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学生のみなさんへ2021インタビュー:呉 鳴奇
2021年3月26日
領域を横断して新しい技術をつくる

システムプラットフォーム研究所
呉 鳴奇(うー みんちー)
学生時代は高周波集積回路を専攻し、修士号を取得後2016年10月にNECへ入社。メタマテリアルを活用した無線アンテナや大容量光通信などを研究し、それぞれの研究テーマでの国際学会で論文採択、口頭発表の実績を残している。
メタマテリアルアンテナと光通信装置を研究
私はNECに入社後、システムプラットフォーム研究所に所属して2つの研究を進めてきました。1つ目は、無線アンテナの研究開発です。メタマテリアルを活用したアンテナを研究して、アンテナの高性能化と小型化に取り組んできました。これから私たちの社会が迎える5Gや6G時代に欠かせない重要な技術です。
その後、2019年から新しいチャレンジとして取り組んでいるのが、現在の研究テーマでもある大容量光通信技術の研究開発です。あまり知られていないかもしれませんが、NECは大容量光通信において世界でトップレベルの企業です。海底光ファイバーケーブルでは、世界の約3割のシェアを誇っています。このような環境で研究できることには、大きなやりがいを感じています。私の現在の研究目標は、光伝送システムの性能・頑強性の向上と低コスト化です。現在よりさらにコスト抑えつつ、高いパフォーマンスで安定して動作する通信システムをめざしています。デバイスレベルにとどまらず、システムレベルで自動最適化できる技術という観点から研究を進めているところです。
領域を横断することでアイデアが生まれる

研究テーマが変わることを不安に思う方もいるかもしれませんが、そんな心配をする必要はまったく必要ありません。私も学生時代までは高周波集積回路の設計を専門としていたので、メタマテリアルアンテナの研究開発チームに配属されたときは、最初は戸惑いました。しかし、上司の話を聞いてこれまでの知識のベースを活かせることがわかりましたし、周りには世界トップレベルの研究者がたくさんいるので、分からないことは適宜教えてもらいながらすぐにキャッチアップすることできました。
また、異分野からの研究参入には大きなチャンスがあるものです。メタマテリアルアンテナの研究では、学生時代に研究していた高周波集積回路から着想を得て、アンテナ製造後も電子信号の特性を変更できる技術を考案しました。これにより、アンテナ分野で最も権威ある国際学会IEEE AP-Sに論文が採択されて、口頭発表を行っています。
また、大容量光通信での研究に移行したときには、無線通信では当たり前にやっていたことが光通信では全く運用されていないことに驚きました。分野を横断すると、こうした意外な発見に出会うことがあります。こうしたところにこそ、アイデアの種があるものなのです。1点だけ深く掘り下げて研究していく姿勢も大事ですが、横断的に広く研究していくことで、面白い研究を生み出せることがあるということを実感しています。こうしたアプローチから研究を進めることで、先日も光通信の国際会議であるOECC 2020に論文が採択され、口頭発表を行いました。
ダイバーシティ豊かな環境

NECは学会参加に積極的な企業です。たとえ学会に自分の論文が採択されなかったとしても、上司にきちんとした理由さえ説明できれば、行きたい学会に参加して聴講することができます。アカデミアとの結びつきが強いことは、研究所として非常に良いポイントだと思います。
また、NECはダイバーシティに富んでいます。私は日本の大学を卒業後に、数社日本企業の採用面接を受けたのですが、NECだけは日本が話せなくても全く問題ないというスタンスでした。実際、研究所の方はみなさん英語が話せますし、年次キックオフなどの重要なミーティングでは英語の資料も準備されます。社内システムの英語化も進んでいます。
ビジネスユニットに所属している日本人の方でも、英語を理解できる方が多いです。面白かったのは、あるプロジェクトでご一緒したビジネスユニットの方は英語のヒアリングはできても、話すことはできなかったんです。一方、私は日本語のヒアリングはできるのですが、話すことはまだあまり得意ではありません。なので、どうやってコミュニケーションをとったかというと、相手の方は日本語で話し、私は英語で話すというかたちをとりました。お互いに話していることは理解できるので、こういった方法で何不自由なくコミュニケーションをとることができたのです。ですので、もし日本語ができなかったとしても、あまり気にしなくて良いと思います。日本語のレッスンも会社で用意してくれるので、すぐに慣れると思いますよ。

私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?

山が好きなので、よく登山に出かけています。中国の故郷では近くに山がなかったので、大学で日本に来たときから始めました。最近はリモートワークが続いているので、体を動かすためにも毎月2回ほど登山しています。NECには玉川山岳部というサークルがあるので、登山仲間もたくさんつくれますよ。
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