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学生のみなさんへ2023インタビュー:土井 隆暢
2023年1月25日
原子核物理学から無線通信のトップ研究者へ

アドバンストネットワーク研究所
リサーチャー
土井 隆暢(どい たかのぶ)
原子核物理学で修士課程を修了後、ネットワークの研究に携わりたいと考え2020年にNECへ入社。5Gの後継となる次世代無線通信6Gの実現に向けて、基地局機能の研究に取り組んでいる。
次世代無線通信技術6Gで、世界のトップレベルをめざす
私はいま、次世代通信技術である6Gの実現に向けて、無線通信を大容量化させる基地局機能の研究に取り組んでいます。より具体的に言うと、基地局側で受信する信号を高精度に分離するための研究です。
複数の無線端末が同時に信号を送信すれば通信容量を増やすことができるのですが、これでは基地局で受信する信号は複雑に混線した状態になってしまいます。この混在した信号を精度よく分けることが、大容量化のカギとなるのです。
現在NECでは6Gで世界をリードしようと、人員を増強しながら力を入れて取り組んでいます。アカデミアへの参加にも積極的で、チームでは少なくとも半年に一度は研究発表しようと論文投稿をつづけています。さらに、NECでは長く通信キャリア様とのお取引があります。アカデミアで話題になるような高度な技術をする追求だけでなく、お客様が本当に求める技術を実現するという視点から、実用的な技術を丁寧に構想しようとしているところです。私も学会・業界内でNECには土井がいると認知していただけるような研究者をめざして、研究をつづけています。
NECには幅広い研究領域がある

NECを志望した理由は、研究領域の多様さです。生体認証はもちろん、建設機械の自律運転をはじめとしたロボティクスもやっていますし、量子コンピュータもやっています。通信であれば私がいま取り組んでいる無線だけでなく有線もありますし、太平洋をつなぐような海底ケーブルにも取り組んでいます。
修士課程の終わりに何かもっと実社会に役立つモノをつくってみたいと考えたときに、このような多彩さをもつNECに魅力を感じました。もともと大学も幅広い領域で最先端の研究をやっている場所ということで選んでいたほどですから、自分の知らない領域や新しい技術に触れられるような環境が好きなのだと思います。
そういう意味では、いま取り組んでいる無線通信という研究テーマは自分の肌に合っていると思います。もともとは、いまや世界のベース技術となるまでに発達したインターネットに携わろうと志望した領域でしたが、通信はその性質上、さまざまな技術と結びついてアプリケーション化していくものです。NECの他の研究所に在籍するさまざまな分野の人たちと話をしながらプロジェクトを進めるのは、非常に楽しく、刺激的です。
専門分野と違う領域にも、気負わず飛び込む

私の学生時代の専攻は原子物理学です。修士課程でも原子核実験の研究室へ所属し、加速器を使って宇宙発生からどのようにして炭素が生成されたかを研究していました。そのため、現在の研究テーマはまったくの異分野です。しかし、先ほども述べたように新しい領域に触れることは好きなほうでしたし、問題なくキャッチアップできました。
たしかに専門用語や領域特有の技術については学び直しが必要でしたが、ベースとなるのは学生時代に専攻していた物理学であったため、勉強もしやすかったと感じています。
また、異分野で培った経験や視点も役立つものです。例えば私で言えば、データのシミュレーションの結果が出力された後、その要因を考察しようとするときに、一般的に無線の領域ではあまりされないデータの解析方法をすることができました。学会では、私の発表を大学の先生が「面白い見方をしていたね」と感心してくださったこともあります。異分野出身だからこそ貢献できることも、必ずあるはずです。
学生のみなさんにも、専攻と異なる分野でも興味のある領域があれば、ぜひチャレンジしていただければと思っています。身構える必要はありません。最初はどんな人も初めてなわけですし、たとえ周りに5年のアドバンテージがあって、自分だけがゼロで始まるとしても、5年たてば自分も5年の経験を得ることになります。その密度を上げていけばいいだけです。さらに、それまで研究で培ってきた独自のバックグラウンドを持っているわけですから、気負わずに飛び込みさえすれば、十分に活躍できると思っています。

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私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休日何してる?
位置情報を使ったスマホゲームにはまっていて、週末には3~4時間散歩することもあります。街の景色を眺めながら歩いていると、どのような場所でスマホを使う人が多く、どのような位置に基地局が配置されているかを体感できます。在宅勤務が多く、出社してもデスクワークが多いため、運動不足解消のためにも継続しようと思っています。最近はジムにも通い始めました。

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