Japan
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味の素株式会社様
国内のグループ経営基盤をSAP S/4HANAに刷新
高度な要件を満たす共通インフラを半年で構築
- 業種:
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- 製造・プロセス
- 業務:
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- 経理・財務
- 生産管理
- 物流
- 営業・販売
- 共通業務
- その他業務
- 製品:
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- 統合型システム
- その他
事例の概要
課題背景
- 分散するシステムを集約し、SAP S/4HANAによるグループ共通の経営基盤を実現したい
- SAP S/4HANAの高速データ処理能力を十分に引き出せるインフラ基盤が必要だった
- 新会社設立までにSAP S/4HANAによる新基幹システムをカットオーバーしたい
成果
インフラ構想の策定を支援し、最適なサイジングを実現
NECの自社プロジェクトの経験を活かし、インフラ構想の策定を支援。インフラ設計などの要件定義やリスクの洗い出しを実施するとともに、グループ共通基盤に求められる最適なリソースをサイジング。さらに開発環境用に暫定基盤を提供するなどの工夫で、アプリケーション開発を遅らせることなくプロジェクトの基盤の提供を支援した
実質6カ月という"超短期間"でインフラ基盤を構築
リスクコントロールしながら短期間で基盤構築を完了し、計画通りにプロジェクトが進行。アプリケーションの開発作業に影響を及ぼすことなく、スケジュール通りにカットオーバーできた
ビジネスを止めない高可用性を実現
SAPインフラ実績No.1のHPE製サーバ「HPE Superdome Flex」とNECのHAクラスタリングソフト「CLUSTERPRO X」を活用することで高可用性を実現。本番稼働後はトラブルなく安定稼働している
導入ソリューション
NECは、味の素グループが共通基盤として利用するSAP S/4HANAを核とした全体の基幹システムのインフラ設計の実施を支援。また、構築フェーズでは、SAP S/4HANAのデータベース(DB)領域およびData Mart用途のSAP HANA(いわゆるPure HANA)領域に、HPE Superdome FlexとHPE 3PAR StoreServを新規に導入。そこにNECのCLUSTERPRO Xを活用し、可用性を向上させた。
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事例の詳細
導入前の背景や課題
SAP S/4HANAの安定稼働を支え、性能をフルに引き出すインフラ基盤が必要
「食」のグローバルカンパニーとして成長を続ける味の素(株)様。1909年に「味の素®」を商品化して以来、アミノ酸の研究・開発で世界をリードしています。
「私たちは地球的な視野にたち、“食”と“健康”、そして明日のよりよい生活に貢献します。これが味の素グループのミッションステートメントです。デジタル技術の活用で生産性と競争力を高め、事業を通じて社会的課題の解決に貢献します」。こう話すのはコーポレートサービス本部DX推進部マネージャーの大竹正明氏です。
その一環として取り組んだのが、次世代ERP「SAP S/4HANA」の導入による経営基盤強化です。その狙いは2つあります。
1つはグループ共通の経営基盤の実現。グループ内で複数のERPシステムを運用しており、経営を支えるデータが分散していたためです。
もう1つはデータ・ドリブン経営の強化。「高速なデータ処理が可能なSAP S/4HANAのメリットを活かせば、最新データを統合的かつリアルタイムに活用できます。これによってイノベーションの創造やデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを加速させていきたい」と大竹氏は期待を語ります。
その実現に向け、同社は2019年4月に発足する味の素食品(株)の基幹システムとしてSAP S/4HANAを導入、その後、利用会社と機能を順次拡大していくという計画を立てました。
SAP S/4HANAの導入は現行のECC6.0環境を熟知するNRIシステムテクノ様が担当することになりました。しかし、SAP S/4HANAを動かすには新しいインフラ基盤が必要です。
「最新データのリアルタイムな活用を実現するためには、SAP S/4HANAの高速データ処理能力を十分に引き出せるインフラ基盤が必要になります。かといって性能要件だけ満たせば良いわけでもありません。ビジネスを止めない高信頼・高可用性も必須要件でした」と同社CSプロジェクト第2部長の中原幹弘氏は振り返ります。
選択のポイント
NEC内の自社プロジェクトの成功実績とSAP S/4HANAの構築経験を評価
新基幹システムはSAP S/4HANAのほか、SAP BusinessObjects Business IntelligenceやData Mart用途のSAP HANA(いわゆるPure HANA)なども新たに利用する計画でした。ところが「新会社発足までの期間が限られている中、アプリケーションの要件定義とインフラ基盤側の方式設計を並走せざるを得ず、先行して環境を提供しなければならないインフラ基盤側が一定のリスクヘッジをしながら要件を確定していく必要がありました」とCSプロジェクト第2部第2グループ長の本間稔氏は打ち明けます。
新会社発足から逆算すると基盤構築に充てられる時間は約6カ月。インフラ整備が遅れるとアプリケーション開発に影響し、プロジェクト全体が遅延しかねません。
タイトなスケジュールの中、最適なインフラ基盤を確実に構築するには外部ベンダーのサポートが必要と判断。その要件は多岐にわたります。
「SAP BASIS部分を含めた構築に加え、障害時のクラスタ処理も確実に稼働できること。バックアップ環境には実績がある当社の統合バックアップシステムの利用を前提にしていたため、これと連携できることも条件でした。基盤の信頼性を担保するには、SAP社の認定の取れたインフラ環境を整備しなければなりません。もちろん、コストパフォーマンスに優れていることも重視しました」(中原氏)
