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「共生社会って何?」NECで学んだ パラ大会支える横浜市職員の想い
2022年11月11日

障がい者でも健常者でも、障害の有無に関わらず参加できる「都道府県民パラスポーツ大会」が全国に広がっています。子どもからお年寄りまで楽しめる各地の大会を、NECは地元自治体と連携して企画段階からサポート。11月19日には横浜市で神奈川県民パラスポーツ大会が開かれます。大会成功に向けて奔走する横浜市職員の2人は、実はNECとの特別な縁を持っています。NECと自治体、障がい者と健常者の懸け橋となる2人の想いとは。
パラスポーツ選手や車いすの生活に向き合ううちに生まれた変化
パラスポーツに興味はなかったし、そもそも「共生社会」という言葉も、その意味も、全く腹落ちしていなかった。それが、2021年4月、横浜市からNECに人事交流で派遣された当初の、西峯大祐さん(30)の素直な気持ちでした。「国籍も性別も障がいの有無も関係なく、スポーツを通じて、誰もが夢を抱き挑戦できる環境づくり」を掲げているNECにいた1年、ずっと「共生社会とは何か」を考え続けました。
サッカー少年だったこともあり、スポーツは大好き。人事交流でNECを希望したのは、4年に1度のあの大会を応援している企業だったからです。
思い出に残っているのは、NECがスポンサー契約をしている堀米雄斗選手(スケートボード)、野中生萌選手(スポーツクライミング)、国枝慎吾選手(車いすテニス)、中西麻耶選手(陸上競技)に登場してもらう社内イベントの企画を担当したこと。インタビューの台本を「面白くない」とバッサリ言われ、一度は凹みました。意気込みとか展望とか、とおり一遍のことを書いていたような。一念発起、選手の歩みを徹底的に調べ、練り直しました。
選手キャリアに真剣に向き合ったこと。イベントや仕事で車いすの人と接することが増えていったこと。そうするうちに自分の中で何かが変わっていったのかもしれません。

共生社会、難しいことじゃない 同じ時間と空間にいて気づいた
それでも、ずっとしっくりこなかった「共生社会って何?」というモヤモヤが晴れたのは、横浜市役所に戻る直前の2022年3月、岡山県民パラスポーツ大会の運営スタッフをしていたときでした。西峯さんも急遽人数合わせでボッチャの試合に参加して、子どもも大人も障がい者も健常者も一緒になってプレーに一喜一憂。同じ時間、同じ空間を共有すること。ああ、なんだ、難しいことじゃない。これが共生社会なんだな、と。
1か月後に戻った横浜市では、スポーツ振興課に。パラスポーツは今の部署の担当業務ではないものの、西峯さんの熱意と上司の理解によって今回のパラスポーツ大会の運営にかかわることになりました。スポーツボランティアセンターの登録者1万人超に告知したり、地元のプロスポーツチームにコラボを呼び掛けたり。参加者を増やすため知恵を絞っています。
「障がいのある人もない人も同じ時間を共有する社会、それが共生社会ですよね。その実現のために一職員として、一人の人間として尽力していきたいです」

「次の大会のために」パラスポーツ日常化めざし、企業と自治体の懸け橋に
横浜市で神奈川県民パラスポーツ大会をサポートするもう一人のキーマンは、障害自立支援課の佐藤史彬さん(35)です。佐藤さんも2017年にNECに派遣されるまで、パラスポーツとの関りはほとんどありませんでした。
NECで働いてみて、パラスポーツの支援をしている企業がたくさんあること、その中でも特にNECが車いすテニスや車いすバスケ、ボッチャ大会など幅広くパラスポーツを通じた共生社会の実現に取り組んでいることは、大きな発見でした。民間企業は利益先行のイメージが強かった分、社会貢献に本気で取り組んでいる姿勢は新鮮でした。
障害自立支援課への配属は「NECでの経験があったから希望しました」。11月の神奈川県民パラスポーツ大会では、市内13校の特別支援学校や各地元地域でスポーツの普及・促進をしている方への周知など、今の部署のネットワークを活かして裾野の拡大を図っています。
NECが特別協力して全国で行っている都道府県民パラスポーツ大会は2019年の長野を皮切りに、四国、岡山、山口、そして神奈川など全国に広がり、ボッチャや車いすバスケットボールが行われています。自治体や地元企業の協力もあり、参加者数はじわじわと増加。岡山大会では地元のプロスポーツチームも協力するなど、大会の輪も着実に広がっています。
「パラスポーツを好きになれたのはNECでの経験があったからです」。佐藤さんと西峯さんは口をそろえます。東京2020をきっかけにパラスポーツを体験した人は多いはず。でも体験会ではなく継続的な「大会」にすることで、「次の大会のために練習しよう」というモチベーションにもつながる。そして、スタッフとしての参加や観戦者としての楽しみもある。こうした大会が全国各地で継続的に開催されれば、パラスポーツの日常化につながるはず。そのためにNECと横浜市役所と地域をつなぐ。NECとの交流を経た2人が今、未来の共生社会に向けた懸け橋として活躍しています。
