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Transgene社とNEC、個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG4050の第I相臨床試験における新たな免疫学的データを米国がん免疫療法学会SITC2025にて発表

～CD8陽性T細胞応答を持続的に誘導するメカニズムを確認し、がん再発予防に寄与する可能性を支持～

2025年11月5日
Transgene SA
日本電気株式会社

  • 切除可能な頭頸部扁平上皮がんにおいて、TG4050が持続的な細胞障害性CD8陽性T細胞(以下 CD8陽性T細胞)応答を誘導することを示した新たなデータを、米国がん免疫療法学会SITC2025で発表します。
  • 具体的には、網羅的な免疫原性試験の解析結果から、TG4050がネオアンチゲン(注1)特異的ながん細胞を攻撃する能力を持つCD8陽性T細胞応答を、ワクチン投与完了後も長期にわたって誘導していることが確認されました。これはTG4050が単剤として標的がん細胞の除去を促進し、がん再発リスクを低減していることを示唆するものです。

がん治療向けウイルスベース免疫治療のデザインおよび開発を手掛けるバイオテクノロジー企業Transgene SA(トランスジーン、以下 Transgene社、注2)と日本電気株式会社(以下 NEC、注3)は、米国・メリーランド州で2025年11月5日(水)から9日(日)に開催される米国がん免疫療法学会(SITC：Society for Immunotherapy of Cancer)の2025年次総会において、個別化ネオアンチゲンがんワクチン「TG4050」の第I相臨床試験の追跡調査に関する新たな免疫学的データをポスター発表します。

今回発表するデータについて

これまでTransgene社とNECは、TG4050を投与した患者さんにおいてネオアンチゲンに特異的なCD8陽性 T細胞応答が認められることを示すデータを発表してきました。このT細胞応答は複数のネオアンチゲンに対して誘導され、治療開始から2年間にわたり免疫応答が持続することを確認しています。
今回発表するデータは、TG4050を投与した患者さんに認められたT細胞応答について、詳細を分析した免疫プロファイルの結果を示すものです。具体的には、TG4050単剤療法が持続的な抗腫瘍免疫反応を誘導するとともに、これを裏付けるCD8陽性T細胞応答の誘導が実証されたことから、以下の点が明らかになりました。

  • TG4050で誘導されたCD8陽性T細胞は、投与完了から1年後でもがん細胞を認識し攻撃するエフェクター型のT細胞バイオマーカー(注4)を保持していました。これにより、がん細胞に対して長期にわたり有効である可能性が示されました。
  • CD8陽性T細胞は、がん細胞への攻撃能力を示す細胞傷害性のバイオマーカーと、特定の細胞組織に長期間留まる能力を持つ組織常在性のバイオマーカーを高発現していることを確認しました。このことから、T細胞が血液中だけでなく細胞組織内にも存在し、がん細胞を探索して排除する能力を有することが考えられます。

本件に対する各者のコメント

このたび得られた新たな免疫学的データは、TG4050の作用機序について科学的根拠を示しており、またがん再発を長期にわたって予防するメカニズムの裏付けとなります。これは患者さんに長期的な治療ベネフィットがあることを示唆しています。

ギュスターブ・ルッシー研究所 腫瘍内科医兼主任研究者 Le Tourneau教授(MD, PhD)

今回、我々が選択したネオアンチゲンに対する、より詳細なCD8陽性T細胞応答の解析結果を発表できることを非常に誇りに思います。本臨床データは、ワクチンに用いたネオアンチゲンが効果的な免疫応答を誘導していることを示しています。TG4050は現在、第I/II相臨床試験の第II相パートで評価を行っています。2026年後半に、この第II相パートの初期的免疫原性データが得られる予定です。

Transgene社, Chief Medical Officer , Dr. Emmanuelle Dochy, MD

今回のデータは、NECのAIプラットフォームが個別化ネオアンチゲンがんワクチンの開発における大きなポテンシャルを持っていることを示しています。作用機序の解明や持続的な再発抑制の可能性を示唆するデータは、最先端のAI技術によるイノベーションを通じてがん治療を変革するという、私たちの取り組みの大きな成果です。

NEC 執行役 Corporate EVP兼CTO 西原基夫

なお、今回の発表に関する抄録はSITCとTransgene社のウェブサイトで公開されています。ポスター発表は現地時間の11月8日に行われ、同日中にSITCとTransgene社のウェブサイトに公開される予定です。

今回の発表に関する抄録

また本内容について、2025年11月15日午前0時(日本時間)より、英語による電話会議が予定されています。また、終了後にはTransgene社のウェブサイトにアーカイブが公開されます。詳細はこちらを参照ください。

以上

  • (注1)
    がん細胞の遺伝子変異によって新たに生じる「がん特異的な抗原(目印)」を指す。正常な細胞には存在せずがん細胞にのみ現れるため、免疫系が異物として認識し攻撃対象とすることができる。
  • (注2)
    本社：フランス・ストラスブール、CEO：Alessandro Riva
    Transgene社について：new windowhttps://www.transgene.fr/
  • (注3)
    本社：東京都港区、取締役 代表執行役社長 兼 CEO：森田隆之
  • (注4)
    バイオマーカーは病気の有無や進行度、治療薬の効果、体の状態などを客観的に評価するための生物学的指標のこと。エフェクター型のT細胞バイオマーカーとは、T細胞ががん細胞を攻撃する能力を発揮している、または発揮できる状態にあることを示す特定の分子を指す。
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