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学生のみなさんへ2021インタビュー:宮崎 涼二
2021年3月26日
量子アニーリングマシンの実現へ

システムプラットフォーム研究所
宮崎 涼二(みやざき りょうじ)
物理学で博士号を取得後、国立情報学研究所の特任研究員や大学院での特任助教を歴任。その後、2019年1月にNECへ入社。統計力学と情報学の知識を活かして、量子アニーリングを理論面から研究している。
社内外の専門知を結集して量子アニーリングに挑む
私はいまシステムプラットフォーム研究所で、量子コンピューティングの一つである量子アニーリングの研究をしています。NECに入社する前は、国立情報学研究所の研究員や大学の応用情報科学科でポスドク(ポストドクター)を務めていました。これまで培ってきた統計力学や情報学の見地から、量子アニーリングの理論的なシミュレーションや評価を行うことが主な仕事です。
一方で、量子コンピューティング推進室という横断的な組織にも所属しています。このチームの目的は、社内の人材連携はもちろん、他社との共創も検討しながら量子コンピューティングの研究開発を加速させることです。NECでは現在、いち早く量子アニーリングマシンを商用化したカナダのD-Wave Systems, Inc. や、東北大学発のスタートアップ企業である株式会社シグマアイのほか、オーストリアのベンチャー企業Parity Quantum Computing GmbHとも共同研究を進めています。
2023年までに実用的な量子アニーリングマシンを実現することをめざして、社内外のスペシャリストが一体となった研究開発を進めているところです。
NEC発の量子アニーリングマシンをめざす

NECの量子コンピュータ研究には、多彩な人材が集まっています。私自身は理論的な面からアプローチをしていますが、実際にハードウェアをつくる研究者もいれば、実験のスペシャリストもいます。また、NECのスーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を使って異なるアプローチから量子アニーリングに関連する技術を発展させている方もいますし、マーケティングの側面も含めて応用や事業化に取り組んでいる方もいます。こうした多彩な方々と触発しあいながら研究ができるというのは非常に刺激的です。
量子アニーリング自体が新しい技術ですから、一つのアプローチにとどまらず、さまざまな方向から研究を進められるというのは意味のあることだと思います。大学の研究室では一つの方向性を究めていくことが多いと思うので、そこが異なる点かもしれません。
また、量子コンピュータというとベンチャー企業や海外のテックジャイアントが注目されがちですが、NECは1999年に超伝導固体素子を用いた量子ビットの動作実証に世界で初めて成功している企業です。これまで続けてきた研究開発により、独自のノウハウも蓄積しています。これから世界トップを狙っていける力は十分に備えていると思います。
そもそも、国内では量子コンピュータのハードウェア開発に本気で取り組むことのできる企業はごくわずかです。私自身は理論面を扱う研究者ですが、少しでも量子コンピュータの開発に影響を与えられるかもしれないと考えると、とても大きなやりがいを感じます。
企業研究者でありながら、自由に研究できる

NECに入社したきっかけは、ポスドクの任期期限が近づいていたとき、NECが量子アニーリングの理論分野で研究者を探しているという話を聞いたことでした。同時に、量子アニーリング用のハードウェアを作るという話も聞いて、面白そうだなと思ったのですぐに応募しました。
NECの研究所は、非常に研究しやすい環境だと感じています。確かにポスドクのときは非常に自由に研究ができていましたが、厳格に自己管理ができなければオンとオフの切り換えが曖昧になってしまいます。ともすれば任期期限と成果に追われて、ワークライフバランスが崩れかねません。NECに入ってからは、オンとオフが自然に切り換えられるようになりました。NEC自体がワークライフバランスを追求しているため、残業の削減にも積極的です。
また、企業研究だからといって、与えられたテーマをひたすらに研究するというわけでもありません。研究テーマの大枠は決まっていますが、自由な裁量に任せられている部分もあります。大学で研究していたときと同様に楽しく研究をつづけることができるのは、非常に幸運だと思っています。

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リモートワークになって家にいる時間が長くなったので、最近はケーキづくりにチャレンジしています。昔からつくってみたかったんです。妻と一緒につくっていましたが、いつの間にか自分一人だけでつくるようになっていました。YouTubeの動画を見ながら繰り返し挑戦して、少しずつうまくできるようになっていくのが楽しいです。
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