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行政DXの社会実装に向けて

NECデジタル・ガバメントDay 2022

【パネルディスカッション】
「徹底討論!霞が関とNECのリーダーでこれからの働き方を考える!」

【登壇者】

  • NECカルチャー変革エバンジェリスト 森田 健(モデレーター)
  • 内閣官房内閣人事局 参事官(厚生労働省・宮内庁担当) 辻 恭介 氏
  • 経済産業省 大臣官房 業務改革課 課長補佐 八木 春香 氏

現在の働き方は?

森田:皆さんこんばんは。NECカルチャー変革エバンジェリストの森田健と申します。本日は、働き方改革に関するパネルディスカッションということで、ウェビナーをご覧の皆様も注目度の高いトピックスではないかと思っています。早速ですが、視聴者の皆様が今どのような働き方をしているのかお聞きしてみたいと思います。

ほぼリモートが28%、毎日出社が25%、出社5割・リモート5割24%、出社8割・リモート2割17%、フルリモートが6%という結果になりました。働き方を考えるうえで、コロナ禍という事象は避けては通れないものになっていますよね。ご覧いただいたように現在は多様な働き方が実現できているのかなと思います。

それでは早速ですが、登壇者の一人である辻さんに、ご自身のキャリア含めて自己紹介をしていただきたいと思います。

「何かを犠牲に」することなく働き、生活したい

:皆さんこんばんは。内閣人事局参事官(=課長)の辻と申します。このスライドに、入庁してから今までやってきたことをまとめましたが、なんというか脈絡がないですね(笑)

森田:写真がすごいですね。

:こういう恰好で仕事に行っているわけではないのですけれども(笑)元々は総務庁(現在の総務省)に入庁しました。その時の重要な課題があるとそれに取り組む形で仕事をしてきた感があります。特筆すべきとしては2011年3月に行った東日本大震災の被災者支援をやらせていただいたことでした。これは本当に自分の中で人生の大きな転機になったかなと思います。また、この10年くらいは働き方改革や人事、組織マネジメントなどの仕事を中心にしています。

大きなきっかけとなったのは、皆さんももしかしたらそうかもしれませんが、妻が育休から
復帰してまた働き始めたことがありました。当時は2009年~2010年くらいの時代ですから、妻は当然のように時短を取って、私もそんなものだと思っていたのですが、妻も職場に馴染んできたあたりで彼女から話を聞いたときに気づいてしまったというか。これはひょっとして、自分が妻のキャリアパスを犠牲にしてしまっているのではないかと。思い返すとそれがスタートですね。

誰かが何かを犠牲にすることなく仕事をして生活をして、というのを実現しようとすると、何をやればいいのかは単純明快で、自分がちゃんと夕方において家庭の戦力になればいいんです。夕方の戦力になるために何をすればいいかというと、それは簡単です。職場を出ればいいんです。ただ職場を出ると言っても当時は今よりさらに増してブラックだったので、仕事が終わるわけはない状況でした。仕事を終わらせるという大それたことはできないので、職場を離れても情報にアクセスできるようになればいいんだと思うようになりました。そこでまずはリモートアクセスの環境整備に力を入れようと考え、霞が関で整備をすることに成功しました。働き方改革は10年前だと何それレベルの話題でしたが、一般名詞として使われるレベルにまで引き上げようと上司や職場の中でも刷り込み活動を一生懸命行った記憶があります。

そういった運動をしているうちに感じた違和感というのが、大事なことは他の人が決めてくれる、他の人に作ってもらえると思っている、何で今やってくれないんだと不満を持っている人が多いということでした。私自身としては自分でやればいいのに、と思うようになってきたんです。そんな経験もあり大事なことは自分で決めていきたいというメンタリティができてきました。自分がいる職場、これは働き方という話題に限定されることなく自分の仕事の中身についても大事なことを決める場に自分がいたいし、それを決めるための輪に入りたいということを強く感じるようになってきました。

その時にやはり大事だと思ったのは、実はコミュニケーションのあり方を変える必要があるのではないかということです。今までどうしてもコミュニケーションは決まったことを伝えるとか命令とか、一方通行のコミュニケーションが中心だったと思うのですが、そうではなくていろいろな人がいろいろな場所で議論しながら積極的にかかわりあって集合知を作っていくようなことをしていかなくてはならないのではないかと思うようになりました。

あと、働き方改革の経験で、職場は自分を縛るものではなくて、自分がやりたいことをやるための場でしかないんだと、ポジティブに職場というものを捉えられるようになりました。15年以上仕事をしていると、後から振り返ると全部つながっていたと、スティーブジョブスのコネクティング・ザ・ドッツの考え方も身に染みて分かってきたと。そのような状態になって初めて、何がしたいのかを主体的に考えられるようになってきたと思います。

日本という国は、良い知恵が縦割りの壁の中で埋まってしまっていて全然融合していない、これが国としての成長を阻んでいるのではないかと考え、ナレッジが融合し活発化する社会を作っていきたい、それが今の自分のやりたいことになっています。一番よく言われるのが人材流動化、兼業の考え方で、例えばリモートで東京にいながら地方のNPOで活動するなどいろいろなことができるようになってきました。そうすると場所や時間にとらわれない、自分のポストにもとらわれない働き方をしていきたい、そんな風に進化してきたと思っています。

森田:さすが論客。ありがとうございました。スライドの中の「でもイクメンは止めようね」というのを追加でご説明いただけますか?

