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学生のみなさんへ2023インタビュー:森 隼基
2023年1月11日
東京の企業に在籍しながら、京都の大学院で博士号取得を目指す

セキュアシステムプラットフォーム研究所
リサーチャー
森 隼基(もり じゅんき)
学生時代には量子論の基礎理論をテーマにした研究を専攻。NEC入社後は研究テーマを機械学習へ移し、連合学習の研究に従事している。2023年度からはNECの国内留学制度を活用し、リモートワークと並行しながら京都の大学院で博士号取得をめざす。
組織間のデータ活用で高精度なAIをつくる
私がいま取り組んでいる「連合学習」は、複数の組織がもつデータを活用して機械学習を行うための技術です。通常、AIの学習には膨大な量のデータが必要になります。そのため、会社や銀行、病院などの事業者では、AIをつくろうとしてもデータが足りなくて精度が出ないという問題を長く抱えてきました。連合学習はこうした課題に対応する技術で、複数の事業者がもつデータの機密情報やプライバシーは保護したまま高精度なAIモデルを生成することができます。
もともとは、プラットフォーマーが個々人の端末データを秘匿したままAIモデルを生成するために提唱した概念ですが、NECではこれまでのビジネスをもとに、会社などの組織間をまたいだデータ運用をめざしており、世界をリードしようとしています。
私は入社2年目からこの研究を始めて現在2年目になりますが、今ようやくお客様と実証実験を行う段階にきていて、研究成果が社会に役立つステップに入り始めたという新しいやりがいを感じ始めています。
異分野からの挑戦でも、国際学会で活躍できる

私はもともと、学生時代には量子論を研究していました。しかし、修士課程を終えるころにもう少し研究成果を直接社会に役立てられるような研究をしたいと思い、AIや機械学習をテーマにした応用研究ができる場所を探すようになりました。なかでもNECは有名学会に論文をコンスタントに出し続けている企業として知っていたので、興味を持ちました。トップ研究者に囲まれて論文を発表していくことができるのであれば、研究者としても大きく成長できると考えたからです。
学生時代に取り組んでいた量子論と現在の研究テーマでは全く分野が異なりますが、線形代数や微分積分などの数学的基盤は変わらず活用できます。入社後は上司が勉強時間を確保してくれたり、先輩もプログラミングを一から教えてくださったりしたおかげもあって、スムーズにキャッチアップすることができました。
実際、入社して3年間のあいだに3本の論文を書いていて、2本は国際学会に採択されました。そのうち1本はAI系の国際学会IJCNN(International Joint Conference on Neural Networks)です。今年はベネチアで開催されたので、現地へ出張してきました。世界各国の研究者と議論できるのは刺激的でしたし、現地での観光も楽しかったですね。
会社の制度を活用して博士課程へ

NECに入社して感じるのは、研究者を育てる環境が整っているということです。特に「国内留学制度」「海外留学制度」は会社が大学院での博士号取得を支援してくれる制度で、学費を会社が負担してくれます。私も今年、国内留学制度の選抜に合格することができたので、母校である京都の大学院で博士課程に進む予定です。
神奈川にある研究所に在籍しながらどう京都に通うかですが、ちょうどNECでは「遠隔地勤務制度」が始まったので、来年は京都へ引っ越すことを検討中です。この制度は、リモートワークで業務を行うことができる社員を対象にした制度で、月に1~2回までであれば出社に使用する新幹線代が会社から支払われます。私の業務もリモートワークが中心なので、この制度を利用しようと考えているところです。
博士課程へ進もうと考えたのは、AIの中でも誰にも負けない自分の強みとなるような領域を作るためです。現在は連合学習において組織間のデータ分布の差への対処という新たな課題を見つけているので、そこに注目して強みにしていけたらと思っています。

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休日何してる?
最近はインターネットでよく映画を観ています。仕事終わりにご飯を食べながら観ることも多く、そういうときは頭を空っぽにできるアクション映画などを観ます。カメラも趣味で、旅行に行ったり景色の良いところに出かけては写真を撮っています。また、最近は昔やっていたバスケットボール熱が再燃しており、コートのある公園に行って、たまにバスケをしています。NECにバスケ部もあるらしいので、すこし興味を持っています。

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