NECグループ11万人で挑むAIトランスフォーメーション(AX)チャレンジ【営業変革】

AIと切り拓く次世代営業のあり方

顧客ニーズの高度化と競争激化に直面する今、営業活動にはさらなる質とスピードが求められています。
本ページでは「提案書作成」と「ナレッジ活用」におけるAIトランスフォーメーション事例を通じ、次世代の営業像とその実践内容を紹介します。

取り組みの概要を動画で紹介

提案書作成をAIで効率化&高度化する

営業ナレッジをAIで資産化せよ

営業変革チャレンジ❶ 提案書作成支援AI

汎用型AIではない「業務特化型AI」で営業提案を高度化!

―顧客理解に注力するための提案書作成支援AIの可能性―

営業部門 AIプロジェクト推進担当
實方 圭太 Keita Jitsukata

自治体営業
加藤 貴也 Takaya Kato

事業戦略の立案やデータドリブンの推進を担当し、業務に特化したAIツールを整備する必要があるという課題感から、今回のプロジェクトをけん引する實方。AIの実用度の観点からレビュー&フィードバックを担当し、現場目線でサービス品質の向上をサポートした加藤。業務課題に即したAI導入を目的に、本プロジェクトから生まれた「提案書作成支援AI」の開発プロセスや浸透ポイントについて、二人に話を聞きました。

営業はお客様の経営課題解決のために時間を使いたい。
そのためには、汎用型AIではなく業務特化型AIが必要。

Q.AI導入前の営業現場や提案書作成に関する課題感についてお聞かせください。

實方:営業の仕事は近年ますます多様化・複雑化が進んでおり、一人の営業担当者がやらなくてはいけない領域が大幅に増えてきています。時間が限られているなかでも、営業が最も重要視すべきことは、お客様の多様な経営課題をしっかりと把握し、それらをどう解決するかという提案を通して価値を提供すること。そこに、より多くの時間を使っていけるように改善強化を図っていきたいとの想いがありました。

加藤:社会的には少子高齢化の流れもあり、リソースは限られてきています。そんな中で、効率化と高度化を両立した提案をしていかねばならない。二律背反の状況を打破しなければならないという課題感を持ち始めていたタイミングで、今回のAIトランスフォーメーションチャレンジが動き出したんです。

實方:AIは情報の収集や分析などを得意としています。AIの情報処理能力をうまく活用することで、営業の業務改革を図れないかと考えました。データドリブンを進める上で、AIや業務効率化ツールはこれまでもいくつか存在してきたのですが、汎用的なものが多かったんです。作るなら、もっと営業の業務に特化した専門性の高いAIじゃないと意味がない。そのような経緯のもと、「まずは改善余地の大きい業務からAIを活用しよう」という流れで始まったのが「提案書作成支援AI」のプロジェクトです。

「営業プロセスの可視化」からはじまったプロジェクト。
営業現場の有識者に、数ヶ月にわたってメソッドをヒアリングし続けた。

Q.提案書作成を支援するAIの開発時や社内浸透時に苦労した点についてお聞かせください。

加藤:業務特化型AIとして今回開発を進めた「提案書作成支援AI」は、提案書作成の効率化と高度化の両立を目指したツールです。効率化の観点では、誤字脱字のチェックや表記の統一など、人間でなくてもできる部分はAIに任せて工数削減することを目指し、高度化の観点では、過去の提案事例から今回の案件に合うものをAIが自動収集し、最適なものを選んでブラッシュアップすることで、質を高めることを目指しました。

實方:提案書作成支援AIの開発において最大の壁となったのは、「営業プロセスの可視化・標準化」です。営業の現場には絶対的な正解や共通プロセスがない部分もあり、人によってやり方が異なるケースも存在するため、現場営業へのヒアリングはマストです。数か月に渡り、定期的に会議を行い、加藤さんをはじめ営業の有識者の方々に毎回参加いただき、「このプロセスはどうしているのか」と、暗黙知となっている営業のナレッジをお聞きしながらアジャイル型でツールを開発しました。言語化・標準化するプロセスには本当に多くの時間と労力を費やしましたね。

加藤:実装に関しては、SEの方がこちらから要望を出したものに対し、その場で「できません」と言うのではなく、「こういうやり方ならできるかもしれないので考えてみます」とまず受け止めてくれたのが非常にありがたかったですね。それで開発が進んだ部分は大いにあると思います。今回の提案書作成支援AIも、いろいろ失敗や試行錯誤を重ね、結果的に行き着いたものの一つにすぎないので、トライアンドエラーは大切だと思います。