こうした要件を満たすインフラ基盤構築のパートナーとして選定したのがNECです。「NECは自社の経営システム改革をはじめ、大規模な基幹システム構築の実績が豊富。SAP S/4HANAの構築経験を持つメンバーも揃っています。プロジェクトの体制づくりやマネジメントまで安心して任せられると判断しました」と中原氏は述べます。
NECはインフラ基盤の構想段階からプロジェクトに参加。具体的には、インフラ方式設計などの要件定義やリスクの洗い出し、最適なサイジングなどを支援しました。その結果、基幹システムの中核を担うデータベース(DB)領域に採用されたのがHPE製サーバ「HPE Superdome Flex」をベースにしたオンプレミス基盤です。可用性・安定性を最優先とするDB領域においては、ダウンタイムの低減や障害時の運用も含めホワイトボックス化できることが重要視されました。「HPE Superdome FlexはSAPのインフラ実績No.1のサーバ。価格性能比の面でも他社ハードを圧倒し、償却期間を考えるとクラウドよりもコストメリットが高い」と本間氏は評価します。
導入後の成果
開発支援から本番環境への移行まで基盤構築をトータルにサポート
基盤構築プロジェクトはアプリ側の要件が確定しきれない中で進められましたが、NECはこれまでの経験と実績を基に、味の素グループの共通インフラに必要なリソースを算出し、サイジングを含め、最適なインフラ構想の実現を支援しました。
その経験はプロジェクトのリスクコントロールにも発揮されました。「経験があるから、この先のリスクが想定できる。リスクの提示も的を射たものでした。事前にリスクを共有することで、余裕を持って活動することができました」と中原氏。
必須要件の1つであった高可用性の確保も問題なく実現できました。「NECはHAクラスタリングソフトウェア『CLUSTERPRO X』と当社の統合バックアップシステムを連携させ、安定した自動運用システムを設計・実装してくれました。エンジニアの技術力の高さを実感しました」(本間氏)
イレギュラーな作業についてもNECは柔軟な対応力を発揮しました。「ハードウェア納品までの期間はアプリ側の開発・テスト用にVMware環境を暫定提供し、その後物理ハードウェアに移行する作業も柔軟に対応してくれました」とCSプロジェクト部 主任の髙橋 匠氏は述べます。NEC自社内で事前検証後、実機に持ち込んでテストをするやり方を徹底し、ムダな時間も大きく削減できました。
こうして実質約6カ月で基盤構築を完了。SAP S/4HANAやアプリケーション構築も順調に進み、2019年4月より新基幹システムが正式稼働しました。
「可用性の高いグループ共通基盤を実現し、スケジュール通りにカットオーバーできました。またナレッジトランスファーもしっかりと実施いただいたので、稼働後はトラブル無く安定した運用ができています。」と大竹氏は満足感を示します。
現在は2021年度4月リリースを目指し、味の素(株)本体への展開を推進しています。
味の素グループでは、今回構築したインフラ基盤をベースにSAP S/4HANAの活用を促進、データ・ドリブン経営を強化し、さらなる成長を目指す考えです。
NEC担当スタッフの声
先を見据えた価値ある提案で期待に応える
NEC 第二製造業ソリューション事業部 第五インテグレーション部
主任 佐藤 春香
自社プロジェクトの成功経験はNECの大きな強みです。そうした知見を持つエンジニアをアサインしたことで、プロジェクトの進め方や体制について早い段階で認識合わせを行い、自分たちの失敗に基づくリスクも共有できました。新しいプラットフォームをつくるという大きな不安の中で、先を見通すことができたのは、大きなアドバンテージになったと思います。
今後はクラウドを採用するケースが増えてくるでしょう。クラウドベースでもビジネスを止めない高可用性を実現し、AIや外部データとの連携でDXも進めやすくなります。
デジタル技術やビジネス環境は大きく変化しています。その変化に対応し新たな基盤が必要になった時、信頼できるパートナーであり続けたい。これからも価値ある提案に努め、味の素(株)様、NRIシステムテクノ様をはじめ、変革を目指すお客様の期待に応えていきたいと思います。
今回の経験を糧にSAP S/4HANA化を幅広く支援する
NECソリューションイノベータ株式会社 プロダクト・エンジニアリング事業部
主任 杉本 英之
今回のプロジェクトは基盤構想の策定から参画できたため、NRIシステムテクノ様とシステム構成や方針を共有し、運用まで考えた基盤設計をすることができました。これが設計品質の向上につながったと思います。
プロジェクトの中で、私はCLUSTERPRO Xを活用したシステムレプリケーションの設計・構築に携わりました。このノウハウを活かすことで、今回も高品質なシステムレプリケーションを短期間で提供することができました。
味の素(株)様はSAP S/4HANAを新規導入されましたが、今後は既存ERPからSAP S/4HANAへ移行するコンバージョン方式も増えてくると思います。NECではさまざまなお客様とSAP S/4HANAへのコンバージョンへ向けたロードマップ策定も進めています。今回の経験を活かし、今後もSAP S/4HANA化の実現を幅広く支援していきます。
お客様プロフィール
味の素株式会社
所在地 | 東京都中央区京橋一丁目15番1号 |
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創業 | 1909年5月20日 |
資本金 | 798億6300万円(2020年3月31日現在) |
従業員数 | 単体3401名 連結3万2509名(2020年3月31日現在) |
事業内容 | 世界トップのアミノ酸メーカー。高品質アミノ酸の研究開発力を活かし、食品事業、ライフサポート事業、ヘルスケア事業などを展開。人々の食と健康、快適な暮らしに貢献する事業を通じ、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献する。 |
URL | https://www.ajinomoto.co.jp/ |
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(2021年1月25日)