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失敗から得た知恵と現場力 NECの「匠」の力で切り拓くサプライチェーン新時代
2026年2月24日

かつて、NECで管理職のボーナスの一部が現物支給になったことがあるのをご存じでしょうか。1990年代後半──製品・部品の在庫が東京ドーム9杯分。膨れ上がる在庫コストが、経営を圧迫していました。その苦い経験から、NECは現場改善やサプライチェーン改革に取り組み、在庫をキャッシュによみがえらせることに成功。そこで培った知恵と現場力を、同じ悩みを持つお客様にも展開する組織が、NECにあります。その名も「匠コンサルティンググループ」。サプライチェーン改革の必要性が高まるこの時代に、NECの「匠」たちが活躍の場を広げています。
匠コンサルティング──失敗を語り共感から始める
「匠」と呼ばれるのは、NECグループのものづくりの現場で改善・革新に取り組み続けたメンバーたちです。パソコンや携帯電話、ポケベルなど、幅広い製品の生産現場で知恵とノウハウを磨いてきました。現在は、同じような悩みを抱えるお客様の現場に足を運び、ともに解決策を考え、現場改善やサプライチェーン改革を支援しています。まず始まったのが「匠コンサルティング」、その後生まれたのが「NECものづくり人財育成プログラム」です。
匠コンサルティングの取り組みが始まったのは、2010年代初頭。「つくれば売れる」から「売れた分だけ作る」への転換が迫られた時代です。同じ課題に一足先に直面し、乗り越えていたNECとして「同じように悩むお客様の力になりたい」という想いが出発点でした。

左から、菊地克則、渡辺武司、中山統夫、丸山康久
「匠コンサルティング」の特徴は、NECの“失敗”が原点となっていることです。NEC自身が、生産と販売をそれぞれ個別最適で進めた結果、余剰在庫が積み上がりました。その反省から、現地現物の考え方を大切に、現場を見直しながら組織・部門を超えた改革・改善を重ね、常に全体最適の視点でサプライチェーンを再構築してきた経験がベースになっています。
「失敗の経験を包み隠さず話すと、お客様が共感してくれる。それが信頼を築く第一歩になる」とNEC スマートインダストリー統括部 匠コンサルティンググループの中山統夫は語ります。

それから、お客様の現場を見学し、問題点を「見える化」します。キーワードは「流れづくり」です。トヨタ自動車が考案した“モノと情報の流れ”の可視化・分析手法VSM(バリュー・ストリーム・マッピング)を、NECの知恵と経験を用いて最適化。「営業、生産計画、開発など、関係するあらゆる部門のメンバーを入れて、ものと情報の流れを時系列で洗い出します」と、同グループの丸山康久は語り、こう続けます。「それが、NEC流です」。
ITシステムと生産現場の両方を知るNECならではの視点もあります。優れたテクノロジーを導入しても、現場が整流化されていなければ、本来の力を発揮できません。整流化した現場でITシステムを活かす──この順序も重要です。
わずか2人で始まった匠コンサルティングは、今や約20人体制に拡大し、2千を超す現場の課題解決を支援してきました。
人財育成──社会全体のサプライチェーン改革
「在庫の多さを”安心”と考えるか”無駄”と考えるかが分岐点」と丸山はいいます。業界全体の意識改革に貢献するために、育成にも力を注いでいます。

その取り組みが「NECものづくり人財育成プログラム」で、お客様の社内に改革をリードできる人を育てるのが狙いです。匠コンサルティングが積み上げてきたノウハウが詰まっており、匠も講義を担当しています。

NECグループの工場などを実際に視察できるのもプログラムの特徴です。例えば掛川工場では、量子アニーリング技術を用いた作業計画や人員配置の最適化、搬送ロボットの活用など「人」と「設備」が協業する現場設計を見学できます。現場を踏まえたうえで、ここに至るまでの経験や工夫については、匠からの講義や解説によって直接吸収する形です。
参加者からは「自社では教わらなかった知見を得ることができた」「机上の理論ではなく現場を見て改善することが大事だと学んだ」といった声が寄せられており、3年連続で参加する企業もあります。初回の2023年から毎年開催し、お客様のニーズに合わせてプログラムも毎年見直しています。

ものづくりのDXに伴い、匠コンサルティングも進化しています。若い世代のメンバーが加わり、データやAIの活用などNECの強みを生かしながら、アップデートを進めています。NECがPurpose(存在意義)に掲げる「安全・安心・公平・効率という社会価値の創造」をものづくりの現場から実現するために。NECだからこそ実現できるサプライチェーン変革に向けた匠たちの挑戦はこれからも続いていきます。