新規事業計画書の書き方・ロードマップ作成~将来の収益目標から逆算し審査員を納得させる実行計画の立て方
新規事業計画書は、その質はもちろんのこと、実現可能性の高い実行計画が描かれているかどうかも重要です。
今回は、リソースの配分計画や、リスク発生時の対応策を含め、審査員が「これなら実現できる」と納得する実行計画を描く際の勘所をご紹介します。
またリスクや障壁を事前にどれだけ洗い出せているかによって、ロードマップの信頼性が変わります。見落としを防ぐために、あらかじめ多角的な視点で見る仕組みづくりも重要です。その新しい手法も合わせてご紹介します。
目次
新規事業計画書に必要な項目
新規事業計画書に盛り込むべき項目は、審査員や経営者が何を求めているかによって決まってきます。主に次の項目が求められています。
- 新規事業の全体像
その新しい事業で何を行うのかが、一目で見てわかることが求められます。そして「やる意義がある」と興味を持ってもらうことが重要です。 - その事業に取り組む理由
なぜその事業に取り組むのか、なぜやる必要があるのかの理由・背景を示します。またどれだけ会社のビジョンや方向性と合致するのかの論理も必要です。 - 市場や顧客の分析結果
対象となる市場の大きさや顧客セグメント、顧客が持つ課題などの詳細な分析結果を記載します。 - 新規事業がどのように市場の課題を解決するのか
新規事業によって作る製品やサービスが、市場の課題をどのように解決するのかを示します。 - ビジネスモデルの全体像
収益構造やコスト構造などを記載して「この収益モデルは持続可能であるか?」を示すためのビジネスモデルの全体像を描きます。 - 市場における競合分析・参入障壁
市場に存在するプレイヤーを分析し、自社のポジショニングと参入障壁を示します。 - リソース配分の妥当性
「ヒト・カネ・モノ・時間」のリソースを投資する量とタイミングはどれだけ妥当かを示します。 - 収益性・ビジネスプラン
収益性はどのくらいあるのか、黒字のタイミングはいつなのか、成長余地はどのくらいあるのかなどのビジネスプランを示します。 - 実行計画・タイムライン
新規事業を立ち上げた後、市場に投入するまでの計画を時系列で示します。そして、フェーズごとにどのようなアクションを取るか、それぞれのKPI、実現可能性などの記載も欠かせません。 - 投資計画
初期投資のコストなどの投資計画を記載します。 - 推進体制
推進する体制の具体的な人員構成や役割を検討します。誰がどのような役割を担うか、不足しているリソースはどのように補うかなどを明記します。 - リスクと備え
想定されるリスクとそのリスクの回避策を示します。
「3年後に収益目標が達成できる根拠は?」審査員が納得する収益までの計画
新規事業計画書の項目のうち、しばしば重要視されるのが「いつ、どのくらいの収益が上がるのか?」です。
「8.収益性・ビジネスプラン」と「10.投資計画」の2つのフェーズが主に該当します。
いつ収益が上がるのかの計画の時間軸の引き方について解説します。
3年後・5年後の収益目標から逆算する
ポイントになるのはゴールから逆算することです。例えば、3年後に設定した収益目標を達成するには、1年後にはどのくらいの達成が必要になるのか、また2年後にはどのくらいの達成が必要になり、3年後のゴールに向けてどのような対策が必要になるかなどを検討し、時間軸を設定します。
実現可能性の高いロードマップ(工程表)の描き方
目標値が決まったら、実現可能性の高い計画の具体的なロードマップを描いていきましょう。
「9.実行計画・タイムライン」のフェーズが該当します。
実行計画を描くときの落とし穴
実行計画を描くときには、次のような失敗が起こり得ます。
- 曖昧で数値を伴わない中間指標(KPI)設定
- リソースを度外視した無理なスケジューリング
- リスクの想定不足
実行計画においては、各フェーズを移行する(次の段階へ進む)際に、どの程度達成すれば条件をクリアできるのか、明確な数値目標(ゲート基準)を設定しておくことが重要です。
