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2章までのきめ細やかな被災者支援のための広域における被災者情報連携の動向を踏まえて、3章では広域における被災者情報連携の仕組みづくりの方向性を考えます。
災害対応フェーズと職員の役割によって異なる災害支援業務
災害発生時に行政職員が実施する対策・対応業務は多岐にわたります。図の通り、防災・減災対策は平時の事前防災と発災時の対応に分かれます。さらに発災時は、初動期(災害発生直後から数日程度)・応急期(初動期終了後から数週間程度)・復旧期(応急期終了後から数カ月程度)に分かれ、それぞれのフェーズごとに対処・対策は様々です。

「防災庁設置準備アドバイザー会議(第1回)資料1 政府における防災施策・体制の現状等について」を参考にNECにて作成https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bousaichou_preparation/dai1/siryou1.pdf
それだけでなく、災害対応に関わる組織は多く、同じフェーズでも組織ごとに役割が異なります。フェーズや職員の役割によって対応する災害支援業務が違うため、災害支援業務に必要な被災者の情報も職員ごとに異なります。
個人情報を活用することに対する行政職員の心理的ハードル
1章で、被災者情報の連携が進んでいない現状を紹介しました。これには、被災者台帳が標準化されていない理由以外にも、個人情報を扱うことに対する行政職員の心理的ハードルが影響していると言えます。
個人情報の漏洩は、地方公共団体にとってセンシティブな問題です。法律やガイドラインで定められていても、個人情報の取り扱いに迷う行政職員の方もいます。
災害対策基本法の改正により、広域での被災者情報連携が必要になった現在においては、個人情報の取り扱いに迷う行政職員がより増えているのではないかと推察されます。
- ※内閣府 防災分野における個人情報の取扱いに関する検討会 第2回検討会(令和4年3月24日開催) 資料2 アンケート・ヒアリング結果概要
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/kojinjoho/pdf/dai2kai/siryo2.pdf
広域における被災者情報連携の仕組みづくりについて
ここまで説明した内容を整理します。避難生活の多様化や広域避難化が進む中、被災者一人ひとりの状況を把握し、必要な支援を継続的に提供することが求められています。令和7年6月には被災者情報の広域連携を推進する法改正もあり、国や各都道府県での広域における被災者情報連携の仕組みづくりの検討が進められてきました。
被災者支援においては、避難所運営や経済・生活面の支援、住まいの確保・再建のための支援等、多様な業務が存在します。被災者一人ひとりの状況を把握し、必要な支援を継続的に提供するきめ細やかな被災者支援を実現するには、個人に紐づく情報を得る必要があり、個人情報を扱うことは避けられません。
そこでNECは、行政職員の不安や懸念をなくし、広域での被災者情報を連携するために、各職員が法令に定められた必要な情報だけにアクセスできる仕組みを選択肢の一つとして提案します。フェーズや職員の役割・立場によって災害支援業務に必要な情報は異なるため、業務に必要な情報だけにアクセスできる形が良いのではないかと考えます。
そうすることで、個人情報が含まれる情報を必要としない業務では個人情報を扱うことがなくなり、行政職員の心理的ハードルは下げられると考えます。

後編では、3章で示した広域における被災者情報連携の仕組みづくりの方向性をさらに具体化し、導入への課題や対策のポイントを掲載します。10月ごろ公開予定です。
- ※本コラムの追加コンテンツは今後MyNEC会員限定での公開を予定しております。まだご登録でない方はぜひこの機会にご登録ください。
広域避難時代のきめ細やかな被災者支援 ~情報連携の仕組みづくり~ 目次
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災害支援業務に合わせて必要な情報にアクセスできる、被災者情報連携の仕組み
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