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NECとRed Hat、共同技術支援体制を強化し、エンタープライズ向け生成AIソリューションの拡大を推進

~安全・安心かつ柔軟なAI基盤の共創を通じ、ビジネスニーズに応じた多様なLLMの活用を支援~

2025年9月29日
日本電気株式会社
レッドハット株式会社

日本電気株式会社(以下、NEC)とRed Hat, Inc.(以下、Red Hat)は、2022年9月に発表した戦略的なグローバルアライアンス(注1)を基盤に、共同技術支援体制を強化し、エンタープライズ向けAIソリューションの拡大を推進します。
両社は、AI技術の進化と運用現場をつなぐ高度な実装力を備えた共創パートナーとして、持続可能かつ実用的な生成AIの導入を促進し、エンタープライズ領域におけるAI導入拡大とイノベーションの加速に貢献していきます。

近年、企業や自治体では、業務効率化やナレッジ活用、顧客対応の高度化など、さまざまな分野での生成AI活用に期待が高まっています。一方で、生成AIの導入に際しては、以下のような課題が挙げられます。

  • 利用目的に応じたLLM(Large Language Models、大規模言語モデル)の選定と環境構築の難しさ
  • セキュリティやガバナンス要件に対応した運用体制・環境の確立
  • コスト最適化と将来的なスケーラビリティの両立
  • 技術進化に合わせた定期的なアップデートとマルチベンダー、マルチクラウドへの対応

こうした課題の解決に向けて、NECとRed Hatはそれぞれの強みを補完し合いながら協業を進め、さまざまな業種・業態の組織が生成AIを安全・安心に活用できる社会基盤の構築を目指します。

本協業では、Red Hatがグローバルに展開するオープンソースベースのAIプラットフォーム技術と、NECの多様な業種における導入実績や実践的な知見、柔軟な提供形態を組み合わせ、商用・オープンソースを問わず多様なLLMに対応可能なAI共通基盤を共創します。これにより、特定のベンダーやクラウド環境に依存することなく、お客さまのニーズに応じたAI導入を柔軟かつ持続的に支援します。
最初の取り組みとして、現在NECが価値創造モデル「BluStellar (ブルーステラ)」(注2)のもとで提供するNEC開発の生成AI「cotomi(コトミ)」(注3)を、Red Hat Enterprise Linux AI(以下、RHEL AI)(注4)上で展開し、実用性と拡張性を備えた共通AI基盤の構築を進めていきます。なお、NECはすでにcotomiの動作環境としてRHEL AIを正式にサポートしています。

また、両社はvLLM、LLM Compressor、InstructLab(注5)などのオープンソースコミュニティ技術についても、技術進化とエンタープライズ領域への実装の橋渡し役として、共同検証や技術連携を継続していきます。NECは、これらの技術が実用段階に至った際に、商用利用に向けた技術支援・導入支援を提供できる体制の構築にも取り組んでいきます。

協業のポイント

柔軟性の高いAI基盤の構築

Red Hatの「Any Accelerator, Any Model, Any Platform」という思想に基づくプラットフォームは、特定のモデルやクラウドサービスに依存せず、商用・オープンソースを問わず多様なLLMを活用でき、幅広いAIワークロードに対応します。また、オープンソースコミュニティ技術への対応力も活かし、先進的な技術を実環境に取り入れることができる基盤を提供します。

cotomiを含む多様なLLMに対応

高い日本語性能を有するcotomiは、業界固有の文脈や専門性に応じた対応が可能なモデルの一つとして位置づけられています。他のLLMと組み合わせて、お客さまのニーズに応じた柔軟な選択・運用が可能です。

柔軟な提供形態によるセキュアな運用環境への対応

NECは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなど、お客さまの状況やポリシーに応じて、柔軟な形態でLLMを提供することが可能です。これにより、公共、金融、医療など、情報の秘匿性や法令順守が求められる領域においても、安全かつ安心してLLMを導入・活用することができます。

