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カーボンフットプリント対応で差をつける!NECが新サービスで可視化と運用を強力支援
『NEC CFP Management』をリリース【2025.08.20】
カテゴリ:品質・環境・物流PLM/CADSCM/MES/FSM
NECは、製造業を中心とした企業の製品カーボンフットプリント(以下、CFP)算定を支援する新サービス『NEC CFP Management』を2025年6月にリリースいたしました。本サービスは、初期アセスメントを起点とし、1製品でのPoC、そして多製品への本格展開や継続運用へと段階的に支援を拡張し、持続可能なサプライチェーンの実現に貢献するものです。
ここでは、本サービスの開発を担当したNECの廣光徹と甲斐綾乃が、開発の経緯や本サービスの特徴などについてお話しします。
[目次]
NEC GX事業開発統括部 プロフェッショナル 廣光 徹
NEC入社後、無線通信機の生産技術を中心としたものづくりに関する技術業務に従事。
2013年にNECの生産子会社に出向し、生産技術と生産管理を担当する執行役員を経て、2017年からグループ会社含め全社の環境経営責任者として環境推進部長を務め、現在、全社横断での環境関連ビジネス推進に従事。
NEC GX事業開発統括部 ソリューション開発グループ 甲斐 綾乃
2022年NEC入社後から現在まで、組織単位の環境情報管理ソリューション『GreenGlobeX』をはじめとした、
グリーントランスフォーメーション領域の製品企画・開発業務に従事。
『NEC CFP Management』のCFP算定ツール開発においては、プロダクトオーナーを担当。

甲斐 世界で異常気象による洪水や熱波被害などの災害が頻繁に発生していることからも分かるように、地球温暖化による環境影響への対策は一刻の猶予もない状況であると言えます。そこで、日本のSSBJ(サステナビリティ基準委員会:Sustainability Standards Board of Japan)やEUのCSRD(企業サステナビリティ報告指令:Corporate Sustainability Reporting Directive)といったサステナビリティ情報開示基準の策定をはじめ、EUの電池規則やエコデザイン規制など、企業の事業活動や製品・サービスに対する温室効果ガス(GHG)排出量、いわゆる「カーボンフットプリント(CFP)」の開示義務を伴う法規制がますます強化され始めています。

1.『NEC CFP Management』開発の経緯と狙い
しかしながら、製造業においては、まだ多くの完成品メーカーやそのサプライチェーンを構成する企業において、CFP算出に対応する体制構築がままならない状況にあると言えます。
そこで、NECではお客様の当該体制構築を支援するとともに、手順の標準化や第三者認証に耐える品質確保、CFP算定システムの構築・運用までを一貫してサポートする『NEC CFP Management』を開発いたしました。
本サービスは、CFP算定支援コンサルティング、CFP算定ツール(SaaS)、基幹システム連携(SI)で構成されています。
これによって、お客様のCFP情報開示実務の効率化や即時性向上、ひいては信頼性向上に貢献できると考えています。
2.「カーボンフットプリント」の企業経営における重要性
甲斐 前述のとおり、CFP開示に関する法規制がグローバルに強化される方向にある中、グローバルにビジネスを展開する企業においては法規制対応が必須となると言えます。EU諸国や日本国内でも、消費者に選ばれることを目的にGHG 排出削減レベルを製品に表示するといった動きがすでに始まっています。CFPに対応できなければ、現地企業との取引ができなくなったり、現地市場での競争力が著しく阻害され、淘汰されてしまうことにもなりかねません。
この影響は、グローバルビジネスを手掛ける完成品メーカーだけでなく、そのサプライチェーン全体に及ぶことになります。
逆にいえば、CFP対応を先行して行うことが、製品の付加価値向上や企業の競争力向上をもたらすとも言えるでしょう。
3.『NEC CFP Management』が企業に及ぼす効用
甲斐 『NEC CFP Management』は、NECが製造業として長年培ってきたCFPを含む製品環境配慮の活動ノウハウや、各種の環境ソリューションを様々な業種業態のお客様に導入してきたベンダーとしてのSI力をもとに構築しています。したがって、幅広いお客様に適用できるものと考えています。
対象とする企業としては、「これからCFPを始めるお客様」「すでに一度はCFP算定を行っていて、これから適用範囲の拡大や第三者検証を見据えた業務の標準化や定着を目指すお客様」「CFP算定業務は定常化していて、さらに業務の効率化や即時性向上を目指すお客様」といった、お客様の状況に応じたご支援にステップアップしていけます。
効用としては、例えば「これからCFPを始めるお客様」としては、何から手を付ければいいかが分からない状況においても、CFP算定に必要となるお客様の基本情報をCFP専門家がアセスメントし、CFP算定手順を高度化するための課題を顕在化させることで、その後の取り組みに繋げることができます。
4.『NEC CFP Management』の特長・強み
甲斐 NECでは、「クライアントゼロ」と呼ぶ、製造業やSIベンダーである自社を“0番目の顧客”として当該サービスをまずは社内で実践し、机上ではないリアルな課題を認識・抽出した上で、お客様に提供するソリューションサービスに反映するという方法を取っています。こうして現場で実践しやすく効果を高めやすいソリューションサービスにブラッシュアップしているのです。
『NEC CFP Management』も同様であり、前述のとおり長年の自社の事業として蓄積してきたノウハウを自社のCFP算出にも適用させながら、お客様へのソリューションサービスとして完成度を高めております。
これによって、“ゼロ”からのCFP算定業務の構築から、継続的な業務運用を実現するCFP算定システムの構築・導入まで一貫したご支援が行えるところが強みであると自負しています。

