官公庁や自治体でのDX推進が加速するなか、AWSクラウド活用への注目はますます高まっています。NECはガバメントクラウドにおいて豊富なAWS活用経験を有し、優秀な技術者による先進的な事例を多数生み出しています。
今回は2025 Japan AWS Top Engineers(Service)に認定されたNEC鈴木が、Top Engineerにいたるまでにおこなった意欲的な取り組みや、技術者育成の裏側について語ります。クラウド導入による課題解決やモダン化推進のヒントとして、ぜひご一読ください。

AWS Top Engineersは、AWS Partner Network (APN) に参加する企業に所属するエンジニアの中から、特定のAWS認定資格を保持し、技術力を発揮した活動や成果がある人物をAWS Japanが選出する日本独自の表彰プログラムです。この表彰は、技術力だけでなく、社内外での登壇・資格取得推進・プロジェクト支援などの総合的な貢献が重視されます。

new window2025 Japan AWS Top Engineers の発表 | AWS JAPAN APN ブログ

鈴木 竜一

NEC 官公ソリューション事業部門
官公インテグレーション統括部
第四営業グループ
主任
2025 Japan AWS Top Engineers(Service)

───この度は2025 Japan AWS Top Engineersの受賞おめでとうございます。受賞された感想を教えてください。

鈴木:ありがとうございます。この度の受賞はとても光栄と思っております。
私自身、2025 Japan AWS Top Engineersを目標に活動していたわけではありませんが、AWS Summit 2024やJ-LISフェア2024での登壇、社内での技術者育成、そして日々のサービス開発の取り組みが評価されたのではないかと感じています。
今回の選出は、チーム全体での成果であり、皆で喜びを分かち合っています。
こうした日々の技術活動を積み重ねることができたのも、多くの方々の支えがあってこそだと、改めて実感しています。

インタビュー時の様子

───これまでの経歴と現在の担当業務について教えてください。

鈴木:私は2023年10月にNECへキャリア入社しました。前職では、エンタープライズ向けWebシステムのインフラ基盤の構築・運用を担当しており、その中で培ったAWSの知識をより広い分野で活用したいと考えるようになりました。そんな折、NECにAWSのスキルを活かせる部署があると知り、転職活動を経て入社に至りました。

現在は、官公庁領域におけるAWSクラウドのシステム構築を主業務とし、ガバメントクラウド運用支援サービスの開発にも携わっています。また、官公庁向けクラウドに特化したCoE(Center of Excellence)として、各プロジェクトへの案件支援、アーキテクチャ設計支援、提案支援などの技術支援も行っています。私はこれを「GCCoE(Government Cloud Center of Excellence)」と名付け、エンタープライズ領域での知見を活かしながら、官公庁特有の要件に対応したソリューションの提供に取り組んでいます。

───受賞に繋がった具体的な取り組みについて、教えてください。

鈴木:AWS Top Engineersに応募した際、提出した内容に対するフィードバックはまだ頂いていないため、今回の受賞に直接つながったかどうかは定かではありません。ただ、主に以下の3つの活動をアピールしました。

まず、パブリックコントリビューションとして、AWS Summit 2024およびJ-LISフェア2024で2回の外部登壇を行いました。
ガバメントクラウド活用ソリューションの発表では、CDKを活用した効率的なガバナンス体制の構築に加え、従来2週間かかっていた環境構築をわずか2日間に短縮した事例を紹介しました。
この取り組みに対して、多くの自治体関係者から「移行障壁を大幅に下げる革新的なアプローチ」との高い評価をいただいています。

次に、社内技術者育成への取り組みです。
AWS認定資格取得推進セミナーでは、50名を超える参加者を集めることができました。また、生成AI(RAG:Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)の社内普及活動では、5つのプロジェクトから営業・エンジニアが参加し、部門横断的な連携を実現しました。
特に、実践的なハンズオン形式を重視したことで、参加者の92%が「自社プロジェクトへの応用イメージが明確になった」と回答するなど、高い学習効果と実務への展開が期待される成果を上げています。

最後に、日常的に取り組んでいるアーキテクチャ支援や案件支援などの業務についてです。
私自身が名付けた「GCCoE(Government Cloud Center of Excellence)」という枠組みのもと、官公庁領域におけるAWSの活用を技術面から支援しています。
この取り組みを通じて、各プロジェクトへの技術的な貢献だけでなく、AWSビジネス全体への波及効果も生まれており、そうした点が評価につながったのではないかと感じています。

NECブース前にて、左から堀田、鈴木、All AWS Certifications Engineerを取得した谷崎、展示説明を担当した佐藤
NEC展示ブースの様子、官公庁向けクラウドソリューションを出展

───技術者として日々成長を続けるために意識していることはありますか?