オープンソースコミュニティの成果を社会実装へとつなぐ取り組み

両社は、AI分野におけるオープンソースコミュニティの技術進化を重視し、vLLM、LLM Compressor、InstructLabなどの成果をエンタープライズ領域で展開・活用することで、AI導入のさらなる促進を図ります。Red Hatは、これらのOSSを商用環境でも安全かつ安心して利用できるよう、サポート体制や製品統合の整備を進めており、NECもこのような成果を活用し、業界ごとの実用化や導入支援に向けた取り組みを強化していきます。

なお、NECは10月8日(水)に赤坂インターシティコンファレンスで開催される「Red Hat Summit: Connect 2025 Tokyo」において、お客さまの業務変革を実現する生成AIおよびAIエージェントに関する講演、展示を行います。

今後の展開

両社は本協業を通じて、生成AIの本格的な活用を加速させるためのエンタープライズ向けAI基盤の標準モデル(リファレンスアーキテクチャ)を構築し、業界別の具体的なユースケースに対応したテンプレートの共創を推進します。これにより、さまざまな業種・業態の組織が生成AIを持続的かつ現実的に活用できる社会の実現を目指します。

サポートコメント

日本電気株式会社 Corporate SVP 山田昭雄
「NECとRed Hatは、エンタープライズ向け生成AIソリューションの取り組みを通じて、両社の強みを活かし、LLMをセキュアで柔軟に活用できる環境をお客様に提供していきます。これにより、経済性と安全性を両立させて、変化の激しいAI領域の技術の社会実装を素早く促進できると強く確信しています。」

Red Hat, Inc. 最高技術責任者(CTO)兼 グローバルエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント クリス・ライト
「お客様は、自社のビジネスニーズや既存の技術環境に最も適した形でAIを導入できる必要があります。そのためには、あらゆるモデル、あらゆるアクセラレーター、あらゆるクラウド環境で動作するAIシステムをサポートできる体制が求められます。Red Hatは、これがエンタープライズ領域でAIを広く活用していくために不可欠な要件であると強く確信しており、このハイブリッドクラウド環境におけるAIビジネスの実現に向け、NECとの連携をさらに深められることを嬉しく思います。」

以上

  • (注1)
    「NECとRed Hat,Inc. 、ITモダナイゼーションとデジタル・トランスフォーメーションをグローバルに推進するための協業を拡大」 new windowhttps://www.redhat.com/ja/about/press-releases/nec-and-redhat-expand-global-collaboration-to-drive-it-modernization-and-dx
  • (注2)

    「BluStellar(ブルーステラ)」は実績に裏打ちされた業種横断の先進的な知見と長年の開発・運用で研ぎ澄まされたNECの最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルの変革を実現し、社会課題とお客さまの経営課題を解決に導き、お客さまを未来へ導く価値創造モデルです。 https://jpn.nec.com/dx/index.html
  • (注3)

    「cotomi(コトミ)」はNECが開発した生成AIの名称です。ことばにより未来を示し、「こと」が「みのる」ようにという想いを込めており、生成AIを軸にお客さまと伴走するパートナーでありたいとNECは考えています。 https://jpn.nec.com/LLM/index.html
  • (注4)
    Red Hat Enterprise Linux AIは、最適化された推論機能のために大規模言語モデル (LLM) を開発、テスト、デプロイするための基盤モデルプラットフォームです。
  • (注5)
    • vLLM(Very Large Language Model):仮想大規模言語モデルの略で、new windowvLLM コミュニティによって維持管理されているLLMの高速推論を実現するオープンソースライブラリです。
    • LLM Compressor:さまざまな手法でLLMのデータサイズや計算負荷を効率良く圧縮・軽量化し、コスト削減やエッジ環境での利用を可能にするオープンソースツールです。
    • InstructLab:オープンソースのLLMをエンタープライズ用途向けにチューニングや拡張ができるフレームワークです。

本件に関するお客さまからのお問い合わせ先

NECへのお問い合わせは以下WEBサイトの「お問い合わせタブ」もしくは「お問い合わせボタン」からご連絡ください。
URL:https://jpn.nec.com/LLM/index.html

レッドハット株式会社へのお問い合わせ
URL:new windowhttps://www.redhat.com/ja/contact

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