また、「ヒト・カネ・モノ・時間」のリソースを度外視した無理なスケジューリングは、非現実的で実行計画とはいえません。リソース配分は、現実味のある計画で進めましょう。
実行計画においては順調に進むことを前提にしていると、計画通りに進まなかったときに慌てるばかりで、説得力に欠けてしまいます。
想定できるリスクを、考え得る限りすべて洗い出し、それらの回避策と、リスクが生じたときのスケジュール的な猶予を実行計画に盛り込むことが欠かせません。
実行計画を作る成功ステップ
納得感のある実行計画を作るために、次の3つのステップで描くことをおすすめします。
- ゴールから逆算してフェーズに分ける
まず「5年後に黒字を達成する」といった具体的な目標を掲げ、そこをゴールとして逆算していき、いつまでに何を達成すればいいかを考えていきます。この時、一定期間ごとにフェーズ分けしておくと管理しやすくなるでしょう。 - フェーズごとに必要な取り組みを網羅する
一定期間のフェーズごとにどのような取り組みが求められるかを洗い出し、タスクとします。そして、タスクごとに期限や担当者を決め、計画をより具体化していきます。 - KPIを設定する
各フェーズには必ずKPIを設定し、進捗管理ができるようにします。例えば、新規顧客獲得件数やECサイト訪問者数、リピート率などが挙げられます。
計画通りにいかないことを前提とした「プランB」の準備を
実行計画を詳細に立てたとしても、計画通りにいかないことは多々あります。リスクを十分に想定し、異なる計画を用意することで、回避しやすくなるでしょう。
シナリオとプランの策定
事業計画書を作成する際に行う市場分析後は、それらをもとにシナリオやプランを検討します。将来、例えば3年経過した後に、市場はどのように変化しているのかを予測し、事業成長や市場優位に立つためのシナリオとプランを描きます。この時、重要なのは、ポジティブとネガティブを含めた複数を描くことです。
「プランA」が失敗したときの「プランB」を準備しておく
複数描いたシナリオとプランのうち、事業計画書に記載するのはメインのシナリオやプランのみです。しかし、大きなリスクが顕在化した場合に備え、「代替案(プランB)」をしっかりと用意しておくことが肝心です。
審査員から、メインの「プランA」に支障が生じた際の打開策を聞かれたら、「プランB」を示せるようにしましょう。
新規事業ロードマップの実現性をNECの知見が詰まったAIで多角的に検証
新規事業計画書の実行計画や収益見込みなどの項目をすべて埋めたら、「抜け漏れはないか?」「論理の穴はないか?」を検証します。
ここで最大の敵となるのが、作成者の「希望的観測」です。自分たちが考えた事業だからこそ、「これくらい売れるはずだ」「スケジュール通りに進むはずだ」と思い込んでしまい、目標に対するリソース不足や市場成長率とのズレといった致命的な矛盾に気づけないケースが多々あります。そして、その甘さは審査員に必ず見透かされます。
そのため、近年はチーム内のディスカッションの前に、AIによって客観的に診断させる手法が注目されています。
過去の膨大な事業データを学習したAIが、「設定したKPIとリソース配分に論理的な矛盾はないか」「スケジュールの引き方に無理がないか」を冷徹に分析します。人間が見落としがちな死角をAIに指摘させ、それを基にプランBを強固にしていくことで、審査員が「これなら実現できる」と唸る完成度の高いロードマップへと引き上げることができます。
ここまで、審査員を納得させる、実現可能性の高いロードマップ(実行計画)の描き方をご紹介しました。詳細な工程表やプランBを描くことは重要ですが、作成者が陥りがちな「計画通りに進むはずだ」という希望的観測(楽観バイアス)は、厳しい審査の場ですぐに見透かされてしまいます。
実行計画の「実現性」を多角的に検証する仕組みとして、「NEC企画書AI診断サービス」が有効です。
本サービスでは、「設定したKPIとリソース配分に矛盾はないか」「スケジュールの引き方に無理がないか」を客観的に診断します。
担当者には計画の甘さに対する具体的な改善アドバイスを、評価者には属人性を排したスコアを提供し、事業化に向けた建設的な議論を強力にサポートします。