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NECグループ11万人で挑むAIトランスフォーメーション(AX)チャレンジ【リスク変革[監査]】
膨大なルールや業務量を背景に、監査部門には効率性と付加価値の両立が求められています。
本ページでは、監査業務にAIを取り入れた実践を通じて、予防型・提言型監査に向けた考え方と進め方を紹介します。
取り組みの概要を動画で紹介
AI活用で「頼られる監査部門」へ
リスク変革チャレンジ 監査報告書作成支援AI
「攻め」と「守り」を両立する監査へ
―AIが拓く予防型・提言型監査への挑戦―

金子 浩美 Hiromi Kaneko
NECの監査部門は「経営に資する監査」を目指して、監査の高度化に取り組んでいます。AI導入の狙いは、監査業務の効率化。この効果により生まれるリソースを、「監査高度化への活用」や「監査サイクルの短縮化」に生かすことで、課題の早期発見とリスクの低減に貢献し、「守り」だけでなく「攻め」のアドバイザリー監査を目指している点も特徴です。内部監査部門の中で監査DX化を企画・推進し、今回のAIトランスフォーメーションプロジェクトリーダーを担当する金子に、内部監査におけるAIの可能性について話を聞きました。
内部監査のネガティブ印象払拭へ。「頼られる監査部門」として、
膨大なルールを乗り越えた経営提言型監査への挑戦
Q.内部監査について現場の皆さんからどのような印象を持たれているか教えてください。

金子:今までの内部監査というのは、業務部門の方々に通常業務の時間を割いて対応していただく必要がありましたので、「また監査に来るのか…」というネガティブな印象を持たれがちなイベントだったと思います。そうした印象を払拭すべく、私たちは会社やグループにとって良いアドバイスができる「頼られる監査部門になりたい」という思いを抱いていましたが、課題もたくさんありました。
Q.具体的にどんな課題感があったのでしょうか?
金子:NECグループは全社員11万人規模の大きな組織ですので、幅広い事業や事業環境に耐えうるよう、様々なルールや法令対応などの業務プロセスが定められています。社会の変化があるたびに新しい制度や異なるガイドラインができて、ルールが増え続けていくことが大きな課題でした。NECグループの社内ルールは膨大で、その数は実に約2600件にもおよびます。子会社にも同じガバナンス基準の遵守が求められており、現場の皆さんに非常に大きな負担をかけているのが現状です。AI活用で実査はヒアリングに集中!
作業時間40%削減の先に、人による付加価値提言の可能性を探る
Q.今回のプロジェクトでは、内部監査のどのような部分にAIを導入したのでしょうか?
金子:監査のプロセスは、大きく「監査計画」「データ抽出」「判定」「実査」「レポート」「フォローアップ」という6つのステップで構成されています。今回のAIトランスフォーメーションチャレンジの取り組みでは、まず「実査」から「レポート」にかけての部分にフォーカスを当て、「監査報告書作成支援機能」の開発に着手しました。その理由は、現場で働くメンバーが「楽になる」という実感を得やすいこと、そして開発の難易度も比較的低かったことにあります。具体的には、実査でのヒアリング内容を録音・テキスト化し、AIによる要約や調書(監査記録文書)、さらには対象組織へのレポートサマリを作成させる一連の流れを網羅したAI機能の開発です。本機能のリリースにより、実査中の議事メモ作成作業が省力化され、よりヒアリングに集中できるようになりました。また、対象組織の状況や全体像の把握、リスク抽出の精度・網羅性も向上し、事後の追加確認事項が減少するという効果も生まれたことで、レポート作成にかかる時間も大幅に削減されています。
Q.AI活用によって人間はどのような部分にフォーカスすれば良いでしょうか?

金子:監査現場における受け答え、疑問点を深掘りするといったコミュニケーションや洞察、最終的な判断は今後も人間が実施すべき業務として残ると思います。前述の実査シーンを例に挙げれば、AIが情報の記録や整理を担うことで、人間は「質問」「状況把握とリスクの洞察」「最終判断」といった、より高度な意思決定を要するプロセスに注力できるようになります。現在もプロジェクトは進行中で、「監査計画作成機能」も順次リリースを開始しています。これらのAI機能をフル活用することで、シミュレーションでは総作業時間の40~50%削減が可能であると見込んでいます。一方で、AIの導入後は積極的に活用する人と、なかなか利用しない人に分かれており、現場での活用浸透にはまだ課題が残っているのも事実です。今後は、AI活用を組織全体に浸透させていくために、業務プロセスへの組み込みや1on1サポートなどの施策が必要であると認識しています。
愛着を持って育てるAIとともに監査の新時代へ
内部監査の効率化が生み出す予防型監査の可能性とは
Q.今回のAI導入プロジェクトを通じて、どのような組織風土の変化を感じましたか?

金子:従来、内部監査部門は一つの領域で長くキャリアを積んだ専門家が最終的なチェック役を担うというイメージが強く、AIがその役割を果たせるのか不安もありました。しかし、プロジェクト開始から一年が経過した今、その懸念は不要だったと実感しています。この取り組みを通じて、たとえ失敗しても受け入れ、次にどうすれば成功につなげられるかを自ら考えるという前向きな空気が、これまで以上に醸成されたと感じています。
Q.今後のビジョンや、AI活用による内部監査の進化についてお聞かせください。
金子:今回のプロジェクトは、まず自社内で様々な検証や試行錯誤を重ね、成功と失敗の両方から知見を蓄積する「クライアントゼロ」としての挑戦でした。引き続き、AI機能同士を連動させるAIエージェントの開発を進め、更なる監査効率化を目指します。このように、内部監査プロセスのAIトランスフォーメーションが進めば、内部監査自体も、「事後型監査」から「リアルタイム監査」、さらには不正を未然に防ぐ「予防型監査」へと進化させていくことができると確信しています。従来、内部監査部門は、新技術の導入に慎重な傾向がありますが、担い手不足の深刻化や作業効率化・監査高度化といった課題に直面されている会社も少なくないのではないでしょうか。今回の私たちの取り組みや経験が、皆さまの内部監査への生成AI導入を後押しする、一つのきっかけとなればうれしく思います。- ※本資料は2026年3月時点の情報に基づいて作成しています。
- ※本資料に記載されている内容は、取材時点での情報に基づいており、将来の成果や効果を保証するものではありません。
- ※所属・担当は取材当時のものです。
