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NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループ 柳生泰史、菊地克則、渡辺武司NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループ 柳生泰史、菊地克則、渡辺武司

NECの逆境から誕生したグローバルサプライチェーン改革のプロ集団

~匠の軌跡ストーリー 後編~【2026.01.21】

カテゴリ:DX・業務改革推進生産技術・製造その他

本シリーズの前編では、主に1990年代以降のNECが黒字倒産の危機に直面する中で進めたサプライチェーン改革について、NEC匠コンサルティンググループの柳生泰史がお話ししました。
そこで、この後編では、その改革から生まれた支援サービス『匠(たくみ)コンサル』および『NECものづくり人財育成プログラム』の経緯や歩みについて、引き続き柳生と同グループの渡辺武司および菊地克則がお話しします。

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループシニアマネージャー
柳生 泰史

2009年NECに入社。大手製造業向けアカウント営業を担当後、NECプラットフォームズ甲府工場にて生産管理およびサプライチェーン改革に従事。
2017年以降は、大手製造業向けのサプライチェーン改革支援を担当し、特にグローバルSC領域のプロジェクトを推進。

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループシニアマネージャー 柳生 泰史

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 
渡辺武司

1988年移動通信事業の生産基地である埼玉日本電気に入社。製造現場とサプライチェーン改革に従事。
工場で培ったノウハウを活かし2015年以降、製造業向けのサプライチェーン改革支援を担当。特に、現場での経験を踏まえた「ものの流れ」の最適化構築に強み。

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 渡辺武司

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 
菊地克則

1988年移動通信事業の生産拠点である埼玉日本電気に入社。製造現場とサプライチェーン改革に従事。
工場で培ったノウハウを活かし2017年以降、製造業向けのサプライチェーン改革支援を担当。特に、現場での経験を踏まえた「ものの流れ」の最適化構築に強み。

NEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 菊地克則

[目次]

トヨタ生産方式を学び、NEC流に進化させた改善の知恵

前編では、当時のNECが経営危機の中、“作れば売れる”から“売れた分だけを作る”体制への転換を迫られていた状況を取り上げました。NECは『トヨタ生産方式(TPS)』を基盤としたサプライチェーン改革を推進し、2000年からの2年間で棚卸回転日数を27%削減する成果を上げました。また、こうした改革で得られた知見をお客様にも提供し、サプライチェーン改革を支援する『匠コンサル』の取り組みに発展した点にも触れました。

TPSにおけるサプライチェーン改革は、『ものと情報の流れ図(VSM)』(Value Stream Mapping: 資材調達から製品を顧客に提供するまでの“モノと情報の流れ”を可視化・分析し、滞留が起きてしまう場所や要因を特定して業務改革を行う手法)を活用して自社のサプライチェーン改革の設計図を策定する事が最初のステップとなります。NECもVSMを取り入れ、自社流にアレンジを加えながら、各部門で集まってあるべき姿を共同検討する活動を進めてきました。
そうした中、営業からお客様のサプライチェーン改革の相談を受けたNECのメンバーは、お客様先でも最初のステップとしてVSMの作成を通して現状の課題やあるべき姿を策定する事をご提案しました。
「結果的にサプライチェーン上のモノの滞留は、どの製造業でも生じていて、共通の課題であったことがわかりました」と渡辺は言います。

取材中のNEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 渡辺武司の様子
匠コンサルティンググループプロフェッショナル 渡辺武司

「製造業におけるサプライチェーン・マネジメント(SCM)の主なプロセスは、“作る、運ぶ、構える”の三要素と言われてきました。この三要素はどんな業種・業態であっても当てはまります。したがって、過剰在庫を生み出してしまう要因も各社共通のパターンがあるということです」と菊地は補足します。

『匠(たくみ)コンサル』の幕開け

匠コンサルの成り立ちは、自社での改革の経験値を元にお客様のサプライチェーンに関するご相談を受ける中で、件数を重ねながら徐々に形成され、組織化してきたというのが実態に近いと柳生は言います。
NECのサプライチェーン改革に20年、30年と取り組んできたメンバーが培ったノウハウを基にお客様に寄り添いながら改革をサポートしてきました。
正直に言うと、当時、営業部門ではNEC自身に異業種のお客様の改革を支援できるだけの実力やノウハウはないだろうと考えられていました。しかし、ふたを開けてみると、匠コンサルのメンバーは、想定以上に多くのお客様にご評価頂く事になりました。ある高付加価値製品をつくるメーカーでは、当初3年の予定であった改革プロジェクトの達成目標を半年で成し遂げました。「こういった事例が出てきて、営業側の認識が一変しました。NECのノウハウはお客様にとって大きな価値がある、という事に気づいたわけです。そこから匠コンサルの活動に弾みがつきました」(柳生)

『匠コンサル』の躍進

匠コンサルは、まずはお客様の生産現場を訪問し、簡易的なVSMを作成して問題点をご指摘したりします。改革当時のNECの状況とお客様の状況は重なる点が多く、改革の裏側にあるNECのリアルな失敗した経験が、お客様の現状理解と共感を後押ししたと感じています。(渡辺)

