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学生のみなさんへ2024インタビュー:比嘉 亮太

2024年3月4日

産官学連携で最難関国際会議の常連へ

比嘉 亮太

データサイエンスラボラトリー
シニアリサーチャー
比嘉 亮太

物性理論研究で博士後期過程を単位取得退学後、2016年にNECへ入社。深層強化学習とそれを活用した自動交渉AIの研究に従事し、人工知能の最難関国際会議であるAAAI-22、23、24において立て続けに論文が採択されている。産業総合研究所(産総研)や理化学研究所、BIRD ININIATIVE, Inc.でも兼務する傍ら、文部科学省 科学技術・学術政策研究所 専門調査員を務めるなど、精力的な活動を続けている。新テーマ立案と新チーム立ち上げにも取り組んでいる。

企業でありながら、大学院レベルの研究ができる

私は博士課程後期を単位取得後に退学して、NECへ入社しました。当時はなかなか研究成果が出なくて、アカデミアにもう少し残るか、一度社会に出て他の道を探してみるかなど、いろいろと迷っていた時期でした。結果的に、まだ経験したことのない企業研究者を一度試してみて、その後で改めてどちらが向いているか判断しようと決断して、NECへ入社しています。

NECに興味を持ったのは、アカデミアでも論文が多数採用されていて存在感があったことや、有名な研究者が国内外にたくさんいることを知っていたからです。日本企業のなかでも、しっかり研究に取り組んでいる印象があったので、応募しました。その後、選考過程で実際に研究所内の見学もさせていただいたのですが、大学院と変わらないレベルでの研究がされていることに驚きました。企業の研究所というと、どちらかというと既存の技術を少し変えて、改良していくような「開発」が主体なのではないかと思っていたのですが、NECでは本格的な研究が行われていることを知って、なおさら入社への意欲が高まりました。また、日本だけでなく、さまざまな国から研究者が参加しているグローバルな雰囲気も入社への強い動機となりました。

運よく入社することができましたが、私のもともとの専門は物性理論です。機械学習の領域での研究になじむために、1-2年は勉強の時期でした。とりわけ、入社後に配属されたのが、後にnew windowdotData, Inc.をカーブアウトして設立した藤巻さんのチームだったので、周囲の優秀さに驚いてばかりでした。ただ、そのときに言われたのが「理論物理や物理出身の人は結構活躍されている人が多いよ」という言葉です。当時はそんなことがあるのかなと思っていたのですが、今となってはよくわかります。物理学で使う数理的なモデルなどのスキルセットは、機械学習や人工知能の領域でも同じような文脈で使えることが多いのです。なので、うまく自分のなかで物理と機械学習の間の翻訳ができ始めると、途端にスムーズに移行できるようになりました。物理学出身の人は、今度はむしろ自分が学んできた領域の技術を引用するかたちで、人工知能や機械学習に役立てているところもあるような気がしています。なので、物理学を専攻している学生の方には、ぜひ人工知能や機械学習分野の研究に挑戦してほしいと思っています。

人工知能の最難関国際会議AAAIに論文採択

研究を進めるうえで、大きな転機となったのが2019年からの産総研連携研究室での兼務です。国家プロジェクト(戦略的イノベーション創造プログラム)として立ち上がった自動交渉AI(利害関係を調整しあうAI)の研究に参加させていただき、これがいま少しずつ世の中に成果として出始めてきたところです。2020年から毎年、3カ月に1回ぐらいのペースで論文投稿を続けてきましたが、2022年に人工知能の最難関国際会議であるAAAIに論文が採択されると、以降は毎年コンスタントに採択されるようになって、ついにアカデミックなレベルでも認められるようになったと感じています。

私たちが進めている研究は、NEC1社だけでは実現できません。ただ理論をつくるだけではなく、物流や製造業界のお客様のところへ伺ってデータをいただいたり、社外のさまざまなステークホルダーとの連携をしたりするなかで、ようやく研究が進められるものです。私も産総研との連携のほか、これまでに理化学研究所やNECをはじめとする複数の企業が出資してカーブアウトを推進するBIRD ININIATIVE, Inc.など、さまざまな組織で兼務をしてきました。私が武器とする深層強化学習をコアに、さまざまな組織の事業ドメインや技術ドメインを組み合わせて、新しい技術や価値を生み出していくためには不可欠な取り組みです。

