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NEC、TNFDレポート第3版を発行
~AIを活用して自然資本リスク・機会の分析を強化、約2,000拠点のローカルリスク分析を実現~

2025年8月29日
日本電気株式会社
NECは、企業が自然環境に関する情報を適切に開示するための枠組みである「自然関連財務情報開示タスクフォース(The Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下TNFD)」の提言に沿った、自然資本に関わる事業リスクや機会をまとめた第3版レポートを発行しました。
本レポートを作成するにあたり、専門知識を有する人材の知見を形式知化し、生成AIやAgentic AIを活用することで、対象拠点の網羅性と分析の深度を大幅に向上させました。
具体的には、従来の汎用ツールでは把握が難しかった拠点ごとの水インフラに関するローカルリスクを分析し、自動で資料作成するとともに、詳細分析の対象拠点を約2,000拠点に拡大しました(注1)。これにより、事業拠点や関係者と実態に即した対話ができるようになりました。今後はさらに、バリューチェーンの上流とのエンゲージメントを深めていく予定です。
NEC TNFDレポート第3版
URL:https://jpn.nec.com/sustainability/ja/eco/pdf/NEC-tnfd-j.pdf
近年、グローバルにおける生物多様性・自然資本に関する情報開示の要請が急速に強まる一方、企業には専門的な知識と大きな作業負荷が求められています。NECは持続可能な社会の実現をPurposeに掲げ、この分野に積極的に取り組んでいます。
2023年7月に日本のIT業界初となるTNFDレポートを公開(注2)して以来、2024年6月にはTNFD最終提言v1.0を反映したTNFDレポート第2版(注3)の発行など、積極的な活動を展開してきました。またNECは、世界経済フォーラムにおけるITセクターガイダンス作成(注4)やTNFDのNDPF(Nature Data Public Facility、注5)などの活動に参加するなど、国際的な仕組みづくりにも貢献しています。これらの経験から得られた知見も、本レポートに織り込んでいます。
さらには、今回TNFDレポートでは生成AIやAgentic AIを活用しました。NEC自社を「クライアントゼロ(=ゼロ番目の顧客)」として、まず自らが先進テクノロジーを徹底的に使い、そのノウハウや知見を活かし顧客の課題解決に貢献していきます。情報開示の目的に留まらず、リスク最小化と機会最大化のためのツールとして活用しています。

第3版の概要
1.自然関連リスク評価の深化と拡張
- NECグループの事業場およびバリューチェーン上流の約2,000拠点に対し、専門機関との連携による水不足・洪水/高潮リスクの定量分析と、生成AIやAgentic AI活用による水関連ローカルリスク分析の実現
- 要注意地域に立地する拠点を訪問し、地域の関係者との対話(ランドスケープアプローチの実践)
- 生成AIを活用し、将来の自然シナリオが事業に与える影響の分析
- バリューチェーンの上流(素材・原材料・部品製造)の階層を整理し、今後の調査方針を検討
2.NECの強みを生かした機会の考え方を整理
- クライアントゼロとして、本レポート作成過程で開発した生成AIやAgentic AIを活用したサービスや、業務システムへの環境情報の織り込み
- NECのトラスト技術やマテリアルインフォマティクス技術などを活用し、他セクターとのパートナリングによって、環境課題解決の価値につながっている事業共創5テーマを紹介
今後の展開
今後、サプライチェーンリスクの深堀調査を2026年からの次期環境中期計画「エコ・アクションプラン」に組み込み、推進していきます。また、今回開発した生成AIの知見はサステナビリティ開示基準(SSBJ)対応や社外調査回答などにも応用していきます。
NECは、データドリブンな自然関連経営の実現に向け、NEC自らが様々な課題に率先して取り組み、実践を通じて得られた知見を価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ、注6)」のもと、コンサルティングなどのサービスを通じてお客さまや社会に貢献していきます。
以上
- (注1)従来、1拠点あたり約40時間を要していたローカルリスク評価を、Agentic AIを活用することで、約1時間で複数拠点を同時に評価することが可能になりました。Agentic AIの活用により、約2,000拠点分のローカルリスク評価にかかる時間は、従来方法と比較して約8万時間相当の効率化が見込まれます。
- (注2)NEC、国内IT業界で初めてとなるTNFDレポートを発行:https://jpn.nec.com/press/202307/20230710_02.html
- (注3)NEC、TNFDレポート第2版を発行:https://jpn.nec.com/press/202406/20240624_01.html
- (注4)Nature Positive Role of the Technology Sector:世界経済フォーラムが Oliver Wyman 社と共同で取りまとめており、ネイチャーポジティブ経済への移行のために各セクターが取り組むべきことをまとめています。NEC は世界のリーディング企業と共に IT セクターレポートを作成しています。
- (注5)
- (注6)
「BluStellar(ブルーステラ)」は実績に裏打ちされた業種横断の先進的な知見と長年の開発・運用で研ぎ澄まされたNECの最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルの変革を実現し、社会課題とお客様の経営課題を解決に導き、お客様を未来へ導く価値創造モデルです。
https://jpn.nec.com/dx/index.html
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC サプライチェーンサステナビリティ経営統括部
E-Mail:info@eco.jp.nec.com
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