは大きな財産となります。NECネッツエスアイの事例で得られた成功体験や失敗の知見をそのまま他のお客様のご支援に活用するのではなく、お客様ごとに異なる状況に対して、いかにエッセンスを適用できるかが重要です。それをしっかり共有し、最適なご提案へつなげていきたいと思います」と語ります。

NEC
SAP事業グループ
シニアプロフェッショナル
村井 裕司

同じくNEC同グループ シニアプロフェッショナルの村井裕司も、「NECネッツエスアイはNECより常に一歩先の技術に挑戦し続けるチャレンジングな企業です。今回もSAP S/4HANA Cloud Public Editionのプロジェクトに参加させていただき、その目利き力と実践力を間近で見ることができました。想定外の課題にどう対処し、どうSAP S/4HANA Cloud Public Editionのポテンシャルを引き出す工夫を凝らしたかを、NECグループの総合力と合わせてお客様に還元していきたいですね」と述べます。

NEC
SAP事業グループ
プロフェッショナル
関 雅仁

同じくNEC同グループ プロフェッショナルの関雅仁は、「NECネッツエスアイによるFit to Standardの実践を間近で見ることができたのは本当にいい経験になりました。今回の経験を通じて得た知見を活かし、私が担当する他業種のお客様に対しても、SAP S/4HANA Cloud Public Edition導入に係る経営層の心構えや現場への落とし込み、システム連携のあり方について、説得力を持ってご説明できるようになると考えています。私はNECソリューションイノベータに本務所属しておりますが、NECグループでデリバリーを担うNECソリューションイノベータには実績豊富なITエンジニアが在籍していることから、こうした取り組みを通じてお客様の企業価値向上にさらに貢献していけるのではないかと考えています。」と話します。

AI活用によるデータドリブン経営への進化

SAPのベストプラクティスを活用した業務プロセス統合と、リアルタイムなデータ活用でビジネスモデル変革への第一歩を踏み出したNECネッツエスアイ。本稼働から1年が過ぎ、今後に向けた新たな展望を見据えています。

「全社データを活用した経営判断は1年分のデータを蓄積した今年度からの取り組みになります。まずはSAP S/4HANA Cloud Public Editionに搭載されているSAPのAI エージェントを備えたエンタープライズ AI ソリューション「Joule」で、AIネイティブな経営に向けた意思決定の迅速化が図れるかに大きな期待を寄せています。生成AIを今まで以上に本格的に活用することで、業務のやり方や働き方も劇的に変わっていくでしょう。そこで得られた知見をNECグループのなかで共有し、BluStellarとしてお客様のビジネス変革の実現に貢献していきたい。さらに、そうした変革に向け、当社の強みであるネットワークおよびセキュリティの領域からも価値を提供し、お客様のDXをトータルで支援していきます」(菊池)。

NECと連携しながら、SAP S/4HANA Cloud Public Editionを中核とした経営プラットフォームの高度化と、その実践で得られた知見をお客様への価値提供につなげていく考えです。

プロフィール

NECネッツエスアイ株式会社

本社所在地 東京都港区芝浦3-9-14
創立 1953年12月1日(設立:1953年11月26日)
資本金 131億2,200万円(2026年3月31日現在)
売上高 3,960億円(2026年3月期:連結)
従業員数 7,576人(2026年3月31日現在:連結)
事業内容 DXソリューション事業、システムズエンジニアリングサービス事業
URL https://www.nesic.co.jp/index.html

NECネッツエスアイ株式会社

この事例の製品・ソリューション


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(2026年7月17日)

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