Japan
サイト内の現在位置
学生のみなさんへ2023インタビュー:溝口 毅彦
2022年12月27日
機械学習の世界最前線を走る北米研究所で活躍

デジタルテクノロジー開発研究所
シニアリサーチャー
溝口 毅彦(みぞぐち たけひこ)
学生時代は信号処理、最適化、逆問題、統計的機械学習を専攻。2013年に入社後は、深層学習技術を用いた大規模システムの状態推定・異常予兆検知などの研究に携わり、インバリアント分析技術や時系列データモデルフリー分析などの研究と事業化に貢献する。2018年11月から2022年4月までNEC Laboratories America, Inc.に出向した。
多彩なお客様がいることは、機械学習研究に最適な環境
NECに入社した最大の理由は、自分の専門性を活かしたかったからです。NECが機械学習において基礎と応用の両面から幅広い研究を進めていることは、学生時代から論文などを通じて知っていました。
しかし、実際に入ってみると、NECの研究領域は思っていた以上に多彩でした。機械学習においても多様な基盤研究と応用研究があり、それぞれに幅広い分野のお客様がいます。これはつまり、たくさんの実データを使った研究ができるということです。学生の皆さんが機械学習の研究において特に苦労するのは、データ収集だと思います。大抵の場合はよく論文に使われるオープンなデータセットを利用するのですが、NECにはお客様からご提供いただける生きたデータがたくさんあります。入社したときにはそれだけで驚きましたし、嬉しかったですね。これは機械学習を研究するうえで非常に優位な点だと思います。
また、最先端の技術を社会に実装していけるというのは、企業研究ならではの大きな魅力です。社内のエンジニアや事業部の方々と連携し、研究によって生み出した成果を実際に機能する製品やサービスへと落とし込んで納品する。このようなフローをスピーディに行えることには、研究者として大きなやりがいを感じています。
北米研究所で過ごした刺激的な3年半

NECには1年に一度キャリアレビューという制度があり、ここで今後のキャリアについて希望を出したり、上司と相談したりすることができます。私は入社1年目からNECの北米研究所と一緒に仕事をしていて、いつかここで働きたいなと思っていたのでその希望を伝えたところ、2018年から3年半ほど出向させていただくことができました。
北米研究所は非常に働きやすく、また、とても刺激的な環境でした。同僚には機械学習やAIの分野で学生時代から実績を残しているような優秀な研究者がたくさんいましたし、大学のゼミのように研究の進捗報告や紹介を毎週持ち回りで行っていて、活発な議論の機会を常に持つことができました。また、外部から講演者を呼んで全員を対象にした技術講演も定期的に開催していて、常に最新の技術動向を知ることもできました。出向という枠組みの中では、国の制度や会社の意向上3~4年ほどしか働くことができなかったのですが、非常に良い環境だと思いました。今後また機会があれば、北米研究所で働きたいと思っています。
「ゆとり」があるから、就業しながら博士号を取得できる

入社後、大学時代の友人たちと話すときに感じるのは、NECには「ゆとり」があるということです。さまざまな道に進んだ友人たちがいますが、「自分の時間が取れない」と嘆く人たちも多いのは事実です。私自身も社会人になったら非常に忙しくなるのだろうというイメージを持っていたのですが、NECでは極度に忙しいことはなく心のゆとりを持てています。研究職は長時間働いたからといって成果が出るものではありませんから、本質でない業務に忙殺されずゆとりがあるというのは非常に重要なことだと思います。
実際、私は余暇の時間を利用して2015年から母校の博士課程に進みました。会社の業務と並行しながらのチャレンジでしたが、上司の理解も得ながら2019年に無事に博士号を取得することができました。
博士号をとろうと思い立ったのは、北米研究所での経験があったからです。北米研究所のメンバーは全員博士号を持っていて、インターンに来る学生も博士課程の学生ばかりでしたので、海外で研究をしていくには博士号が必要だと強く感じたことが大きかったですね。
私が研究をするうえで重視しているのは、普遍的な価値を生み出すことです。機械学習は技術の進歩が目まぐるしい分野です。たとえトップの国際会議で研究成果を出したとしても、1年足らずですぐに陳腐化してしまうこともよくあります。だからこそ表層的な流行にこだわらず、普遍的な価値を提供できるような研究を続けていきたいと思っています。
特にディープラーニングでは、まだ中身がブラックボックスな場合が多いですので、特定のデータやタスクに対して良い結果さえ出せればいいということになってしまいがちです。しかし、そのようなことに流されず、時代が流れても変わらない本質的な課題解決方法を確立し提案することこそが、これからの研究でも大事なのではないかと思います。それはおそらく企業であっても大学であっても変わらないはずです。流行にとらわれ過ぎず、本質的な価値を見定めながら研究を楽しんでいきたいと考えています。

- ※本ページに掲載されている情報は、掲載時の情報です。
私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?
ラーメンが大好物だったのですが、北米研究所にいた数年間、久しくまともに食べられていなかったので、休日はよく食べ歩きをしています。また、剣道を小学生時代から続けていたのですが、コロナ禍のせいですっかり継続的な稽古がストップしています。最近ではリモートワークのせいで運動不足が深刻化しているので(北米研究所では車通勤だったので、なおさらです)、そろそろ近場で道場を見つけて稽古を再開したいです。

お問い合わせ