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プロボノ発展@川崎、リードするのはNEC ライバルも巻き込み産官学サミット開催

ボランティアの中でも仕事で培ったスキルや経験を活かす「プロボノ」。企業プロボノ活動の先駆けとして知られるNECが、一企業の枠組みを超えてプロボノ組織の連携を生み出そうとしています。その第一歩として2025年9月、「かわさきプロボノサミット」を開催。産官学から川崎市や専修大学など仲間が集い、企業プロボノとしてはNECと同様に川崎市に拠点をもつ富士通プロボノ部も参加しました。プロボノならではの課題を共有する一方、プロボノの枠にとらわれない新たな気づきも芽生えた今回のサミット。地域を、社会をよくする「プロボノの循環」の出発点になりそうです。

プロボノ同士が手を取り合い地域づくりに活かす

「あなたの“当たり前”が誰かの“ありがたい”」「多様な人々の力を地域づくりの力に」「このプロボノサミットで新たな歩みが始まるかもしれません」

かわさきプロボノサミットでNECに続いてあいさつをしたのは川崎市コミュニティ推進部協働・連携推進課の鈴木健司さんです。プロボノの活用に先進的な都市でもある 川崎市がプロボノの力を取り入れ始めたのは2014年。川崎プロボノ部という、プロボノの需要と供給をマッチングするプロジェクトも運用しています。

国内企業では初めてプロボノを開始したNECにとって、大きな拠点を抱える川崎市は特別なまちです。2024年10月には玉川事業場で3000人が訪れた川崎市制100周年記念事業「かわさきSDGsパートナーまつり」を企画・運営。グループ全体で登録者数800人を超え、5年で100件以上のプロジェクトを実施したNECプロボノ倶楽部が、活動の幅を広げようと企画したのが今回のサミットです。

2024年10月のかわさきSDGsパートナーまつり
川崎市協働・連携推進課 鈴木健司さん

参加したのは川崎市、川崎プロボノ部、専修大学、川崎市看護協会、そして富士通プロボノ部。NECグループの独立シンクタンク国際社会経済研究所(IISE)理事長の藤沢久美がリードしながらプロボノ活動の課題や可能性について自由に議論しました。

プロボノの広がり 企業の枠を超えて情報交換

オンラインを中心に参加者は約200人。盛り上がったテーマの一つが「プロボノの時間どう捻出?」です。個人の時間のやりくりについて色々報告される中、注目を浴びたのが富士通プロボノ部の橋本健さんが紹介した「FUJITRA10」という富士通の制度です。自律的な個人の成長や経験、将来に向けての成長につながる活動に業務時間の10%まで参加できるというもの。「社員一人一人の成長は会社の成長にもつながるという考えですね」などと参加者から好意的な声がいくつもよせられました。

サミットには約200人が参加
富士通プロボノ部 橋本健さん

橋本さんは制度の「富士通らしさ」には胸をはりつつ、「プロボノをもっと広げるヒントがほしくてサミットに参加した」と話します。もともと、富士通プロボノ部は2022年にNECの活動に触発された橋本さんが立ち上げたのが始まり。同じ川崎市に縁を持つ企業として、NECのプロボノ活動をどう見る?という質問の答えはこうです。「NECはプロボノ倶楽部と言いながら、プロボノの定義にはこだわっていないように見える。だから参加しやすくて、社内からも地域からも見えやすいのかもしれません」。

サミットで寄せられた意見には「プロボノに必要なスキルが足りているか不安」というものもありました。「自分ではスキルと思っていなかったことがスキルになる」などという意見も相次ぐ中、主催者のNECプロボノ倶楽部代表の山口耕史はこう強調します。「プロボノの『プロ』はプロフェッショナルのプロじゃない。何気なくやっていることで十分なんです」。

支えられた人が支える人に 「プロボノの循環」

今回注目を集めたキーワードの一つに「プロボノの循環」があります。富士通プロボノ部の橋本さんがプロボノ活動をスタートしたのは川崎プロボノ部。川崎プロボノ部から今回のサミットに参加した岩田直樹さんは、実はNECのプロボノ倶楽部出身。とある組織でプロボノを経験した人が、別の組織でその経験を活かす。プロボノの支援をうけたひとが、ほかの現場ではプロボノとして別の人を支援する。「プロボノの循環」が、プロボノ活動を広げ地域を元気にする。そんなイメージも共有されました。

川崎プロボノ部の岩田直樹さん
IISEの藤沢久美(左)

プロボノサミットの締めくくりには、参加者の間で、今回のサミットを契機として「共創のさらなる推進」や「地域にとっての新たな価値の創出」を目指す意思が示されました。

今回のサミットをきっかけにプロボノ組織同士が定期的に情報交換をするなど新たな連携も構想にあり、この取り組みを全国に広げることも視野に入れています。サミット後のアンケートでは「人脈がつくれそう」「次につながる流れになるよう応援している」「全国、世界まで広がったら素敵ですね」といった様々な意見が寄せられました。NECは、Purpose(存在意義)に掲げる「社会価値の創造」や「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」のために、この川崎の地からプロボノの力でも一歩ずつ歩みを進めていきます。

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