5.実際のPoCで見えてきた企業の課題とは

廣光 CFPに関しては、算定方法がまだ確立しているわけではなく、国内外でルールづくりの協議が行われている段階です。そうした中にあって、NECは電機電子業界はじめ様々な業種の100社強の企業が参加する「Green×Digitalコンソーシアム」の「見える化WG」の主査を2021年から務め、ルールメイキングに携わっています。
EUのフレームワークとも連携しながら、NECはこうして策定されたガイドラインをベースに、実際の製品や生産における算出を行った上で課題を抽出すべく社内実証を行っています。その結果、大きく図のような次の4つのポイントを整理しています。

NECは、自らがこうした課題に直面し、PDCAを繰り返しながら対象を拡大してきた経緯があります。
なお、このPDCAは現在でも続けており、少しずつ完成度が高められている状況にあります。この経験やノウハウが、お客様のCFP導入成功に役立つものと考えています。
6.『NEC CFP Management』導入・運営におけるポイント
廣光 データの保有状況は各社ごとに異なる上、同じ社内でも製品事業ごとに異なる場合が多々あります。そこで、初期アセスメントにおいては、まずは現状を把握した上で適切な対応策を立案することが重要であり、その上で現実的に少しずつ精度向上や対象領域の拡大に取り組むことが大切ではないかと思っています。

なお、CFP算定においては、自社製造領域だけではなく、サプライチェーンの上流であるサプライヤーから対象製品のCO2排出に関するデータを入手する必要があります。しかしながら全てのサプライヤーから対象製品のCO2排出量(1次データ)を入手するのは困難なため、業界平均値などの2次データを活用することが現実的です。その場合、1次データと2次データのハイブリット計算が必要となり、それを効率的に算出する対応も進めています。NECでは、こうした自社での工夫も、お客様の参考にして頂けると考えています。
7.今後のビジョンと企業へのメッセージ
廣光 まだCFPに対応していない企業の中には、何をすればいいか、どれだけ工数がかかるのかがよくわからず、“最初の一歩”に躊躇されるところもあるかもしれません。そんなお客様には、まずはやってみて、その上でPDCAを回しながら徐々に精度を上げていく、対象範囲を拡大していく、といったプロアクティブな姿勢が大事ではないかとお伝えしたいと思います。冒頭で触れたとおり、CFP算定が自社の将来を左右する大きな要因になる情勢にあるからです。今はまだ法規制が及んでいない領域でも今後及ぶことが十分考えられ、早いうちに体制を整えておくことが競争力をもたらすと考えられるからです。

今後のビジョンとしては、NECは製造業としてCFP算定を単なるCO2排出量の可視化だけでなく、エネルギー削減によるコストダウンや生産効率改善による生産性の向上で製品の競争力向上に繋げ、そのノウハウはサービスにも組み込んでいきたいと考えています。
また、SIベンダーとしては、お客様の困り事を“クライアントゼロ”を通じて解決するサービスづくりに取り組み、お客様と共にカーボンニュートラルを実現していきたいと思っています。
甲斐 そのためにも、廣光がお話しした、実際のPoCで見えてきた4つの課題に取り組み、対応策のシステム化や支援メニューに即座に反映させ、お客様の真の課題解決に繋げていきたいと考えています。
そして、お客様とともにサステナブルな社会を実現させていきたいですね。

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