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学生のみなさんへ2022インタビュー:棗田 昌尚

2022年1月31日

システムの安定稼働を支える

棗田 昌尚(なつめだ まさなお)

セキュアシステム研究所
シニアリサーチャー
棗田 昌尚(なつめだ まさなお)

学生時代に専攻した原子光学の分野からデータ分析の世界へと転身。NEC北米研究所に出向し、ロッキード・マーティンの大型プロジェクトをリード。2020年に関東地方発明表彰 発明奨励賞、2021年には電気科学技術奨励賞を受賞した。現在、東京大学大学院に国内留学中。

社会インフラの異常予兆を検知する技術

大学での専攻は、フォトニクス(光工学)という分野です。光を使って原子を補足する基礎研究をしていました。このとき扱っていた研究は、NECが特に成果を上げていた領域で、自分が大学で培った知識や経験が活かせると考えて2008年に入社しました。

入社後2012年までは光に関する研究に携わりました。その一つには、2006年から展開された次世代光ディスクがあります。やがてNECのなかでもデバイス系の事業が減少し、ICTに関連する開発への転換が起こると、注力する領域がサービスやソフトウェアに変わり、研究テーマも大きく変化することになりました。最初は、何をやればよいのかと考え込んだこともありましたが、そのうち、目に見えるものが対象である産業システムの分析技術なら、これまでやってきたことが活かせるという自信が湧いてきました。

2012年からはNEC北米研究所が考案したインバリアント分析技術を産業システムに応用することになり、研究活動に携わることになりました。この技術は、センサーが吸い上げたデータから産業システムがどのような挙動をするかを把握するものです。具体的にはセンサー間の関係性を検証して集めることで、システムの正常なふるまいをモデル化します。データの変化をモデルが検出すると異常値として示し、起ころうとしているトラブルを予知できるようになります。

私が最初に手がけたプロジェクトは、この技術を大型プラントの監視に役立てようとするものでした。こうしたシステムの安定的な稼働は、熟練した技術者の経験に担保されていて、現場を熟知する人間が退職すると、その稼働に問題が生じてしまう可能性があります。
人間に対する依存度の低い方法で安全を確保することができれば、技術者が少しずつ職場を去ったとしても、残った若手の人たちと新しい技術を組み合わせることで、安定稼働を継続できるはずです。

2017年からは、NECとロッキード・マーティンが共同してAI、機械学習技術を宇宙領域の産業に適応させる話が持ち上がりました。そこで私は、インバリアント分析技術の技術検証を主導しました。

このほかにも、いまは事業コストの最適化や設計へのフィードバックのために設備の余寿命を予測する技術を開発するなど、事業によりプラスに働く応用技術の確立をめざして研究を進めています。

人の成長に投資し、挑戦する人を応援する会社

NECの魅力は、人の成長に投資してくれる点だと思います。今までに配属された仕事は自分にとってチャレンジングなものが多かったですね。その際、最初から100%できると認められて配属されたわけではありません。難易度の高い目標に対して自分はやる気があると申し出れば、採用してくれます。

周囲の人が引き止めるというのも聞いたことがありません。NECは、積極的に取り組みたい人には門戸を開いて待ってくれる場所です。そして、自分の力が至らなくとも、まずはやってみなさいと、成長に対する投資を惜しまない会社です。

私も2014年頃の活動で、台湾の電力公社に技術的なプレゼンテーションをする仕事を任せてもらったことがあります。英語が堪能でないにもかかわらず、世界市場へ自分の携わる技術を売り込む役目を果たすことができました。

また、NECにはキャリアレビューという制度があり、毎年、中長期的なキャリアプランを上司と議論する場があります。入社以来、私はその場を通じて、海外での業務を経験してみたいと上司と共有しつづけてきました。その甲斐もあって、2017年にはついにNEC 北米研究所への出向が決まり、家族と渡米し、約4年間アメリカのニュージャージー州で生活しました。大型プロジェクトのリードや研究プロジェクトの立ち上げを通じて企業研究者として成長しただけではなく、私生活を通しての学びもありました。海外での日常生活ですから、ちょっとしたトラブルもつきものです。少々のトラブルには動じない胆力と交渉力を獲得できたと思います。環境の変化は人を大きく成長させるなとつくづく実感しました。最近では、合同での研究発表会や共同プロジェクトなど、海外にあるNECの研究所との連携が活発化しているように感じています。少しでも海外での業務経験に興味があれば是非、挑戦してほしいです。

さらに、さまざまな人の意見に対してオープンマインドな社風も、もう一つの魅力ですね。私の上司は、何事にも真摯に耳を傾けてくれる方々ばかりでした。メンバーからの意見を率直に受け入れ、改善するための手助けをしてくれる方が多いです。

研究者が起業家精神を持つことの大切さ

私は、何事に対しても好奇心を持つことが大切だと思っています。研究をつづけていると、ときにはこれまでに経験したことがない新しいものを見つけなければいけない局面に直面します。しかし、好奇心があれば、初めての事柄をはじめる勇気が湧いてきます。私の場合、フォトニクスからデータ分析技術へ研究対象を大きく変えました。このギャップに躊躇しなかったのも好奇心によるものだと思っています。

「失敗を恐れずに進め」が私の信条です。一つの機会として、国内留学や海外留学制度で新しい研究の場が得られるのもNECの魅力です。私の場合、現在国内の大学院に留学していますので、仕事と並行しながら博士課程の研究ができます。NECの発展につながる研究内容であると会社が認めてくれれば、学費の援助があり、時間的な自由も許してもらえます。

最近感じることは、企業で働く研究者の起業家精神の必要性です。すでに価値のわかっているものに対して貢献するよりも、自分が重要だと確信したものを軸に、周りの人に共感してもらうことの大切さが増していると感じています。多様性が求められ、何が世の中で役立つのか、何が好ましいと認められるのかが、わかりにくくなってきているなかで、自分なりの仮説を持ってその良さを社会に認めてもらうように発信し続けていくことが大切です。特に産業界の研究所で活躍していきたい研究者は、そうした観点を自分の核とすることが今後求められると思います。

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インドアでは、テーブルゲームで休みの日に子どもたちと遊んでいます。実家に帰省したときに子どもの頃に遊んでいたゲームが出てきて遊ぶようになりました。アウトドアでは、最近ハーフマラソンに挑戦しました。3か月間練習すれば誰でも完走できるという自己体験が得られた今では、私自身が周囲の人にハーフマラソンに誘うようになりました。

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