鈴木:そうですね。人によって考え方は異なるかもしれませんが、技術者として成長し続けるためには、日常的に技術への「興味」を持ち続けることが何よりも大切だと思います。
仕事以外の場面でも、何かしらの技術に触れて興味を持ったら、すぐに調べてみたり、関連する記事を読んだり、さらに深掘りしてみたりと、常に「知らない技術を知ろうとする姿勢」が重要だと感じています。

私の場合、趣味の延長線上で仕事をしているような感覚があり、最新技術が発表されると自然と探求心が湧いてきます。年に数回開催されるコンピュータ系の技術カンファレンスには常にアンテナを張っており、開催が決まるたびに会社に参加を希望し、実際に参加した際には得た知見をチームや社内にフィードバックしています。こうした活動を通じて、仲間と切磋琢磨しながら技術を追求し続けています。

───過去対応された案件で一番困難を感じた出来事を教えてください。また、どのように乗り越えられたかについてもお話しください。

鈴木:私たちは部署横断型の組織であるため、特定の案件に深く入り込むことは基本的にはありません。
その代わりに、私たちのチームで企画・開発している「官公庁向けクラウドソリューション」というプロダクトにおいて、利用者の多様な要望と標準化とのバランスを取ることが、最大の壁であり課題となっています。

省庁や自治体のお客様ごとに個別の要件が存在する中で、どこまでを標準機能として取り込むか、その判断が常に求められます。現時点ではまだ試行錯誤の段階であり、可能な限り多くの要望を取り込む方針で対応しています。

───NECのAWSクラウド構築力について、どのような強みがあると思われますか?

鈴木:クラウドを単に利用するだけならば技術的な差は付きにくいのですが、そうした中でNECの最大の強みを言うとすればGCCoE(Government Cloud Center of Excellence)のような部署横断型の組織を設置していることだと考えています。

各プロジェクトが個別にAWSアーキテクチャの設計・構築を行っていたのでは、ナレッジの蓄積や標準化が難しくなります。
しかし、GCCoE(Government Cloud Center of Excellence)の設置により、私たちAWSスペシャリストが部署横断で技術支援を行えるようになったことで、各プロジェクトにおけるAWSの設計・構築が大幅に効率化されました。
これにより、技術の属人化を防ぎつつ、組織全体での知見共有と品質向上が実現されています。

AWS Summitにて、左から鈴木、2025 Japan AWS Ambassadors受賞の堀田

───鈴木さんは現在官公庁のお客様向けにお仕事をされているということですが、実際のプロジェクトにおいて、AWSの知識が活かせたエピソードがあれば教えてください。

鈴木:近年、AWSの技術分野は急速に進化しており、ガバメントクラウドにおいても「モダン化」と呼ばれる構成でのシステム構築が求められています。モダン化とは、簡単に言ってしまえばサーバーレスでシステムを構築する設計手法を指し、認識は広まっているものの実践に関する情報はまだまだ少なかったりします。
そのため、私たちは案件支援の中で「この最新サービスを使えば、こんなに便利になりますよ!」といった形でモダン化に向けたアドバイスを行っています。必要に応じて、プロジェクトの技術支援を行うこともあります。
こうした活動を通じて、サーバーレス化やIaC(Infrastructure as Code)といった領域で、AWSの知識を最大限に活かしています。

───最後に、現在官公庁システムのクラウド移行を検討されている方へのメッセージをお願いします。

鈴木:官公庁システムのクラウド移行は、単なる技術基盤の刷新にとどまらず、業務システムの柔軟性や拡張性の向上を実現する大きな変革の機会だと私は捉えています。NECでは、最新のAWS技術と官公庁領域で培った実践的な知見を融合させた「官公庁向けクラウドソリューション」を提供しており、お客様ごとの課題やご要望に応じたテンプレートを活用し、最適な移行プランをご提案しています。
また、NECが長年にわたり培ってきたシステムインテグレーション力と、AWSに関する豊富な技術知識を組み合わせることで、要件定義から設計・開発、運用までを一貫して支援する体制を整えています。

今後も、高度なセキュリティ、可用性、運用性を追求しながら、官公庁のミッション実現に向けて、ITの側面から積極的にご支援してまいります。
技術的な課題や移行に対する不安など、どんなご相談でもお気軽にお声がけください。一緒に、より良い社会の実現に向けて、新たな価値を創造していきましょう。

公開日:2025年7月25日
本インタビュー内容は公開日の時点の情報を基に記載しています。

受賞者紹介

鈴木 竜一(すずき りゅういち)

NEC
パブリックビジネスユニット
官公ソリューション事業部門
官公インテグレーション統括部
第四営業グループ 主任
2025 Japan AWS Top Engineers(Service)


2023年10月にNECにキャリア入社。現在は官公庁領域におけるAWSクラウドのシステム構築、ガバメントクラウド運用支援サービスの開発に従事。また、官公庁向けのクラウドに特化した社内組織をGCCoE(Government Cloud Center of Excellence)と自ら名付け、AWSの知見を活かして各プロジェクトの技術支援をおこなっている。