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学生のみなさんへ2022インタビュー:加納 勇也

2022年1月31日

量子コンピュータで社会の課題解決を

加納 勇也(かのう ゆうや)

システムプラットフォーム研究所
シニアリサーチャー
加納 勇也(かのう ゆうや)

博士課程のときにスイスのCERN研究所(世界最大規模の素粒子物理学研究所)で受けたセミナーで量子コンピュータのおもしろさと社会に与えるインパクトの大きさを知る。その後、大学院に博士研究員として在籍した後、2021年6月にNECに入社。

「量子コンピュータならNEC」と思い入社

私は大学まではまったく今とは違う分野の研究をしていました。もともと専攻が物理学科で、博士課程でも物理学専攻でした。そこで世界最大規模の素粒子物理学研究所であるスイスのCERN研究所に滞在し、研究をしていた2017年に、量子コンピュータに関するセミナーに参加する機会がありました。当時、量子コンピュータは学問と経済の両面でホットトピックでしたが、「量子コンピュータってこんなにおもしろいんだ! こんな大きな社会的インパクトがあるのか!」と興味をかき立てられました。

そして、「量子コンピュータならNEC」というイメージがありました。実際にNECの量子コンピュータ研究の歴史はとても長く、1999年に超電導素子を用いた量子ビットの動作実証に世界で初めて成功し、2014年には超電導パラメトロン素子で世界初の研究成果を出しています。量子コンピュータはとても多次元的な分野で、ハードウェア、集積回路、超伝導体、コンピュータ、ソフトウェア、データの統計解析など多種多様な技術が必要です。NECにはこれらの技術を持った研究者が多数在籍し、独自のアプローチで研究を進めている点もあり、技術の実現に加速度的に近づいている組織だと感じました。博士研究員の期間が終了し就職先を探すとき、NECで量子コンピュータの研究開発に携わりたいという思いが強まり、入社を決めました。

産総研との連携研究室で量子コンピュータ研究開発

私は今、NECと産総研(産業技術総合研究所・茨城県つくば市)が共同で設立した「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究室」に所属しています。量子コンピュータの研究開発、特に量子アニーリングマシンの研究開発に携わり、主に量子アニーリングマシンのコアである超伝導量子素子と、その制御システムの開発に取り組んでいます。

量子コンピュータは、量子物理学の現象を用いた次世代のコンピュータ技術で、現在のコンピュータでは困難な問題を解決する可能性を持っています。NECは量子コンピュータの一種である量子アニーリングマシンの開発を行っていますが、これは「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる種類の問題を、飛躍的に短い時間で解くことが期待されているもので、物流や創薬など、社会に大きなインパクトをもたらすといわれています。

量子コンピュータは、たとえば理想的な交通サービス、理想的な街づくり、個々人への理想的な商品の提供、理想のエンジニアリングとモノづくり、病気の心配・リスクの軽減など、日常生活のさまざまな場面に、これまでのコンピュータより超高速な組み合わせ最適化を実現することによって、社会のデジタル化を始めとしてさまざまなインパクトを与えることが期待されています。

そして社会に必要とされる現実的な問題を解くためには、量子アニーリングマシンの大規模化が必要であり、私たちはそのための技術開発を進めているのです。特に、量子素子を大規模化するにあたっては、それを高精度で制御するシステムが不可欠です。最先端の電子回路技術を駆使し、量子素子を高精度かつ高速に制御する技術の確立を目指しています。

産総研との連携による開発は、それぞれの組織の強みを出し合ってシナジーを発揮する部分において、非常によい環境だと感じています。量子コンピュータは分野を横断するような研究開発ですから、NECだけでは実現が難しい部分もあります。社会実装に向けて、さまざまな研究機関、企業が連携するハブに私たちがなることも必要だと思っています。

バランスのよい研究環境。後進の育成にも取り組みたい

まだ入社して半年ほどですが、NECで働いてみて実感したことは、まずイノベーティブな技術の開発に重点を置いているということです。そして、社会に役立つような技術、社会に実装できる技術をつくるにはどうすればよいのかといった部分と、学会発表や学術論文などのアカデミアな部分のバランス感覚が非常に優れていると実感しました。

所属部署には高いスキルを持って、とても熱心に真摯に研究に取り組む方が多く、各分野に秀でているエキスパートが多数在籍しています。非常に恵まれた環境で、私も大きな刺激を受けて研究開発を進めています。一方で、私のチームでは個人プレーではなく共同で議論を活発に行いながら研究活動を進めていて、チームワークを発揮しながら成果を創出していくという姿勢があることも特徴的だと感じています。

私は量子コンピュータ部門の研究をまだ始めたばかりですが、いずれは量子アニーリングマシンというデバイスを完成させ、お客様に実用化したものを提供していきたいと考えています。この研究はとてもスパンが長いものですが、加速度的に研究開発を進めていきたいです。また、この分野では人材不足という問題もありますので、自分自身でさらに知識と技術を身につけたうえで、後進の育成にも携われるような研究者になりたいと思っています。

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仲のいい友人とオンラインのボードゲームでよく遊んでいます。マーダーミステリーという推理ゲームをしたり、脱出ゲームに出かけたりすることもあります。最近は、妻とチェスや花札で対戦することが楽しみになっています。週末には近所の公園や川辺に出かけて、読書をすることがあります。量子コンピュータの理論や技術に関する教科書を読んでいますが、とても興味深い学問分野でもあり、楽しみながら読み進めています。

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