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特集 研究とエンジニアリングの双方で活躍
file03 橋本 博志
2022年12月19日
リサーチエンジニアリングは、時代に適応した新しい研究スタイル

技術は日々進化をつづけ、世界はめまぐるしく変化する先行き不透明な現代。
いま研究開発には、スピーディに事業化を実現する新しい研究スタイルが求められています。
カギとなるのは、研究とエンジニアリングを自在に横断して実装を加速させるスキルです。
NECではいま、このスキル領域を「リサーチエンジニアリング」と名付けて強化を進めています。
新しい研究スタイルをいかに構築し、世界をリードしつづけられるか――。
日々模索と挑戦をつづける新時代の研究者たちの姿をご紹介します。
バイオメトリクス研究所
橋本 博志
2016年に入社以来、顔認証技術の研究開発に従事。現在は学習アルゴリズムの発展に加えて、量子コンピューティングとの新結合の可能性に注目している。
AIへの関心が高まる現在は、研究者にとって大きなチャンス
― これまでどのような研究をされてきたのでしょうか?
2016年の4月に入社して以来、顔認証の研究に取り組んできました。具体的には、顔認証に使われる深層学習の手法の研究や設計を行っています。深層学習のアルゴリズム研究からプログラム実装上の工夫に至るまで、研究とエンジニアリングの双方にまたがる仕事を1年目から続けてきました。基本的には、現在までその活動は変わっていません。
― 研究とエンジニアリングにまたがる業務をされてきたのですね。
客観的に見るとそう言えると思います。今はAIやICTの技術に対して大きな期待が寄せられている時代ですから、その期待に応えたいという思いがあります。そして、そのためには研究とエンジニアリングを繋ぐ活動が重要になっていると感じています。
社会から突然生まれるニーズに対応できる研究を

― なぜ、そのような思いを持っているのでしょうか?
私自身が顔認証の研究で経験したことが関係しているかもしれません。2020年、COVID-19が急速に感染を拡大すると、顔認証には新たなニーズが発生しました。マスクを着用したままでの認証が求められるようになったのです。マスクの着用という身近な事柄を通じて、社会の変化や技術に対するニーズの変化を感じられたことは、自分にとって大きな影響があったと思います。決められた目標に向かってじっくり技術を作ることも必要ですが、変化の激しい時代においては、その変化に柔軟に対応することがより重要だと考えるようになりました。やはり、外に目を向けて、広くアンテナを張ってチャンスをつかむ意識を持つことが大切なのだと考えています。
― シーズからではなく、ニーズから考える?
はい、そうですね。当時はマスクを着けたままでの顔認証が実現できるかどうか、必ずしもはっきりとした見通しが立っていたわけではありませんでした。しかし、そこにトライしたいという話がチーム内で出て、一丸となって取り組むことでスピーディに結果を出すことができました。失敗を恐れずチャレンジしていく精神や風土が重要かなと考えています。
常に新しい領域を切り開きつづける研究者へ

― より応用研究の意識を強く持つということでしょうか?
研究を基礎、応用と二分化して捉えるのではなく、両者の視点を融合することが重要なのだと思います。月並みに言えば、研究の早い段階から社会実装を意識するということですが、これが今求められている研究スタイルなのだと思います。AIやICTの技術は急速に社会に浸透していますが、その背景には研究者の社会実装に対する意識変革があるのではないでしょうか。
― つまり、リサーチエンジニアリングとは、現代に合った新しい研究スタイルだということでしょうか?
はい、個人的にはそのように捉えています。研究のなかに新しい視点を持ち込んで、どんどん新しい領域を発掘していくようなイメージですね。
ただ、現段階ではさまざまなリサーチエンジニアリング像があっていいと思います。私自身はリサーチャー的側面を強調しがちなので、エンジニア志向が強い方が考えるリサーチエンジニアリング像も是非聞いてみたいです。さまざまな方と意見を交えながら、リサーチエンジニアリングという領域をいっしょに盛り上げていきたいと思っています。
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