:要するに「イクメン」という用語は普通ではないからわざわざそんな名称が付くわけで、特別なものにするのではなくて普通にしていこうというような意味です。

森田:なるほど。ありがとうございました。それでは次に八木さんお願いします。

“大企業だけどスタートアップ”なメルカリからの組織改革のヒント

八木:私は2011年4月、東日本大震災の1か月後に入省しました。経済産業省では技術イノベーションやダイバーシティ経営の推進を行ってまいりました。私の転機は、メルカリに派遣していただいたことです。なぜメルカリに行きたかったかというと、経産省の組織改革をしたいと話をしたところ、ベンチャー企業であるメルカリに派遣となりました。派遣が終わり人事部の秘書課で新卒・キャリア採用を担当した後、念願の将来の業務改革を行うポジションに就いて現在1年となります。

ご覧に担っている皆さんはなぜ経産省の職員がメルカリに行ったのかと不思議に思われるかもしれません。そこを詳しくご説明したいと思います。社会の最前線で何が起こっているのかという動向を民間企業の方から教えていただいて理解して、すみやかに政策に還元する必要があると思っていたのですが、果たしてそれができているかなと懐疑的な部分がありました。メルカリは大企業ですがスタートアップライクで足が速いといいますか、意思決定がどんどんできるという話を伺っていたので、ぜひヒントを得たいと思い、派遣させていただくことにしました。

「OPENNESSの重要性」というところで、組織構造・情報・人間関係も非常にオープンにされているという点が、派遣された当初は衝撃でした。2つ目「業務効率化への強いこだわり」の部分は、最近やっと経産省でもTeamsが導入されましたが、メルカリでは5年前からSlackを使いこなされていて先駆的に業務に取り組まれていました。ZappierというMicrosoftで言うとPower Automateみたいなアプリが導入されているなど、当時の私からすると結構な衝撃でした。3つ目は社員をモチベートする仕掛けというのが計算されつくされて実行されているんだなと。やりがい搾取と役所全体言われることがありますが、個人でやる気になってちゃんと頑張れという議論になりがちです。そうではなくてちゃんと仕組みとして皆楽しく、その組織のために頑張ろうという気持ちになるような仕掛け、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)的な話もあって、なるほどこれで組織運営をしていくんだなということを学ばせていただきました。

NECのカルチャー変革

森田:改めまして私森田健と申します。カルチャー変革エバンジェリストという役職で仕事をしております。キャリアの半分は営業、半分は2012年ぐらいから経営企画に移って、そこからは企業変革の仕事をずっとやってきました。

実はNECはカルチャー変革にここ4、5年ほどずっと力を入れております。ちょうどアンフリーズの期間を経て、今まさに「チェンジ」のタイミングといいますか、本当に変わろうということで社員一人ひとりが自ら考え自ら変わるということを目標に取り組んでいます。中期計画の中でエンゲージメントスコアも2025年には50%だと、エクセレントカンパニーになるぞという意気込みでやっています。

NECでは働き方改革をSmartworkと呼んでいるのですが、2017年位まではどちらかというと残業を減らそうとか、なんとなくそういう方向感でした。

これをガラッと変えて、メルカリ風とでも申しましょうか、社員の成長と幸せが大事なんだと、そうすれば会社も自動的に成長すると社長が発表して、スライドにあるような改革を矢継ぎ早に行ってきました。これはコロナ禍以前の話です。

先ほど辻さんからも働く時間と場所というキーワードが出てきましたが、NECもその辺はできるだけフリーにしていきました。ビフォーアフターで言うと様々なインフラの整備も行って、クラウドサービスの会議はとてつもない回数になっていますし、BOXの容量も2600テラという莫大な数字になっています。リモートアクセスも一部しか使っていなかったところからほとんど全社員が適用されましたし、人材流動性という意味ではNEC Growth Careerという社内の人材公募の制度も利用する人が相当増えました。

今このSmartworkもフェーズが変わってSmartwork 2.0に移行し、働きやすさから働きがいというキーワードを全社に打ち出して、さらに改革を進めているところです。

働きやすさ、いわゆるインフラの整備だけやっていても個人も幸せにならないし、会社としても成長しない。これから求められてくるものは「働きがい」であり、我々はそこを目指して、会社も個人も成長していこう、NECのPurposeを実現していこうという流れを作り出しています。NECのPurposeは「Orchestrating a brighter world」ですが、それを実現するためには働きやすさの整備だけでは足りないよね、という議論を会社でしています。

そういう考え方の下で、ハイブリッドワークを標準に働き方にしつつ、基本はロケーションフリー、オフィスの在り方をコミュニケーション・ハブ、イノベーション・ハブというように分けて、新しい考え方でやっていこうと、それをデジタルテクノロジーが支えていくという構図になるような整備をしています。

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