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ものづくり研究グループ 「Industrial IoTセミナー」レポート

ものづくり研究グループが主催する「Industrial IoTセミナー」が、2016年10月4日(火)NEC本社ビルで開かれました。
製造分野を中心にお客様の会員約70名が参加し、講演会や懇親会などを通じて、次世代のものづくりにおけるIoT技術の活用に関する、最先端の熱い情報交換の場となりました。

IoT技術を活用した次世代のものづくり最前線を、多彩な角度からご紹介

今回は、「IoT技術を活用した次世代のものづくりを実現」をテーマに、製造現場の最前線で実際にIoT技術を活用されているお客様による講演と、NECからの最新情報をお届けいたしました。

駆動系部品のリーディングカンパニーである、株式会社エクセディ様からは、生産技術本部 EXPRESSチーム チーム長の三浦良太氏より、「グローバル生産拠点の見える化」をテーマに、三菱電機株式会社様からは、FAシステム事業本部 e-F@ctory戦略プロジェクトグループ技術グループ 主席技師長の吉本康浩氏から、「e-F@ctoryが描くものづくりの将来像」についてお話いただきました。

NECからは「NEC Industrial IoT」を中心に、IoT導入のコンサルティングサービスや、IoT基盤を構成する製品群の概要と構築手法、IoTに関するAI技術の最新動向などをご紹介しました。また、ものづくり共創プログラム事務局からは、ものづくり研究グループによる今後の活動予定についてご報告しました。

講演会につづいて開催された情報交換会(懇親会)には、ほとんどの会員のみなさまが出席され、講演内容についての質疑応答や、IoT技術の活用をめぐる多彩な意見交換が行われました。

「NEC Industrial IoT」のご紹介 (NEC講演)

ものづくりにおけるIoT導入シナリオ策定のポイント

近年、設備や人、モノ、工法、いわゆる4M*に関する情報を集めてそれら相互に作用させ、さらにはAI技術も組合せるなどして新しい付加価値を生み出す「ものづくり領域でのIoT活用」がクローズアップされています。

*4M : Man(人),Machine(設備),Material(モノ),Method(工法)
IoTが生む付加価値は、下記4つと考えています。

  1. 情報収集のコスト減による収集範囲の拡大とリアルタイム化(収集)
  2. サンプリングデータだけでは見えなかったものが見えるようになり、正確性が向上すること(分析)
  3. 改善スピードの高速化やこれまで見えなかった改善が可能にすること(自働化/制御)
  4. 改善内容を体系化し、グローバルな横展開を通じて高度なモノづくりを実現するということ(標準化)

すなわち、これらの付加価値によりものづくりをスパイラル的に高度化していくのが、私どものIoTに関する考え方です。

NECのIoT適用コンサルティングは、IoTを活用して新たな価値を生み、事業を発展させるシナリオづくりをお手伝いするサービスです。

上述のIoTを活用した改善の一連の流れの中では「製造現場はKPIを意識した改善活動を行っているか?」または「どのようなKPIを考えればいいのか?」という課題があります。また、その中ではPDCAで仮説検証を繰り返し、より深いKPIを考えるシナリオづくりが不可欠です。このシナリオづくりに関して、悩まれているお客様がたいへん多いことから、IoT適用コンサルティングで見える化し、PDCAサイクル確立のお手伝いをしています。

さらにIoT活用においては、グローバルでの工場間や、設計から生産管理までのプロセス、製造資源の4M、高速なPDCAなどをつなげることも必要です。従来は数値や文字の情報だったのに対し、画像や映像、音声情報なども用いる必要があるかもしれません。

また、システムだけでなくプロセス自体も変えなければなりません。基幹システムばかりでなく、PLM/MESや製造ラインごとに変えていく必要もあります。その数は級数的に多く、改革する範囲は広く、収集する情報も膨大で、革新に要する時間も長期化すると思われます。

したがって、あらかじめ明快なシナリオを考えておかないと、うまく回転しないというのが私どもの考え方です。ものづくり企業として、業務やシステムをどのように変えていくのかを、最初に考えておかなければならないと思います。

NECのIoT適用コンサルティングは、NECの社内実績から裏付けられた豊富な知見をもとに、IoT活用による高度なものづくりの実現へ向けた、経営承認を得る前のいちばん初めの入口サービスであり、私どもものづくり企業の一員として、お客様と課題を深く共有しながら、高速かつ継続的な改善へ取り組んでいきたいと考えています。

Industrial IoTソリューション

製造・装置業システム開発本部 ソリューション戦略推進部 部長 金村 仁美

「NEC Industrial IoT」は、IoTを活用して製造現場と経営をつなぐのはもちろん、お客様が製品を使っている現場と製造業とをつなぎ、ものづくりの高度化を実現するソリューションです。生産プロセスをサポートする「つながる工場」と、製品のスマート化を通じて付加価値を向上させる「つながる製品」という2つの軸で提供しています。

ソリューションの階層は、現場の情報をデジタル化する「IoT Connectivity」、データを集めて上位へつなぎ蓄積・分析などを行うIoT基盤「ものづくりIoTキット」、データの高度活用を実現する「ものづくり見える化」と「製品見える化」、さらに基幹システムやAI技術群との連携などで構成されます。

「NEC Industrial IoT」の特長には、次の4点が挙げられます。

  1. 実際に自社工場で効果検証を行っており、蓄積した知見やノウハウを具体的に提供可能
  2. 最先端AI技術群「NEC the WISE」を適用し、より複雑で高度な課題を解決
  3. 現場デバイス層からクラウドまで5階層の技術や基盤、その間のネットワークまでサポート
  4. IoT導入の企画から運用まで、全ライフサイクルに渡るEnd to Endのサービスを提供

このように、IoT技術の全領域に渡り一貫してサポートできるベンダーは、世界的に見てもそれほど多くはないと自負しております。

IoT導入により、どのような効果を創出していくのかに悩まれているお客様が多い中、NECはクイックにデータ収集・見える化・分析環境を構築する「ものづくりIoTスターターキット」を提供しています。これにより、効果を検証しながらステップアップでIoT化を進めることができます。

また、AI製品群では認識技術と分析技術、その結果を判断して制御する技術の3分野に取り組んでいます。

そのひとつである「RAPID機械学習」は、機械学習の中でもディープラーニングと呼ばれている技術をエンジンとするソフトウェア製品です。通常の機械学習はデータから特徴を抽出する際にデータサイエンティストが介在するのに対し、ディープラーニングはデータから特徴を自動で抽出して判断モデルを生成し、専門家がいなくてもより高度な判断が可能となります。
NECでは、お客様と共同で製品の外観検査や設備異常を検知する予知保全などへの適用検討を始めています。

本日は「NEC Industrial IoT」の一部しかご紹介できませんが、製造業のものづくり高度化に貢献するIoTソリューションに鋭意取り組んでまいりますので、ぜひご検討いただければと思います。

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