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学生のみなさんへ2024インタビュー:矢田部 彰宏
2024年2月5日
宇宙物理学から量子アニーリング研究者へ

セキュアシステムプラットフォーム研究所
リサーチャー
矢田部 彰宏
宇宙物理学で博士課程を修了後、大学で1年間の助教勤務を経て2019年4月にNECへ入社。量子コンピュータの研究を行うチームに配属される。1年後、ビジネス視点から量子コンピューティングの活用推進を図る量子コンピューティング推進室に異動。2年間の勤務を経て研究所に復帰し、量子コンピューティングのユースケース探索やハードウェア開発のための理論研究に取り組んでいる。
物理を活かす道を探して、量子コンピューティングへ
私はいま、量子アニーリングの理論研究を行っています。学生時代は宇宙物理学を専攻していたので、もともとの専門領域ではありません。博士課程を修了し、助教も1年間務めていましたが、同じ研究室の優秀な先輩たちであっても、2-3年の任期ごとに就職先を探すのに大変な思いをするのを目にして、自分にはアカデミアの世界で続けていくのは難しいなと考えて就職の道を選びました。
とはいえ、宇宙物理学の就職先となるとなかなか難しいものです。一般的には、金融や公務員、IT企業に向かうことが多いですが、それらはどちらかというと、数学の知識を活かす道です。せっかく物理をやってきたので、できれば物理を活かせるような仕事、さらに欲を言えば研究ができるような職に就きたいと思っていました。
NECはAIの会社だと思っていたので、はじめは就職先として想像もしていませんでした。そもそも、情報系を専門に勉強してきたエリートだけが進む会社だと思っていたのです(笑)しかし、大学のキャリアセンターに自分の実績や成果をまとめた資料を提出したところ、運良くNECの面接を受けるチャンスがあるという話をいただきました。面接を受けてみると、面接官の方が、自分が取り組んできた研究に対して真摯に質問をしてくれたことに好感を持ちました。ただ、最終的に量子コンピューティングをやらないかという話をされたときには驚きましたね。しかし、量子コンピューティングは物理の知識を活かせる領域ですし、時代の先端を走る研究分野です。このチャンスを逃したくないという思いが生まれて、この世界に飛び込んでみることに決めました。
異動を経て確立した自分ならではの立ち位置

量子コンピューティングが専門外の領域でしたが、学部時代レベルの知識がきちんとしていれば、問題なくキャッチアップすることができるものです。同じチームでも、原子核物理学や素粒子物理学出身のメンバーがたくさん活躍しています。
私も先輩たちのアドバイスをいただきながら、初年度は量子コンピューティングのユースケース探索を主なテーマとして研究に取り組みました。量子コンピューティングはまだ新しい分野なので、ユースケース探索でも学会発表ができるのです。その後、1年目の最後に異動の話をいただいて、ビジネスの視点から量子コンピューティングの利用を推進する部署に異動しました。この部署でも研究機能はあったとはいえ、早くも2年目から研究所を離れることに最初は戸惑いましたが、今となってはここでの経験がすごく身になったと感じています。研究所とビジネスの視点双方がわかるようになり、自分ならではのハイブリッドな立ち位置を築くことができました。
研究所に戻ってからは、量子コンピューティングのハードウェア開発を進めるための理論研究に少しずつ取り組むようになっています。より物理の知識を活かせる研究に近づいてきているので、さらに研究が楽しくなっているところです。
NECはいま量子コンピューティングの研究を加速するために全社的に力を入れています。NEDOなどが立ち上げたナショナルプロジェクトにも複数関わってしますし、しっかりと腰を据えて、長期的な視座に立った研究ができるのも魅力ですね。
NECなら、自分の好きな研究もできる

私が勤務しているのは、産総研と連携した「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究ラボ」だからというのもあるかもしれませんが、NECの研究所には、大学のような雰囲気があります。企業の研究所というと、もっと厳しい空気なのかなと思っていましたが、良い意味でおおらかでのどかな感じがして、心地がよい環境です。研究者の方がたくさん論文を書くというのも、そう感じる理由の一つかもしれません。NECはAIを多く取り扱っているので、情報系の国際会議で論文を出版されている方が多いのはもちろんですが、私が所属しているチームでは物理の学会に論文を出版している方もたくさんいます。
なので、もし就職に当たって研究することを諦める必要があると考えている人がいたら、NECではそんな必要はないよと言いたいです。論文執筆や学会への参加は推奨されていますし、人事評価におけるKPI(重要業績評価指標)の一つにさえなっています。さらに、NECには「20%ルール(注)」というものがあります。チームの仕事に影響がない範囲で、業務時間内の20%以内で自分が好きなテーマを研究できるという仕組みです。なので、自分のやりたい研究を諦める必要は全くないのです。私もいま他部署の有志といっしょに、自分が取り組みたいテーマでの研究をすすめています。
これからの目標は、まずは私も論文を書き上げることです。これまでは部署異動などもあってなかなか手をつけられなかったので、これから本格的に取り組んでいきたいと思っています。研究者として成果を出して、多くの人に認められるというのは非常に嬉しいものです。自分の物理学の知識を通じて社会に貢献していきたいと考えています。
- 注:部署ごとに15%や20%など比率が設定されています

- ※本ページに掲載されている情報は、掲載時の情報です。
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最近、読書好きの先輩に影響されて、SF小説などの読書をするようになりました。福利厚生で業務関連の書籍購入の補助がもらえたり、それ以外の本も割引価格で買えたりするのは嬉しいポイントです。また、半年前に小学校のときにやめてしまったピアノを再開し、ピアノ教室に通っています。会社の人は様々な趣味を持っている方も多く、いろいろ教えてもらえます。この前も休日にミュージカルや自動車レースを見に行き、楽しんできました。

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