取材中のNEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループプロフェッショナル 菊地克則の様子
匠コンサルティンググループプロフェッショナル 菊地克則

次にVSMを用いたセッションを実施します。前半は“As Is”として現状の問題点を抽出し、モノ、つまり付加価値をつくる正味の生産時間と付加価値を生まないムダな時間の割合を算出するなどしてお客様の実態を可視化します。後半では理想の状態に向けた“To Be”(改善策)をお客様と共に議論、検討するというものです。
「このセッションでは、お客様の資材調達や生産、物流、営業などSCMに関わる全部門の方が参加してVSMを作成します。これにより、様々な部門間の連携不足や制約事項が俯瞰的に明らかとなり、全社的な課題として“見える化”できるのです」と菊地は説明します。

こうして最終的にまとめた改革プランをお客様の担当者が経営層に提言し、改革プラン実行の意思決定をしていただきます。なお、プロジェクト開始のキックオフと中間報告にも経営層に参加していただくケースが多いです。
「経営層は、棚卸回転日数やキャッシュフローなどの数字で良い状況でないことは分かっていても、なぜそうなっているかという原因まで把握できていないケースが非常に多くあります。こうした状況を解きほぐし、お客様自身が気づいていない原因も共通認識を持たせることができるのがVSMの効用と言えます」と柳生は話します。
「匠コンサルの活動はVSMに加え、課題を定量的に裏付けるデータ分析の併用や海外拠点も含めたグローバルSCMをカバーするなどの進展をし、メンバーの人数も当初の2名から現在は20名程まで増えています。また、対象業種もNEC同様のディスクリート(組み立て)型の製造業から化学や食品などのプロセス型の製造業にも徐々に広がりを見せていきました。」と渡辺は言います。

取材中のNEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループシニアマネージャー 柳生 泰史の様子
匠コンサルティンググループシニアマネージャー 柳生 泰史

人財育成で切り拓く改革の未来

匠コンサルとして活動する中で日系企業共通の課題があることがわかってきました。それは多くの日系製造業は縦割りの企業風土が強く、個別最適/部門最適に陥りやすい傾向にあるということです。部門毎のスペシャリストによる個別最適が定着していることから、個々のオペレーションや人財のレベルは非常に高いにも関わらず、全社観点でのサプライチェーン改革が困難な環境にありました。このことから自社の置かれた状況を経営の観点で俯瞰し、サプライチェーン改革を強力に推進できる人財の育成が急務と考えたのです。(柳生)

こうしたことから匠コンサルとして改革に取り組むのとは違う方法で、この問題を解決する方法はないものかと検討する中、“人財育成”というキーワードが浮上します。
NECの匠コンサルのような改革の担い手を育成し、お客様の内部で自ら改革を実行していただくというコンセプトです。そこで、2022年に匠コンサルとコンサルティング統括部、サプライチェーン改革推進部門が集まり、新たなサービス企画の検討を開始しました。
「生産管理や生産技術、および経営企画といった部門の中堅クラス(幹部候補)の方を対象に検討は進められました。経営の観点から自社のSCMの問題点を捉え、その改革をいかに進めるかというロジックを身に着けるカリキュラムをチーム全員で練り上げていきました」(柳生)

カリキュラムの策定には、NEC自身の30年間の取り組みや、様々なお客様を支援する中で実践してきたノウハウとして既にあるものをそのまま利用したり、手直ししたり、新たに作るなどして組み上げました。

匠コンサルティンググループの柳生、渡辺、菊地の3名が取材を受けている様子

改革を継続する鍵『NECものづくり人財育成プログラム』の誕生

こうして知恵と経験を結集して誕生した『NECものづくり人財育成プログラム』の第1回目を2023年に実施しました。
「カリキュラムの前半で、NECの改革をベースにロジックを学んで頂き、後半では実践に向けてセッションの合間に自社のメンバーを巻き込みながらアクティブに自社の現状を調べ、As IsやTo Beを作成頂きました。実際に自社にSCMの専門組織がないことを問題点に挙げ、経営に提言したあるお客様がいました。その提言は実行され、提案者であるお客様は当該部門の責任者に就任されました。このプログラムはお客様の改革に役立つと確信できました」と柳生は強調します。

以降、毎年『NECものづくり人財育成プログラム』を開催し、お客様に応じて毎年プログラムを見直しています。中には3年連続で参加している企業もあります。
現在、“卒業生”による異業種交流会を組織し、各社のサプライチェーン改革を学び合える場づくりも検討中です。

「匠コンサルおよび『NECものづくり人財育成プログラム』が、日本の製造業の皆さまの経営改善と業績向上に一層お役に立てるよう努めてまいります。」と柳生は力を込めます。

取材中に匠コンサルティンググループの柳生、渡辺、菊地の3名が談笑している様子

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