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学生のみなさんへ2022インタビュー:Royston Rodrigues
2022年1月31日
社会に貢献するビジュアルナビゲーション研究をリード

バイオメトリクス研究所
Royston Rodrigues(ロイストン ロドリゲス)
修士課程ではビデオカメラがとらえる異常な動きの検出をテーマに研究し、National Center for Excellence in technology for Internal Security, Indiaにて、リサーチアシスタントに就任。同施設での研究を通じて、コンピュータービジョンの分野で高い評価を得ている国際会議に研究論文を提出。2019年10月にNECに入社。
ビジュアルナビゲーションのための次世代AI技術の研究をリード
NECでは、クロスビュー画像ジオローカリゼーション(注1)(注2)と呼ばれるビジュアルナビゲーション技術の研究を行っています。この研究では、ジオタグ付きの航空写真のデータベースと地上で撮影された写真を照合し、場所を推定することを目的としています。
実用化に向けた主な課題としては、写真にある景観が時間の経過と共に変化するという問題があります。ビルが新規に建築されたり、逆に解体によってビルが消えてしまったりすることもあります。あらゆる景観変化をすべて瞬時に反映した航空写真というものは存在しないので、このような時間的な変化に対応するテクノロジーが必要となります。 新しい技術の開発をめざして、いま研究を進めているところです。
まだ初期段階にあるものの、この研究を通じて自動運転の開発にも貢献できるのではないかと考えています。現在の自動運転車は、GPSセンサーと膨大なLiDARセンサーの両方を使用していますが、後者をクロスビュー画像ジオローカリゼーションなどの画像照合テクノロジーも活用することができれば、より高度な位置推定が可能になります。この最先端のトピックに着手した企業は、NECが初めてです。NECにおいてこのテーマの研究をリードできたことを、私は誇りに思っています。
- (注1)Royston Rodrigues and Masahiro Tani. Are these from the same place? Seeing the unseen in cross-view Image Geo-Localization. In Proceedings of the IEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision (WACV), 2021.
Paper Link:https://openaccess.thecvf.com/content/WACV2021/html/Rodrigues_Are_These_From_the_Same_Place_Seeing_the_Unseen_in_WACV_2021_paper.html
- (注2)Royston Rodrigues and Masahiro Tani. Global Assists Local: Effective Aerial Representations for Field of View Constrained Image Geo-Localization. In Proceedings of the IEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision (WACV), 2022.
Paper Link:https://openaccess.thecvf.com/content/WACV2022/html/Rodrigues_Global_Assists_Local_Effective_Aerial_Representations_for_Field_of_View_WACV_2022_paper.html
違いを受け入れ、多様性を尊重し、実績を評価する

私は、大学生のときから日本で職を得てキャリアを積んでいきたいと考えていました。日本は、さまざまな面で独自性を発揮しており、教育も独自の方針で行われています。これは、研究者の育成においても同じです。そうすることで、日本ならではの革新的な製品を数多く生み出してきたのだと思います。
実際に、その多くが日本を代表する製品として世界で認められています。このようなことを見る度に私は、高品質の象徴であり、憧れの的でもある「メイド・イン・ジャパン」について、もっと深く知りたいと思うようになりました。そして私は、120年以上の歴史をもつ日本を代表する優良企業の一つであるNECに、入社することにしました。
NECは、5Gなどの通信分野から顔認証などの高度な生体認証技術に至るまで、幅広い分野での研究実績で知られており、科学の進歩と社会の改善に貢献してきました。いまNECでは、外国籍の人材を積極的に受け入れています。多様性に価値を見出し、異なる考えや見解からも学びを得ることで企業としての成長を持続しようとしているのです。日本の歴史ある大企業が外部の視点からも学ぼうとし、その重要性について内外に発信していることは、本当に素晴らしいことだと思います。外国籍である私たち社員は、絶え間なく変化する世界のニーズに対応できるよう組織の変革をリードすることが期待されています。
また、忘れてならないのは、社員評価において従来の年功序列を中心とする制度から離れ、目標の達成や生み出した成果に基づいた評価にシフトしつつあるということです。私は、入社2年にも満たないなかで、研究の成果が評価されて優秀発明賞を受賞し、アソシエイト・リサーチャーからリサーチャーに昇進しました。研究を通じた貢献が認められたことに加え、専門家として高く評価していただいていることを心から嬉しく思っています。
社会に貢献するためのテクノロジー

コインには2つの側面があるように、テクノロジーにも2つの側面があります。メリットとデメリット、つまり効果・価値とリスクです。テクノロジーがもたらす新たな価値や効果について話すのであれば、それに伴うリスクについても触れる必要があります。どんなに高度で先進的なテクノロジーでも、安全を担保するシステムが適切に整備され、作動しなければ価値がありません。
たとえば、自動調理ロボットはキッチンで大いなる有用性を発揮してくれますが、それに伴うリスクを認識せずに対策を怠れば、価値どころか災難をもたらすことにもなりかねません。このことから、研究の成果と併せて技術革新に伴うリスクについても社会に広く知ってもらえるよう意識して取り組んでいきたいと考えています。
技術革新には、長きにわたる時間と膨大なリソースの投入が必要になることから、リスクについては誰も率先して話そうとはしません。だからこそあえてこの点にも着目し、最適な方法を見つけることができるようリーダーシップを発揮したいと思っています。これからも長きにわたって技術革新の恩恵を受け続けるためにも、その価値とリスクについて理解を促すよう働きかけていきたいと思います。

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私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?
私は、さまざまな国の人々と交流し、お互いの学びを深めることが好きです。私たちは多様な価値観に遭遇し、互いに学びあうことで、個人として、そして職業人としての成長を遂げていきます。NECへの入社を機に、会社が若い外国籍社員のために提供する寮で暮らすようになりました。寮生活を通じて、さまざまな国から集まった社員と異文化コミュニケーションを楽しんでいます。NECには、アジア、北米、ヨーロッパを中心にさまざまな国籍の社員が勤務しており、日本国内の研究所に勤務する研究者の10%弱が日本以外の国籍保持者です。私が所属する研究所では、外国籍の社員が参加する集まりがあります。そこでは文化や言葉が異なる者同士で互いに経験を共有し、意見交換をしますが、日本人社員も文化交流や英語学習を目的に参加しています。日本人社員も参加することで、私たち外国籍の社員は日本について学ぶことができます。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、今はオンラインでしか会うことができませんが、良い仲間に恵まれ、長きにわたる友情が育まれています。1日でも早く、対面で楽しく語らい、笑い、お互いに励ましあえる日が来ることを願っています。

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