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特集  研究とエンジニアリングの双方で活躍
file06 古川 諒

2023年9月12日

技術を、社会で活用しやすいかたちに再設計する

古川 諒

技術は日々進化をつづけ、世界はめまぐるしく変化する先行き不透明な現代。
いま研究開発には、スピーディに事業化を実現する新しい研究スタイルが求められています。
カギとなるのは、研究とエンジニアリングを自在に横断して実装を加速させるスキルです。
NECではいま、このスキル領域を「リサーチエンジニアリング」と名付けて強化を進めています。
新しい研究スタイルをいかに構築し、世界をリードしつづけられるか――。
日々模索と挑戦をつづける新時代の研究者たちの姿をご紹介します。

セキュアシステムプラットフォーム研究所
古川 諒

2008年NECに入社し、主にプライバシー保護とデータの両立にかかわる研究開発に従事。2017年からは業務研修で事業部に異動し、IoTシステムのミドルウェア製品を開発する業務に携わる。2019年からは研究所に復帰し、データを秘匿したまま処理する秘密計算技術の事業化に向けた業務を開始して、秘密計算技術の事業移管に貢献した。2021年度下期からは、複数の組織が持つデータを秘匿したままでAIの学習を可能とする連合学習技術の研究にリサーチエンジニアとして活動中。

事業部への出向を機に、リサーチエンジニアへ

― これまでどのような研究をされてきたのでしょうか?

2008年に研究者として入社してから、セキュリティ領域の研究をつづけてきました。プライバシー保護とデータ利用の両立が主なテーマです。現在はこの領域でエンジニアリング寄りの研究開発をしているのですが、転機となったのは2017年から2年間、業務研修として赴いた事業部での経験です。IoTに関する部署に出向してエッジ端末で動くミドルウェアの開発を担当したのですが、ここでは製品の企画から開発、品質保証まで一貫して体験することができました。

もともと学生時代には自分でアルゴリズムを書いて実装や評価まで行うということをやっていましたし、ソフトウェアのベンチャーで開発のアルバイトをしたこともありました。実は入社してからも自分で実装までやっていたりしたので、元来自分で手を動かして実装することが好きなのだと思います。研究所に戻ってきてからもエンジニアリング方面でキャリアを形成したいと思うようになり、現在ではリサーチエンジニアとして連合学習技術にフォーカスして開発を進めています。

事業部や顧客目線で技術を再設計

― リサーチエンジニアとして重要視していることは何でしょうか?

技術を事業移管する際に、後々活用しやすい形にして提示するということを重要視しています。研究所から出てきたものを事業部で受け取るとき、まだまだ移管がスムーズに行かないことが多いのも事実です。研究所からプログラムが出てきたけれど、事業部側で受け取ってみると読みづらくて何もわからず、仕方なくイチから作り直しになってしまうようなことも往々にしてあります。だからこそ、最初からプログラムをきちんと設計し、構造を綺麗にして、きちんと評価されたものを事業部へ渡すということは常に意識しているところです。

もちろん、コアなアルゴリズムは非常に難しい部分ですので、そこはブラックボックスでも構わないと思っています。ただ、その周辺部は使いやすいように自由にいじっていただければ、この技術は使えますよと提示する。そのように整えることこそがリサーチエンジニアの役割だと思っています。

これまで研究者としてもそれなりに長くやってきたので研究者が言っていることもわかりますし、エンジニアとしての勘所もわかります。互いの間に立つことによって、研究の事業への押し出しを少しでも加速していきたいと考えています。


― リサーチエンジニアに必要なスキルは何でしょうか?

大前提として、研究がきちんと理解できることは非常に重要です。特にNECの研究所では、一般的な技術を応用したものを扱う必要があります。自分の領域のベースとなる技術に習熟していなければ、リサーチエンジニアとして関わりつづけるのは難しいでしょう。私も国内学会の運営などに携わるなどして、有識者と議論をしたりする活動は現在もつづけています。

リサーチエンジニアの「遊撃部隊」へ

― これからの目標を教えてください。

まずは、現在取り組んでいる連合学習の技術を世に出したいと考えています。これが短期的な目標です。

あとは、これからのキャリアの在り方として、リサーチエンジニアの遊撃部隊のような存在になれたらと思っています。現在、研究所では一つのチームに1-2人のリサーチエンジニアがついているという体制になっていますが、研究所全体に横串を通して、エンジニアリングに困っているチームに入って、さまざまな技術を世に出していくような働き方ができたら理想ですね。研究所内で流動的にリサーチエンジニアが研究に関わっていけるような体制が構築できれば、他の研究メンバーにとっても大きなメリットになると思います。そのような組織が実現できれば、非常に嬉しいですね。

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