實方:提案書作成支援AIの社内浸透において意識したことは、実際にそれを使っていただく方々の立場になり、ツールを使うことによるメリットや、ビフォー・アフターの変化などをしっかり示すことです。営業担当者に実際にトライアルで使ってもらい、「これだけ効率化できた」「この使い方が便利だった」というファクトを収集し、利用者全体に共有することで納得感とモチベーションを高めました。プロジェクトの過程や成果もオープンにし、組織の透明性を保つことを意識しました。

  • アジャイル型=「俊敏な」「素早い」という意味の通り、計画、設計、実装、テストの短い開発サイクル(イテレーション)を繰り返してプロダクトを完成させる手法。全体の厳密な計画を最初から立てず、変化する顧客の要求やフィードバックを素早く取り入れ、柔軟に対応する点が特徴。

AI開発プロジェクトは、人と人、組織と組織をつなぐ。
長期スパンでみれば、企業変革の一端になり得る。

Q.プロジェクトの今後の方向性と可能性についてお聞かせください。

實方:現場の感覚としては、今までは当たり前のように日々の業務をこなしていたところが、「これって実はAIにやらせたら効率化できるんじゃないか」と意識が変わってきたように思います。この変化を追い風にして、もっと利用者にとって使いやすい形にしていきたいですね。とは言え、AIはまだ発展途上なので、ツールが散在していたり、入口がバラバラになっている部分もあります。今後はツールをできるだけ集約し、入り口も一つにして、利用者の利便性向上を図りながら更なるバージョンアップを目指していきたいと考えています。

加藤:NECでは「クライアントゼロ=自社をゼロ番目のクライアントとする」の考え方を大切にしています。今回の取り組みは、まさにその考え方を私たち自身が実践していることに意義があります。本プロジェクトを通じて蓄積したノウハウだけでなく、さまざまな知見や実践を積み重ね、社会課題の解決につなげていきたいと考えています。

實方:一連のAI活用の取り組みを通じて、他部署や異なる組織から「連携しませんか?」と声をかけてもらう機会が増えました。まさに点と点がつながる感覚です。加藤さんや私以外にも多くの心強い仲間・複数の組織・人のつながりの中で、取り組みが広がり、結果的に新しいツールや機能の開発にもつながっています。私たち300人規模の組織が協力し、他部門や全社の有識者と連携することで、会社全体の効率化や高度化に役立つ取り組みになっていると実感しています。どこで花が咲くかわからないのが、こうした変革の面白さ。今後はお客様とNEC、企業と企業という枠を超えて、共同で価値検討できれば、さらに素晴らしい世界観が見えてくると考えています。「NECと一緒に何かを変えたい!」と共感してくださる方がいらっしゃれば、ぜひ力を合わせ、新たな価値を共創させていただけるとうれしいです。

more

営業変革チャレンジ❷ 営業ナレッジ検索AI

AIがトップ営業のナレッジを組織の必勝パターンに変える!

―提案力の格差をゼロにする営業ナレッジ検索AIの可能性―

営業部門 AIプロジェクト推進担当
海野 早弥香 Sayaka Unno

営業部門 AIプロジェクト推進担当
大岡 康佑 Kosuke Ooka

営業組織に横断的なAI推進・サポートを担う事務局の立場から、効率化や外販も見据えて活動する海野。営業現場とシステム部門の橋渡し・仕組みづくりを担当し、DX推進による営業の価値最大化を目指す大岡。本プロジェクトから生まれた「営業ナレッジ検索AI」の開発プロセスや浸透ポイントについて、二人に話を聞きました。

なぜ今、「営業ナレッジの資産化」が必要なのか
⸺期待値と危機感が変革の原点

Q.AI導入前の営業現場に関する課題感についてお聞かせください。

大岡:NEC社内で「営業が積み上げてきたナレッジが蓄積できていない」という課題感がありました。ポテンシャルの高いそれらのデータを全社の資産に変えることができれば営業の質は格段に上がる。そのためにはどうすればいいか。今回のプロジェクトは営業部隊が大きくブレイクスルーするチャンスだと感じました。

海野:今回のプロジェクトには期待値を感じると同時に、「今やらないとNECも置いて行かれる」という危機感を抱いたのも事実です。本当に良いものができるという期待と、何もしなければ置いていかれるという危機感がセットでしたね。

