新規事業の企画段階から顧客の声をマーケティング戦略に組み込むメリットとは?
新規事業を立ち上げ、市場に投入する際には、緻密な戦略に基づいたマーケティングを行うことが重要です。しかし、マーケティングを成功させるには、製品が完成してから戦略を考え始めるのでは遅すぎます。
今回は、企画段階からマーケティング戦略を組み込む方法についてご紹介します。
ペルソナ設定から、MVP(※1)を用いたテストマーケティングの手法まで、市場の反応を企画書に反映し、机上の空論ではない、社内承認を得られる事業の成果創出につながる事業計画へと磨き上げるプロセスをご紹介します。
※1 Minimum Viable Productの略。顧客の課題を解決できる必要最小限の価値を提供する製品のこと。
目次
良いモノを作れば売れる時代は終わり!「企画=マーケティング」である理由
新規事業を立ち上げる際、商品やサービスのマーケティング戦略が不可欠です。そして事業化の判断が行われ、製品が完成してから、マーケティング戦略を検討し始めるといった流れを想定していることも少なくありません。
しかし「プロダクトアウト=作ってから売り方を考える」という思考では、初期の事業計画にマーケティング戦略が欠落してしまいます。その状態では、売上計画を合理的に説明できません。
事業計画の段階で、市場環境や競合分析の結果を踏まえた、どのように顧客を獲得していくか、つまり、どの販売チャネルで、どのターゲットに対してどのプロモーション方法でアプローチするのかを具体的に設計する必要があります。
特に現代は良いモノを作れば売れる時代ではありません。企画段階で綿密なマーケティング計画を策定、「売れる仕組み」を構築することが求められます。
新規事業のマーケティング戦略に有効な取り組み
では、企画段階でマーケティング戦略を練るときに有効な方法をご紹介します。
N=1分析
近年、ターゲットを「平均的な誰か」にせず、特定の「一人(N=1)」に絞り込む「N=1分析」の手法が注目されています。これは不特定多数のターゲットではなく、ある1人の顧客の声からそのインサイトを深掘りした上で分析し、それを元に新たな価値を提供する方法です。
具体的には、1人の顧客を行動観察したり、「デプスインタビュー(1対1の長時間に及ぶ深掘りインタビュー)」を行ったりして定性データを取得します。その後、定性データから得られたインサイトを多数のユーザーへどのように適用するかを検討します。これにより、より顧客のインサイトに基づいたマーケティング戦略や施策考案が可能になります。
ペルソナ設計
架空の顧客像を設定するペルソナ設計は、新規事業開発にとって重要な検討事項です。新規事業で求められるのは、既存事業とは異なる枠組みで考えることです。しかし、社内で議論が煮詰まっていると、どうしても既存事業にとらわれてしまいがちです。そのような時に新規事業におけるペルソナの視点で、一人の顧客の立場に立って見ることで、これまで捉われていた視点から解放され、最善の選択ができるでしょう。
MVPを用いたテストマーケティング
MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を用いたテストマーケティング(※2)も有効です。不確実性の高い新規事業において、リスクを最小限に抑え、検証ができる有効な方法の一つです。
※2 製品を市場に投入する前に、限定的にテスト販売し、市場の反応や需要を評価して有効性を見極める手法
MVPは顧客に提供できる最小限の機能に絞った製品を指します。これを市場に投入し、需要を検証します。顧客の反応を見ながら改善し、検証を重ね完成度を高めていきます
顧客インサイトの分析結果を踏まえてMVPを開発し、ペルソナの視点を交えて多角的に検証していくことをおすすめします。
広告掲出前のSNSやLPを使った低コスト手法
MVPを用いたテストマーケティングは、必ずしも広告出稿を行う必要はありません。むしろ広告出稿前に、SNSやLP(ランディングページ)を用いてコストを抑えながら実施することをおすすめします。コストを最小限に抑えることで、検証プロセスを無理なく回すことが可能になります。
MVPを用いたテストマーケティングのフィードバックの回収方法
テストマーケティング実施後は、フィードバックを回収することが重要です。それによって改善を重ねていくことができます。また顧客アンケート調査に加え、より真意に迫るために1対1のインタビューも検討しましょう。さらにWEB上のクリック箇所や注視されやすい場所などが可視化されたヒートマップを活用した行動分析も有効な手法です。
顧客の声を事業計画書に反映する方法
これまでご紹介してきたマーケティング戦略検討に有効な取り組みは、事業計画書に反映することで確証につながります。
そしてもう一つ押さえておきたいのが、顧客の声を反映することです。顧客インタビューなどから得た定性データが、例えば事業計画書の次の3項目の説得力を補強します。
市場ニーズ
事業計画書における市場ニーズの項目では、市場規模等の定量データとともに、顧客のリアルな声を定性データとして用いると説得力が増します。
提供価値
新規に開発する製品によって、どのように顧客の課題を解決できるかということを、顧客の困りごとの具体例や、製品を試用した顧客の声を盛り込みながら示すことも有効です。
マーケティング戦略への反映
既存事業で収集した顧客の声は、新規事業のマーケティング戦略の具体策に反映しやすいといえます。既存製品を利用するユーザーの新たなニーズは、利用した中で得られた実感に基づく確かなものであるためです。マーケティング施策に反映させることで、成果が出やすくなるでしょう。
ところで、顧客の声を事業計画書に反映する際に注意したいことがあります。それは企画担当者が「自分にとって都合の良い顧客の声」だけを無意識に都合よく解釈し、論理を飛躍させてしまうことです。「一人が欲しいと言ったから、市場全体でも売れるはずだ」といった主観的な判断は、厳しい審査の場ではすぐに見透かされてしまうため、注意しましょう。
AIスコアを「売れる確信」に変える必殺技
事業計画書のマーケティング戦略を作り込む際、個人の主観や思い込みを回避するために、AI(人工知能)の客観的な視点を借りることが有効です。
集めた顧客のリアルな声(定性データ)が、事業計画書における「ターゲット設定」や「提供価値」、そして「収益計画」と論理的に矛盾なく結びついているか。AIに事業計画書を診断させることで、人間が見落としがちな「論理の飛躍」や「検討の抜け漏れ」を瞬時に洗い出すことができます。
AIによる評価軸を基にした客観的なスコアリングを事業計画書に盛り込むことで、論理的完成度が向上します。その結果、評価者からの事業成功への期待感が高まり、承認されやすくなるでしょう。
まとめ
新規事業のマーケティングを効果的に進めるためには、企画段階から戦略を練っておくことが重要です。あらかじめ行った市場調査の結果や顧客ヒアリングの結果などを盛り込むことで、説得力のある事業計画書を作ることができます。
しかし、N=1分析やMVPのテストマーケティングで優れたデータを得られたとしても、それを論理的に反映しなければ、社内の承認は得られません。
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NECの10年以上に渡る豊富な新規事業開発の知見を学習したAIが、収集したマーケティングデータとビジネスモデル全体の間に「論理の飛躍」がないかを客観的に診断します。担当者には具体的な改善アドバイスを、評価者には客観的なスコアを提供し、机上の空論ではない「売れる確信」を持てる企画づくりを支援します。