NEC Industrial IoT Platform 導入事例日本電子株式会社様

ヒト作業の見える化で生産リードタイムを最大50%削減
データ基盤が拓く、AI-Readyなスマートファクトリーへの道

業種:
  • 製造・プロセス
業務:
  • 設計・開発・製造
  • 生産管理
製品:
  • ソフトウェア/情報管理
ソリューション・サービス:
  • IoT

事例の概要

課題背景

  • “熟練の技”に支えられ、ヒト依存の作業プロセスが多い
  • 多品種少量生産で、量産品に比べて生産リードタイムが長い
  • ものづくりDXによるスマートファクトリー化を推進したい

成果

ヒトの作業をデータで見える化

工程ごとの作業着手から完了までの実作業時間を、NIPの5Mデータモデルに基づき自動集計。製品・工程が異なっても同一フォーマットで記録する仕組みにより、現場の作業員に負担をかけず、ヒトの作業をデータで見える化した

生産リードタイムを最大50%削減

収集したデータをNIPで分析。KPIの俯瞰から停止ロス・性能ロスへのドリルダウンという段階的な分析シナリオ「ものづくりDX改善ガイド」を活用することで、作業のボトルネックやスキル差による作業時間のバラつきを体系的に特定・改善し、大幅な生産性向上を実現した

スマートファクトリー化を加速

調達、在庫、物流を含むサプライチェーンの見える化を実現。AIによるデータの分析と推論を進め、生産リードタイムのさらなる短縮とサプライチェーン全体の改革を目指す

導入ソリューション

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スマートファクトリー化を支えるシステム構成

ヒト・モノ・設備のデータ、業務システムに集まるサプライチェーンのデータなどをNIPに集約して見える化・分析を実施。「ものづくりDX改善ガイド」を活用して現場の作業プロセスを改善した。今後はAIを活用し、サプライチェーン全体にわたる業務の自動化を目指す

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事例の詳細

導入前の背景や課題

日本電子株式会社
生産部門 製品技術本部
副本部長 兼 製品技術部長
佐藤 一仁氏

“熟練の技”を見える化し、ヒト依存の作業を標準化したい

世界トップシェアを誇る電子顕微鏡をはじめとする理科学計測機器、分析機器、半導体関連機器などを開発・製造・販売する日本電子様。高度な技術に基づく精密なハイエンド機器をグローバルに提供しています。

「当社の製品は学術・研究機関用が多く、年間製造台数は100台に満たないものが少なくありません。加えて1つの製品に要する部品点数は数万点ある上、最終的にナノレベルの調整が求められるため、完成までに数カ月から半年、長いもので1年程度かかります」と説明するのは、日本電子の佐藤 一仁氏です。

日本電子株式会社
生産部門 製品技術本部 製品技術部
Scanning系生産DX推進グループ
グループ長
鈴木 豊氏

さらに近年は顧客ニーズが高度化・多様化しています。「生産ラインを増設するなど増産体制を進めていますが、数カ月以上かかる生産リードタイムの見直しに踏み込み、ものづくりDXによるスマートファクトリー化を目指しています」(佐藤氏)。

ものづくりDXは設備やモノのデータをもとに改善を図る形が多いですが、同社の場合は事情が少し異なります。精密な機器の組み立てや調整には熟練の技能が不可欠で、生産工程の中でヒトに依存する作業が多いからです。

作業手順などのマニュアルは整備していますが、工程によっては熟練者と初級者の作業時間が倍以上違うこともあります。「だからこそ、作業プロセスをデータによって見える化し、ボトルネックの改善と作業の標準化を進めたかったのです」と同社の鈴木 豊氏は狙いを語ります。

この取り組みは以前から進めており、作業時間はExcelや紙に集計していました。「しかし、製品や工程ごとに集計の仕方やまとめ方が異なり、データの粒度も精度もバラバラでした」と同社の丹羽 真一氏は打ち明けます。

ヒトの作業状況を工程や作業項目といった細かい粒度で把握し、スキル差による作業時間のバラつきや作業停止の要因をデータで見える化する――。プロセス改革には、そうした仕組みが不可欠でした。

選択のポイント

日本電子株式会社
生産部門 製品技術本部 製品技術部
EM生産DX推進グループ
グループ長
丹羽 真一氏

ものづくりDXの知見と、データを価値に変えるNIPを評価

新たな仕組みを構築するパートナーとして、同社が選定したのがNECです。その理由を佐藤氏は次のように述べます。

「ヒトの作業をデータで見える化したいが、どうすればそれが可能なのかわからない。複数のベンダーから提案を受けましたが、NECの提案が最も具体的でした。短いスパンで早く成果を出せるという明確なイメージを持つことができました」。

収集したデータを価値に変えるソリューションも高く評価しています。それが、ものづくりDX基盤「NEC Industrial IoT Platform」(以下、NIP)です。工場内の設備やヒトのデータに加え、サプライチェーン上のデータも集約し、見える化・分析を行う基盤です。

検討段階ではNECの工場を視察しました。「NIPが現場でどのように活用されているかが確認できました。その現場知や改善ノウハウをもとに、当社のものづくりDXへの伴走支援を期待しました」と佐藤氏は述べます。