大岡:営業のナレッジが蓄積できていない主な原因は、「データ入力の粒度感のばらつき」と「蓄積して利活用できる基盤が整えられていないこと」のふたつです。これをAIを活用して解決できないか、というところから今回のプロジェクトは始まりました。近年、ある程度の情報はお客様が事前に収集・学習されている上で営業の話を聞くというのがデジタル時代の通例になりつつあります。そのため、お客様に関する情報収集や分析、検討といった部分に今まで以上にフォーカスしないと、差別化を図ることはできません。この情報収集・分析・検討の部分をAIに任せてみようと考えたのです。

AI開発は「砂遊び感覚」で心理的安全性をもってカジュアルに。
社内浸透は「マインドセット」と「ユーザー目線」がカギ。

Q.営業のナレッジを検索できるAIについて、開発時や社内浸透時に苦労したポイントをお聞かせください。

大岡:今回のプロジェクトは、はじめから上手くいったわけではありません。営業の業務フローに合わず使えないことも多々あり、本当に価値が出るところまで持っていくのにはとても苦労しましたね。プロトタイプを作って現場で試してもらい、効果があればブラッシュアップ、ダメなら改善を行う。基本的にはこの繰り返しです。難しければ諦めて、「もっと価値のあるところを作ろう」と柔軟に方向性をシフトしながら進めていったのがポイントだったように思います。

海野:既存システムにAIを組み込んで実装を試みたこともありましたが、当初は期待通りに動かず、トライアンドエラーの連続…。同様のAIが多く出てくるため、野良AIとの統合をどう考えるかも重要なポイントのひとつでしたね。

大岡:プロジェクトを進める上で重要だと考えているのは「砂遊び感覚」と「ユーザー視点」の二つです。AI開発フェーズにおいては、部門長が「砂遊び感覚、つまり完璧を求めすぎず、試行錯誤を前提に進める姿勢でどんどん進めていこう!失敗しても仕方ない」という空気感を作ってくださったことで心理的安全性が高まり、プロジェクトが前に進みました。一方で、社内浸透においては、徹底的に「ユーザー視点」になりきることが重要です。私がトライしてみたのが、自分がユーザーとしてまず使い、営業経験の中で面白い・使えると感じた部分を実際にデモ動画にして発信するという方法です。「こう使えば役立つ・面白い」と自分も楽しみながら価値を伝え、ユーザー目線で情報共有を行い、使いたいと思ってもらえるように意識して取り組んだ結果、少しずつですが、利用率も上がってきています。やはり、自分事化してもらうためにどうすればいいかを常に考える必要があると思います。

海野:AIの社内浸透については、現場が「使えるね!」「使いたいね」と思うものでなければ意味がありません。「やらされ感」のある浸透方法では決して広がらないため、現場のリアルな視点こそがAI浸透の起点であるべきだと考えました。また、「AIに任せれば良い」という考え方にはリスクがあるため、営業プロセスの中でどう使いこなすかというマインドセットも使い方と一緒に浸透させていく必要があると痛感しました。

今後は工場やコンサルなどの匠たちの知見もプール。
日々ブラッシュアップを重ね、AIとともに営業活動の高度化を目指す。

Q.プロジェクトの今後の方向性と可能性についてお聞かせください。

海野:AIと連携して圧倒的に効率化できたとまではまだ言えませんが、空気感としては「やってみようかな」という雰囲気になりつつありますし、実際に使ってみて「すごく良かった!」という声も出てきています。今後のビジョンとしては、営業活動の可視化や、可視化ができている前提でデータドリブンな活動をもっと高度化していきたいと考えており、その準備は十分にできています。具体的には、専門分野で働いている工場の匠やコンサルのメンバーなどのさまざまなプロフェッショナルの知的財産をプールし、暗黙知を形式知化する取り組みを進めています。知的財産を伝承していける仕組みを作ることによって、さらに質の高い提案を実現する。これを標準化するためのプランも模索中です。

大岡:取り組みの効果として、このAIを使うことで自分が楽になると感じる人が確実に増えてきていると感じています。また、営業ナレッジ検索AIを使うことで、自分一人では知り得なかった組織の知識を提案に活用でき、お客様への提案が高度化するという体験も出てきています。これは今まででは考えられなかったことです。今回の取り組みで得たNECが自社でトライした経験やプロセスは、多くの企業にも展開できると考えています。営業部門におけるAI活用を模索されている企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ互いの取り組みについて意見交換させていただけますと幸いです。

  • 本資料は2026年3月時点の情報に基づいて作成しています。
  • 本資料に記載されている内容は、取材時点での情報に基づいており、将来の成果や効果を保証するものではありません。
  • 所属・担当は取材当時のものです。

more