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学生のみなさんへ2015インタビュー:小倉 一峰
2015年5月
小倉 一峰

データサイエンス研究所 主任
小倉 一峰(おぐら かずみね)
2012年NEC入社。DTN技術の開発に携わる若きネットワーク技術研究者。DTN技術を活用した災害時ソリューションなどに積極的に取り組む。
DTN技術を駆使して非常時でもつながる通信を構築
私はいま、DTNと呼ばれるネットワーク技術の研究に取り組んでいます。DTNとはDelay Tolerant Networkingの略で、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス同士がすれ違った際に、携帯網を介さずに直接通信するネットワーク技術です。実はこれらのデバイスはすでに、お互いに通信できる機能を持っているんですね。この機能を利用すれば、たとえば災害によって携帯網が機能しなくなってしまった非常時であっても、自治体や避難所に用意しておいたデバイスを通じて、ユーザーのスマートフォンへ安否情報や物資の情報などを配信したり、逆に集めたりするといったことができるようになります。このような非常時用の運用としては、現在すでにプロトタイプをつくり実証を進めているところです。さらに今後の展開としては、トンネルのなかや地下、海中など、携帯網が使用できないシーンでの通信として活用していくことを考えています。
世界を大きく変えるほどの影響力
技術力と多様性あふれるNECでの研究
私がNECを選んだ理由の一つは、NECが世界中の人々のライフスタイルを変えるような大きな影響力をもつ企業だからということですね。NECには、著名な国際学会で多くの研究成果報告の実績がありますから、グローバルな場においても技術力が高く評価されています。さらには、資本力や組織力の面でも、技術を幅広く世の中に浸透させることのできる強い影響力をもった企業です。あとは、日本人として日本の会社をもっと伸ばし、グローバル市場を牽引する会社にしたいというモチベーションもあります(笑)。
また、これは入社して感じたことですが、NECは多様性に富んだ会社です。ネットワーク技術だけに限らず、さまざまなバックグラウンドをもった研究者がたくさんいるので、自分の技術だけではお客さまへの価値が見出せないケースであっても、顔認証の技術やビッグデータといった他の技術と組み合わせることで新しい価値を生み出すことができます。このような環境は、広い視野を持った研究がしやすい環境だなと思いますね。また、海外出身の研究者も多く在籍しています。私のチームにはラオス出身の方とインド出身の方がいますが、やはり違う文化背景の方とのディスカッションでは、非常にユニークなアイディアが出てくるものです。こういった多様性はとてもいい刺激になっていて、イノベーションを生む大きな可能性を感じています。

留学制度を利用して世界をリードする人材をめざす
NECはいま、グローバル市場への進出に重点を置いています。私自身もグローバルな舞台で世界をリードできるような人材になりたいという想いを強く持っていますので、近いうちに会社の制度を利用してアメリカへ留学したいと考えています。アメリカの研究者たちには、飛びぬけたイノベーションを自ら起こして起業をしてしまうくらいの勢いがありますから、その文化やマインドをぜひ学んでみたいですね。そこでの経験を通じて世界をリードして、研究活動で築き上げた技術の標準化やデファクトスタンダードをめざしたいと思っています。やはり、研究してきた技術が身近なモノやサービスに使われるというのは、非常に大きな魅力です。開発した技術を標準化することやデファクトスタンダードにすることは、ある意味で研究者として一つのゴールだと思っています。
また、ネットワーク技術だけではなく、何か新しい技術ももう一つ学びたいですね。たとえば、ロボティクスです。特に日本では少子高齢化による労働力低下という課題が挙げられていますから、ロボティクスによる自動化は、経済の活力を維持または向上させるうえで成し遂げなければならないことだと思っています。また、ロボティクスにネットワーク技術を組み合わせた独自のテクノロジーを生み出すことにも、大きな魅力を感じています。
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