同社とNECが共同で策定した、ものづくりDXのロードマップ概要は以下の通りです。

  • フェーズ1:NECの伴走支援によるPoCを通じ、現場の課題を抽出する
  • フェーズ2:生産ラインのヒト作業をデータ化し、NIPを導入
  • フェーズ3:NIPによるデータの分析結果をもとに現場の作業プロセスを改善
  • フェーズ4:ERPと連携し、サプライチェーンを見える化する
中でも工夫したのが、フェーズ2の取り組みです。作業者に負担をかけず、いかにしてヒトの作業データを取得するか。そこで作業映像を記録したり、設備機器と連動して自動でデータを集計する仕組みを内製開発しました。「データの持ち方や粒度はNECのノウハウをもとにフォーマット化することで、製品や工程が違ってもバラつきなく同じ粒度・精度でデータを記録できるようになりました」と丹羽氏は語ります。

この仕組みを昭島工場と山形工場に実装。透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡の計4機種を対象に、その組み立ておよび調整工程の作業プロセス改善に取り組みました。

導入後の成果

現場の課題を改善し、生産リードタイムを最大50%削減

データを分析することで、作業のボトルネック要因や、スキル差による作業時間のバラつき原因などが見えてきました。例えば、組み立て工程だけでも全部で300~400工程あり、ベテランは作業の着手順を自分なりに工夫して効率を上げていたのです。作業の滞留と一口に言っても、そもそも部材が欠品したり、設備停止、顧客の要望変更などの要因があることもわかりました。そこで改善できるものは標準化し、全社的な観点から改善を進めていきました。

「その結果、組み立ておよび調整工程の作業時間を年間で1万9000時間削減し、生産リードタイムを最大50%削減することができました」と佐藤氏は手応えを示します。生産台数は増台しつつ、作業員の残業時間は削減されており、現場の生産性も大幅に向上しています。

今回の取り組みを振り返り、佐藤氏は「NECの知見とサポートのおかげで、属人化しがちなヒトの作業データと生産プロセスをひも付け、課題を明確化できました」と成功のポイントを語ります。

取得したデータは内製開発したダッシュボードで見える化しました。「よりわかりやすい見せ方にする画面構成のほか、データの見方や活用方法など教育面でのNECのサポートにも感謝しています」(鈴木氏)。

以前は工程ごとの作業時間を感覚でしか把握できず、「どこに時間がかかっているか」を示す根拠がありませんでした。今では調整工程の作業着手・完了が自動で記録され、340項目にのぼる作業の順序や所要時間がデータとして蓄積されます。「調整工程1つとっても400~500時間、基準が数百個ある。データを取ることで徐々に組み替えられるようになってきました」と丹羽氏は語ります。

現在はフェーズ4まで完了し、調達、在庫、物流を含むサプライチェーンの見える化を実現しています。この取り組みではNECのものづくりに携わった経験を持つ“匠(たくみ)”人材が現場で伴走し、課題の抽出・整理を支援しました。

「生産リードタイムのさらなる短縮を図るには、サプライチェーン全体の改革が必要です。その見える化ができたことで、お客様からのリードタイム短縮要請に応えるための準備が整いました」と佐藤氏は現状を評価します。

今後はサプライチェーンのデータをもとに、組み立ての前工程である機械加工工程のプロセス改善に取り組む計画です。

「NIPの導入によって良質なデータの蓄積が進んだことで、AI活用に向けた基盤(AI-Ready)は気付けば整っていました。今後はデータの分析や推論にAIを活用し、新たな課題発見や改善施策に役立てたい」と佐藤氏はこの先を見据えます。

精密なものづくりを支えるヒトの作業プロセス改善を実現した日本電子様。今回の成功を1つのステップとして、データドリブンなものづくりDXとスマートファクトリー化をさらに加速していく構えです。

NEC担当スタッフの声

NEC
製造システム統括部
主任
田村 優樹

データの力でヒトの作業改善を支援します

提案前に日本電子様の工場を見学させていただいたのですが、精密な電子光学機器を製造する生産ラインは想像以上に工程が多く、製品の調整作業も難易度が高く、リードタイムも長い。多くの工場を見ていますが、最初はそのことに驚きました。ものづくりの仕方や特徴などの理解を深め、システム要件を掴んでいきました。

どこにボトルネックがあるか。課題を明確にするためには、現場から“信頼できるデータ”を取得し、事実を積み上げることが重要です。作業員がいつ作業に着手し、いつ完了したのか。実作業時間をどう取るかという定義と仕組み化は日本電子様と共に考えていきました。

私自身、NIPの開発や導入支援に携わった経験があるので、その経験を活かし、データの持ち方や適切な粒度を提案しました。これが改善しやすいモデルづくりにつながったのではないかと思います。

ものづくりDXは設備やモノのデータを分析するケースが多く、今回のようにヒトの作業データをもとに改善を図るケースは少ないです。それだけに今回のプロジェクトは多くの学びを得ることができました。

この学びを糧に、日本電子様のスマートファクトリー化を引き続き支援するとともに、日本の製造業のものづくりDXに幅広く貢献していきます。

お客様プロフィール

日本電子株式会社

所在地 東京都昭島市武蔵野3丁目1番2号
設立 1949年5月30日
資本金 213億9,418万円(2026年3月末現在)
売上高 1,793億5,300万円(同上)
従業員数(連結) 3,731人(同上)
事業内容 理科学計測機器(電子光学機器・分析機器、計測検査機器)、半導体関連機器、産業機器の製造・販売・開発研究。近年は半導体分野やライフサイエンス分野の製品開発に力を入れている。共創によるイノベーションを推進するキーワード「YOKOGUSHI」を掲げ、創造と開発をもとに科学の進歩と社会の発展に貢献する。
URL new windowhttps://www.jeol.co.jp/

日本電子株式会社様

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(2026年10月27日)

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