実際、私は今も大学の先生や研究員や学生さんと毎週議論したり、国際会議に参加したりするなどの活動を進めています。私にとっては、この環境は非常に相性が良かったと感じています。大学にいたときよりも、しっかり研究ができているという実感がありますし、お客様から生きた実データをご提供いただいたり、困り事を聞いたりすることができるので、研究のための研究ではなく、社会に貢献してビジネスに繋がる研究ができるというところで、やりがいを感じているところです。

また、国際会議で何度も発表をしていると、海外の著名な先生などから共同研究のお声掛けをいただいたりするなど、さまざまなつながりが生まれていくものです。先日は文部科学省の方からレポート作成に協力してほしいというご相談をいただき、個人として協力させていただきました。企業研究者でありながらバイネームで指名されるような存在をめざせるのも、NECならではかもしれません。

NECなら入社してすぐに最前線に立てる

冒頭で、まずは企業研究を経験してみてから、アカデミアか企業研究どちらに進むか判断しようと思って入社したとお話をしましたが、今ではNECに入社して良かったと思っていますし、このまま研究を続けていきたいと思っています。そもそも、世界を見渡してみても、人工知能の分野ではGAFAMなどの名だたる企業が研究をリードしている実態があります。また、研究に対する人的・経済的サポートという面でも、アカデミアより企業の方が手厚かったりもするものです。人工知能や機械学習の研究では、企業に入社してみるというのは一つの良い選択肢かなと思います。

特に、数多ある企業のなかでもNECは研究に力を入れていますし、何より若手が活躍しやすい環境が整っています。研究所内には多様な人材や長年培ってきたノウハウがありますし、お客様企業やアカデミアなどとの幅広いネットワークもあります。GAFAMのような企業のきらびやかな成果には確かに憧れはますが、入社数年目から研究の最前線に立って主体的に研究できる環境があるのもNECの魅力ではないでしょうか。実際、NECでは若くしてトップ学会で成果を出す研究者がたくさん活躍しています。そこから、彼らに追いつけ、追い越せという気持ちで皆が尽力しているのです。私自身も、入社時から根気強く取り組んできた組合せ最適化x深層強化学習が新しいテーマとして認められ、DSラボで2024年度より技術リーダーを任される予定です。さらにNEC産総研連携の新たなチームのプロジェクトの立ち上げに携わらせていただいております。アカデミックの成果だけでなく、会社の利益へ繋げるための活動も続けていきます。

また、もし企業研究職を試してみて、研究以外の道に進みたくなったということがあっても良いと思いますよ。NECの研究所であれば、たとえばエンジニアリングの方が性に合っているなと気づいたり、お客様といっしょに事業開発をやるのが楽しいと感じるようになったりしても、受け入れられるさまざまなキャリアパスが存在しています。コア技術の深いところまで理解できる貴重なエンジニアとして活躍する人もたくさんいますし、お客様の課題から最適な技術を組み合わせてソリューションをデザインする人もいます。こういったキャリアパスの柔軟さは、大企業ならではだと思っています。さまざまなニュースを見ると、何かとベンチャー企業が華やいで見えてしまうものですが、キャリア形成の場としてうまく大企業の懐の深さを利用するというのもアリだと思います。

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昔から将棋の観戦が好きで、最近ではAIの評価値をみながらプロの解説を聞くのが面白いですね。また、ChatGPTでいろいろ試してみることにもハマっています。おそらく研究職や技術職、作家さんなんかもそうだと思うのですが、いつも頭の片隅に仕事に関係することがあります。ChatGPTも、仕事に直接は関係ないのですが、新しい技術に触れておきたいと無意識に手を出してしまっている気がしますね。すごく楽しい技術だと思います。趣味なのか仕事なのか、ちょっと曖昧な気もしますね(笑)

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