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カーボンニュートラルの動向とNECの取り組み

自動車部品業界の大変革に備える一歩①【2022.04.13】

カテゴリ:品質・環境・物流その他

2021年の11月に開催されたCOP26が閉幕し、「2050年カーボンニュートラル」の実現へ向けて世界が加速しています。日本企業も世界の投資家から気候変動対策を求められており、その取り組みが注目されています。本セミナーでは、カーボンニュートラル時代に果たす企業の役割とNECの取り組みについて、長年自動車メーカーの環境部門に在籍していた経験を持つ岡野がご紹介いたしました。

講師:NEC サステナビリティ推進本部 マネージャー 岡野 豊

1.カーボンニュートラルの動向

世界のカーボンニュートラルへの動きは、2021年のCOP26で世界の気温上昇を1.5度以下に抑えることが合意されたことで急速に活発化しました。これはすなわち2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを意味します。
もう一つの大きな兆候は、これまでは自社が排出するScope1のCO2排出量と他社から供給された電気、熱、蒸気を使用したことによるScope2の間接排出量のみが対象だったのですが、現在はサプライチェーンの上流と下流も含めたScope3のサプライチェーン全体のCO2排出削減が求められているということです。

自動車業界では、自動車メーカーのScope3とは、その自動車部品メーカーのScope1、Scope2にあたります。そのため、自動車メーカーがScope3のCO2排出量の削減を行うためには、部品メーカーに電気や燃料の使用量を削減する要請を行うことになります。

そしてサプライチェーン全体のCO2排出量のうち、ほとんどの業界で全体の大半を占めるのがScope3の排出量です。例えば、NECのサプライチェーン全体のCO2排出量のうち、53%が仕入先の工場から出るCO2になっており、自社の5%と比較すると10倍以上が仕入先の工場から排出されているということになります。

世界のCO2削減に関する兆候

2021年5月にオランダのハーグ地裁はNGOの訴えを認め、石油大手会社のシェル社に対してScope3も含めた削減目標を持つべきという判決が下され世界に衝撃を与えました。そして日本においても、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が東証プライムの条件となり、Scope3までの開示が必要になってきています。
さらに、昨今「移行計画」というキーワードが出てきました。移行計画は、目標を設定するだけではなく削減計画の開示も求められることを意味し、自動車メーカーにもサプライチェーン全体のCO2削減計画を開示するようにというプレッシャーを与えています。

そのような状況を受け、近年企業目標のグローバルスタンダードであるSBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出を削減するための目標)の認定取得企業が急増しています。SBTは企業ごとに基準年を設定し、目標年までに気温上昇を抑えられるような取り組みを行うというもので、認定を受けることで社会的なイメージや投資家からの評価が上がるといったメリットがあります。
ただ、気温上昇抑制を1.5度レベルに設定すると、以下の表にあるように実は毎年のCO2削減率は4.2%、6%、8%というように徐々に上がっていく点は注意が必要です。

日本の自動車メーカーの動向

自動車業界ではSBTの認定を受けている企業は、今のところ日産自動車のみと他業界に比べ遅れているというのが現状です。一方で海外では、多くの自動車メーカーがすでにSBTの認定を取得し、これから取引先にも広がっていくといった状況になっています。

そのため、企業様には自社の必要削減量を算出して備えることをお勧めしています。
SBTは「Target Setting tool」というCO2の削減量を算出するツールを無料で提供しており、これを使用することで年間CO2削減量を年度ごとに算出ことができます。将来の事業リスクやコストを計算して経営陣に説明することをお勧めしています。

2.NECの取り組み

NECは「地球と共生して未来を守る」という環境を土台とした2030年ビジョンを掲げています。2021年度の新たなコミットメントでは、国内外の拠点で消費する電力を2050年までに100%再生可能エネルギーとすることを目指すRE100に加盟し、サプライチェーン全体の温室効果ガス実質ゼロ化を目指すという宣言をしました。また、実質ゼロ化を着実に進めるために、2030年までにScope1、2を55%削減、Scope3を33%削減するという中間目標も設定しました。

まず自社のCO2の削減ですが、2023年度までに太陽光発電を国内各所にて導入予定です。また、2022年度より本社ビルとNEC Cloud IaaSデータセンターで再生可能エネルギー100%を達成予定です。

サプライチェーンにおけるCO2排出量削減に向けた取り組みとして、NECでは調達先パートナーにCO2削減の要請を出すと同時に、取り組み方法を共有する活動を行っています。こうした活動が評価され、NECはCDP(イギリスで設立された国際的な環境NGO団体)より3年連続でAリストを受賞しています。

NECの脱炭素ソリューションとは?

NECは独自のICT技術で自動車業界をはじめとする様々な企業の脱炭素のサポートをしたいという想いがあります。
NECはCO2の見える化から、業務効率、業務変革、再生エネルギー活用に至るまでの様々な脱炭素ソリューションを提供することができます。

まず、CO2の見える化に関しては環境パフォーマンス管理ソリューション「GreenGlobeX」があります。

エネルギー管理では分散したエネルギーリソースを統合制御し、調整力を創出する「リソースアグリゲーションサービス」を提供しており、2021年に開設された需給調整市場を通じて、企業が保有する分散電源(DER)の効率的な運用をご支援しています。

また、NECファシリティーズが提供する「省エネルギーソリューション」では、工場診断を行い工場全体の設備のムダ、ムラ、ムリを探し、プロの視点からお客様施設の省エネルギーを進めるための様々なソリューションを提供いたします。

さらに、ABeamコンサルティング社の「RPAエネルギーマネージメント」では、特にビル設備の省エネを進めると同時に、それらを管理する人の工数を軽減するというソリューションを提供しています。

これ以外にも様々な環境ソリューションをNECは準備しています。NECの環境ソリューションを是非ご確認ください。

最後にNECはJEITA(電子情報技術産業協会)の「見える化」ワーキンググループにおいて、サプライチェーン全体でのCO2の見える化のルール作りを行っています。将来的にはサプライチェーンを通してデータが共有され、社会全体が最適化されるようになると思っています。NECはそのような社会の実現に向けてこれからも全力で取り組んでまいります。

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